600色のファスナーが並ぶ場所
浅草橋の駅からほど近く。三協ファスナー株式会社の東京事業所の1階、ガラス張りの窓から中がよく見える場所に、「ショールーム」があります。
前回に引き続き、代表取締役の薩摩さんにお話をうかがいました。
600色のテープがずらりと並ぶ、特製のファスナーラック。
こちらは「ファスナー専用」として、よく使われているラックなんですか?
薩摩さん
いえいえ。今回のためにつくっていただいたものなんです。どんなふうに並べれば、見やすく、選びやすいか。スタッフの管理や整理の利便性も考えながら、今回この形式のラックをこしらえることになったんです。
向き合うフックに、束にしたファスナーをそれぞれ掛けています。
似た色と比較しながら、ひと目でずらりと眺められるようになっているので、とても見やすいと感じました。
薩摩さん
それは安心しました、よかった…。ありがとうございます。届かないものは、我々が脚立に上って、ご案内しようと思っています。
希望どおりのサイズを
前回の記事では、作り手のみなさんにファスナーを提供するにあたって、多くの課題があることをお話いただきました。
薩摩さん
手芸店などで流通している商品は、型がほとんど決まってしまっているんです。長ささえも自由に選ぶことができず、ファスナーの長さに合わせて作品のサイズを決める、というような作り手の方も多いと聞きます。
(4月13日公開の 「今月の道具」)
こちらのショールームでは、この600色の中から選んで、その場でカットしていただけるということでしょうか?
薩摩さん
そうですね。もちろん、ハサミで切るだけではいけませんから、きちんと端の処理も機械で行わせていただきます。
これは、なんという機械ですか?
薩摩さん
「スペッサー」と呼んでいます。これで、両端部分のファスナーチェーンの金属を剥がして、ご提供します。この機械で処理をすれば早いので、「15cmを30本」といったようなオーダーでも数分で対応させていただくことができるんですよ。
遠くで聞こえる目覚まし時計のようなチリチリとした音とともに、チェーンの処理があっという間に完了します。
こだわりのパーツを選ぶ
長さだけではなく、金具の種類や色味を自由に選ぶことができるのも、このショールームの魅力です。
薩摩さん
同じテープの色でも、選ぶファスナーチェーンの種類によって、ずいぶん印象が変わります。それぞれ光沢もかなり違うんですよね。
引き手のパーツもこんなにあるんですね。
薩摩さん
そうなんです、組み合わせによって数万通りになりますね。
布小物などを制作されている方にとっては、「市販のパーツだとデザインに似合わないなあ」というようなお悩みもあることと思います。
薩摩さん
仰るとおりだと思います。こんなに種類があって、こだわって選ぶことができるんですよ、ということをまず知っていただいて、きちんとご提供できるように環境を早く整えていきたいですね。
カラーも本当にたくさんあるんですね。
薩摩さん
デザインも色味も、たくさんの中から選んでいただけますから、ぜひ実際にご覧いただきたいと思います。引き手も、ここにあるだけで400〜500種類は並んでいて、実際には1,000種類ほどあるんです。
すごい数ですね。「これ!」という組み合わせのファスナーがきっと見つかりますね。
薩摩さん
そうですね、ぜひご相談いただければと思います。
「最近では、パープルやピンクゴールドといったカラーの金具もたくさん揃っています」と薩摩さん。
これはチェーンと引き手の金具の色が違って、おもしろい組み合わせですね。
薩摩さん
こんなふうに、それぞれ色味を変えたっていいわけです。自由な発想で組み合わせをたのしんでいただけるといいなあ、と考えています。
数本程度のサンプルであれば、その場で上下止め金具をペンチや金槌でプレスして完成品にしていただくことも可能です。
この数を「知ってもらえるように」
今回は特別に、別室の倉庫にもご案内いただきました。
急いでショールームのご準備をいただいたため、撮影時の棚の一部はこのようになっていました。
これは、圧巻の景色ですね。ファスナーはこんなにたくさん。やはりこうやって拝見すると、いかに普段見ているファスナーが「ごく一部であるか」がよくわかりますね。
薩摩さん
普段は整理されているのですが、お恥ずかしい光景ですみません。工場にはこの10倍以上の数がありますから、作品を「思いどおりに仕上げる」ためにも、ぜひこだわって選んでいただきたいと思います。我々も、ひとりでも多くの方に知っていただけるよう、努力したいと思っています。
ぜひ、足を運んでみてください
このショールームは、企業のデザイナーさんや販売店の方でなくても、お越しいただくことができるんですよね。
薩摩さん
もちろんです。ものづくりをされているみなさんにお越しいただけることを、とてもたのしみにしています。ただ、大変申し訳ないことに、専門店である弊社が扱うファスナーの種類は大変多く、ショールームではスペースの関係から付加価値の高い金属ファスナーを厳選して展示しております。みなさんが見慣れている樹脂系ファスナーやスタンダード金属ファスナーは展示しておりませんので、まずはお電話でご連絡をいただき、ご要望をおうかがいできればと思います。スタンダードファスナーなどは今後「minne」のサイトからご購入いただけるようにしていく予定です。
長さ、色、パーツを選んで、思いどおりのファスナーを。みなさんにも「選ぶ自由」をぜひ体感いただきたいと思いました。
三協ファスナーショールーム
まずは、お電話でご連絡されると、スムーズにご対応・ご案内いただくことができます。
※ 専門スタッフの不在などでご対応いただくことができない場合もございます。
電話番号:03-3851-1107
住所:東京都台東区柳橋1-12-3
※ 専門スタッフの不在などでご対応いただくことができない場合もございます。
電話番号:03-3851-1107
住所:東京都台東区柳橋1-12-3
遠方の方は、minneからも一部購入いただくことができます。
取材・文 / 中前結花 撮影 / 真田英幸