インタビュー

アートブランド・gravoさん「身近に感じられるものづくりを」

“みなさまの日常に「Bravo!(ブラボー)」をお届けする”というコンセプトから生まれたアトリエgravo(グラボー)さん。アルファベットを大胆にデザインしたアート作品や、アレルギーを第三者に伝えるグッズなどを展開しています。作品に対する想いをうかがうと、その名の通り、思わず「ブラボー!」と声に出したくなるようなアイデアに溢れていました。

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気軽にたのしめるアートを

取材に訪れたのはgravoさんのアトリエ。作品のイメージにぴったりな、真っ白な空間でお話をうかがいました。

作品制作をはじめられたのは、いつごろですか?

gravo
普段は企業のブランディングやデザインの仕事をしているんですが、ずっと本業とは別に自分の作品を制作したいという想いがあったんです。作家としての活動をスタートしたのは、去年の4月にminneに登録してから。それまでの約半年間は毎日少しずつ作品制作に時間をあてながら、試行錯誤を重ねていました。

アートをもっと身近に

gravoさんの代表作とも言えるアルファベットをモチーフにしたアート作品ですが、どのようなきっかけで生まれたものなんですか?

gravo
一見すると抽象的なグラフィックアートですが、複数をディスプレイすることで“言葉”が浮かび上がってくる…そんな二層の見え方、たのしみ方ができるアートがあったら面白いんじゃないかな?という想いから、制作に至りました。現在は、気軽に手にとっていただけるポストカードサイズと、インテリアのアクセントになるポスターサイズの2種類を展開しています。

アルファベットをモチーフにしたのはどうしてですか?

gravo
人にはそれぞれ、大切にしている言葉や好きなワードがあると思うんです。たとえばロック好きなら「ROCK」、 サーファーなら「SEA」、ほかにも敬愛する人の名前やブランド名など…。それがアートの中から浮かび上がって、 日常的に親しめるようなものを届けたいと思ったんです。

デザインのアイデアはどこからくるのでしょう。

gravo
基本的に作品のイメージは頭の中で完成しています。それを具現化するために、頭に浮かんでいるものをラフに落とし込み、水彩やアクリルガッシュで原画や素材を描き、最終的にはデジタルでかたちにしていくという流れです。にじみやブラシなどの活きた表現はデジタルでは難しいので、そこは手で描いています。手描きだけでは時間がかかりすぎてしまうバランス調整やブラッシュアップはデジタルで行い、イメージする“理想のカタチ”に一歩ずつ近づけていきます。

「モノトーン」へのこだわり

モノトーンにしているのには理由があるんですか?

gravo
色展開は無限に増やすことができるけれど、やっぱりモノトーンが好きなんですよね。一方で、タッチやテイストには縛りは設けず、自由に降りてきたものをそのままかたちにするようにしています。

デザインの根底にあるのは「ご自身の家に飾りたいもの」だったりしますか?

gravo
実は、基本的に自分のために何かをつくるという考えがあまりないんです(笑)。アートって、いざ部屋に飾ろうとすると意外と難しいものですよね。だからこそ、モノトーンなら、どんな部屋にも馴染みやすくて手が出しやすいかな、という想いはありましたね。

この春からBEAMS JAPAN 新宿本店で販売されているアレルギーバッジ

そして、gravoさんのもうひとつの代表作、アレルギーバッジは、『minneハンドメイドアワード2018』で審査員特別賞に輝きました。

gravo
昨年のいちばんうれしい出来事でしたね。このデザインがひとりでも多くの人の助けになればいいなと願っています。

この作品には、どのような想いが込められているのでしょう?

gravo
子どもって、親の目が届く範囲では問題ないのですが、少し目を離した隙にだれかからおかしをもらったりすることがありますよね。そういうときに、アレルギー食品を第三者にも伝える何かがあれば…、と思ったことがこの作品が生まれるきっかけですね。

ノートにびっしりと描かれた、アレルギーバッジのラフ。「特に苦労したのはそばのデザインでした」とgravoさん。

制作するにあたってのこだわりをおしえてください。

gravo
日常的に抵抗なく身につけられる、ファッションの一部のようなデザインを心がけました。将来的には、若葉マークのようにだれもがわかるようなマークになればいいなと思っています。

gravo
特に身につけてほしいと思っているのは、自分で意思表示をすることが難しい子どもたち。「子ども用」は「ただただかわいいもの」、というのは大人の勝手な考えだと思うんです。普遍的なデザインの中にファッション性を盛り込んだようなものに仕上げたいと思いました。最初はモノトーンでつくってみたんですが、それはあまり目立たなかったんですよね。赤にすることで、警告の意味を盛り込みました。

アート作品にアレルギーバッジ、次はどんな作品を考えていますか?

gravo
実は今のところ次の作品については考えていないんです。まずは、アレルギーバッジの種類をもっと充実させることですかね。実際「こういうのはないんですか?」という問い合わせもたくさんいただいているので、ひとつひとつお応えできればと思っています。次の作品展開についてはその後、ですかね。

最後に、gravoとしての今後の夢を教えてください。

gravo
目指しているのは「浸透」すること。これからも、ひとりでも多くの方にgravoの作品をたのしんでいただけるような工夫や仕掛けづくりをしていきたいと思います。

gravo
アートやデザインをもっと身近に感じられることで、日常に「Bravo!(ブラボー)」を届けるアトリエ。「minneハンドメイドアワード2018」審査員特別賞受賞。
https://minne.com/@gravo

取材・文 / 堀田恵里香  撮影 / 中村紀世志

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