特集

扉を開けたくなるカード vol.17 「ムムリク舎さん」

作品にそっと添えられていることも多い、クリエイターの名刺やショップカード。イベントやお店に出かけて持ち帰ったり、手渡しでいただいたり…と、普段からたくさんのカードを受け取る編集部スタッフが、心に残った1枚をご紹介します。その人に会いたくなるような、作品を覗きたくなるような、お店に足を運びたくなるような…そんな、次の扉を開けたくなるカードがいっぱいです。

古く美しい美術館のように、歴史と物語を感じるような作品がずらりと並ぶ、正方形型のデザイン。「これは」と手を止めて見入ってしまうようなカードに出会いました。ミステリアスな魅力にあふれた作品たち。作り手のムムリク舎さんにお話をうかがいました。

ムムリク舎
「ストーリーのある刺繍をブローチに」をコンセプトに、どうぶつやオバケなど不思議な生きものたちを刺繍する作家さん。
https://minne.com/@mumurik-sya

不思議な美術館のよう


小さめのサイズですが、目に飛び込んでくるような存在感ですね。小箱が、絵画の額縁のように見えて、とてもおもしろいです。このカードは、いつごろから使われているものでしょうか?
ムムリク舎さん
実は、先月新調したばかりなんです。カードを見ただけで、「あ、あの作品をつくっている人だ」とわかってもらえるように意識しました。自分の代表作をショップカードにしたいと思ったんです。


 
でき上がったばかりのカード。昨年の「minneハンドメイドアワード」でゲスト審査員賞を受賞した作品『プリンセス・メデューサの物語ブローチ』が、正方形の中に美しく収まっています。

作風に合わせた新調

以前のカードも頂戴していました。どちらも素敵ですが、並べて見ると、ずいぶん印象が違いますね。

ムムリク舎さん
前回のカードも、うれしい声をたくさんいただいていました。友人にデザインしてもらったものだったんですが、どうぶつたちのレイアウトも可愛くて、とても気に入っていたんです。

新調されたのは、なにかきっかけがあったんですか?
ムムリク舎さん
やっぱり、自分の作風がすこし変わってきたことですね。どうぶつの刺繍から、ダークでちょっと不思議な作品を多く手がけるようになってきたので。

ブランドのイメージがちょっとずつ変わってきたんですね。
ムムリク舎さん
そうですね。あとは、いつもminneに登録するとき、作品の写真を正方形型で撮ることが多いんです。そのままショップカードの写真として使いたいなあと思い、今回試してみました。
裏側は、シンプルにアカウントやアドレスが並んでいます。

渡すたのしみ


これから名刺交換されるのが、たのしみですね。
ムムリク舎さん
そうですね、お客さまにどんな反応をしていただけるか、イベントなどでお配りするのがとてもたのしみです。

絵画のようにたのしむカード



長い長い物語から、そっと切り取ったワンシーンのような作品たち。実際に、「イラストに描き起こすときは、この子はどんな性格かな?なにが好きでどんなふうに暮らしているのかな?と想像しながら刺繍しています」とムムリク舎さん。そんな作品の持つ、不思議な魅力がカードにもしっかりと詰まっています。

ムムリク舎さん
ショップカードは、名刺ケースなどにしまっておくことが多いかと思いますが、このカードを小さな額やカード立てで飾っていただけたりすると、とてもうれしいですね。また違ったたのしみ方をしていただけるかと思います。


 
カードそのものも、作品として絵画のようにたのしむことができそうですね。




 

最後に、ムムリク舎さんのものづくりを覗いてみましょう。
おすすめの2作品を選んでいただきました。

鳥を見守る者(ブローチ)


少年が一羽の小鳥を助ける、そんな物語といっしょに生まれたブローチ。「金属パーツを刺繍の中に埋め込む、という手法にはじめて挑戦した作品です」とのこと。

作品を見る

銀色の雨が降る〜船出〜

ゲスト審査員賞を受賞した『プリンセス・メデューサの物語ブローチ』の続きが描かれているという刺繍作品です。6月19日から開催される展示イベントに向けて制作されたそう。

作品を見る

扉を開いて
ミステリアスな魅力に包まれたムムリク舎さんの作品たち。ギャラリーページは、まさに美術館のようですが、その世界観があまりにもしっくりとカードに投影されていて、とてもおもしろく感じました。わたしも小さな額に入れさせていただきます。(聞き手/ 中前結花)

ハリイト ~ 5つの手が生む刺繍のはなし ~
個性豊かな5組の作家によるグループ刺繍展。ムムリク舎さんの「銀色の雨が降る〜船出〜」をはじめ、素敵な刺繍作品の実物たちをぜひご覧ください。
開催期間:2019年6月19日〜6月23日
場所:吉祥寺ギャラリー「re:tail」
詳細はこちら

【連載】扉を開けたくなるカード
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