名画を手のひらの上の作品に
横浜美術館開館30周年を記念して開催される、『オランジュリー美術館コレクション ルノワールとパリに恋した12人の画家たち』。この展覧会は、パリのオランジュリー美術館所蔵の、ルノワールをはじめとしたパリを愛した画家たちの名作約70点が一堂に会する貴重な機会となっています。今回は、マリー・ローランサンやアンリ・ルソーといった、芸術に魂を捧げた画家たちの名作とコラボレーションして、オランジュリー美術館の監修のもと、minneでも活躍する6名の作家さんが公式コラボ作品をつくり上げてくれました。横浜美術館でしか手に入らないその限定作品を、制作の裏側とあわせて、じっくりとご紹介します。
Lamipasさんの「ブローチ」
「名画をモチーフに制作という新たな試みに、とても緊張感がありました」というLamipasさん。普段から、美術館にふらりと訪れることは多いそうですが、ご自身の作品に昇華するというのは、はじめてのこと。「絵画の魅力をいかに鮮明にパーツへ落とし込めるか。サイズが小さいので難しかったですね」と語ってくれました。
胸もとに絵画を。ローランサンを愛する方はもちろん、ファッションに品良く“新しさ”を取り入れたい方におすすめです。
cocoroさんの「ポップアップカード」
「1枚の絵画を、切り込みと折り曲げで立体になるよう設計し立体化(ポップアップカード化)させているんです」というcocoroさんの作品。元の絵の印象を大切にしつつ、加える奇抜さのバランスやカード自体の強度面については悩みながら、ずいぶんじっくりと考えられたそうです。
ご自身も、学生のころから美術に興味があり、大いに感銘を受けたというcooroさん。歴史ある名画をモチーフに「平面と立体を行き来して、その不思議さやおもしろみを感じてほしい」と言います。
ムムリク舎さんの「ブローチ」
その細部にもこだわりが込められています。ルノワールとマリー・ローランサンは、刺繍糸をあえて一本にすることで繊細な雰囲気を、対してアンリ・ルソーは糸を二本にして素朴で牧歌的な作風を、それぞれ絵画の印象にあわせて表現したのだそう。
艶やかな糸で丁寧に刺繍されたブローチは、これらかの季節、ファッションのワンポイントにもぴったりです。
picnicさんの「スマホケース・ポーチ・ハンカチ」
淡くあたたかみのある風合いを大切にしたピンクとブルーのベースから、スマホケース・ポーチ・ハンカチといった持ち歩くことができるアイテムを展開しています。「絵画から感じた印象を盛り込み、のっぺりと平面的なものにならないよう気を配りました」とのこと。
幼いころから、ご両親に連れられて美術館へはよく出向いたというpicnicさん。「展覧会特設ショップで手にとって、《ピアノを弾く少女たち》の洋服だ!と気づいてくださる方がいればうれしいですね」と話してくれました。ハンカチ・ポーチは順次発売予定ですので、おたのしみに。さかもとみなこさんの「ペットボトルカバー」
いつもは額に収まり美術館に飾られている絵画が、「額を飛びだして一緒にお出かけする」というテーマでデザインされたというこの作品。絵画をイラスト化したあと、ふたりのモチーフは刺繍で仕上げられています。「グランドの"編み"の部分と、"刺繍"の部分を重ねることにより、額を飛び出している感じを表現してみたんです」とのこと。
「美術館は、生前に母がよく連れて行ってくれました。モディリアーニを一緒に見に行ったときのことを特によく覚えているので、母が好きな作家さんとコラボできたらきっと喜ぶと思い、真っ先に選びました」というさかもとみなこさん。「名画とコラボさせていただける日が来るなんて想像もしていなかったので、『まかぬ種は生えぬ』という想いで日々ものづくりをしてきて本当によかったと感慨深いです」と話してくれました。rala designさんの「グリーティングカード」
時代を超えて
作家さんの視点と技術が加わり、名画がまた新たな魅力を持った作品となって、いよいよ美術館の展覧会特設ショップに並びます。芸術の秋、時代を超えたクリエイターたちの共作をぜひ手にとって味わってみてください。
minne×「ルノワールとパリに恋した 12 人の画家たち」
特設ページはこちら
取材・文 / 中前結花 作品撮り下ろし / 真田英幸