誰かを想ってつくる喜び
誰もが知る定番アイテム「ニベアの青缶」を飾り付け、作家さんに「世界にひとつのニベアクリーム缶」をつくっていただきました。テーマは「大切なひとへの想い」。
感謝や愛情を形にした作品は、作り手にも幸運を運んでくれるアイテムになるかもしれません。
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みなさんがつくった「フォーチュンデコ缶」を募集しています。詳しい応募方法は、特設ページをご覧ください。
頬がゆるむ、うれしい出会い
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「CHIMNEY」さんのギャラリーはこちら
いったい、どんな作品が完成するのでしょうか。
たっぷりのケーキを
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土台となるアクリル板や、レジンを流し込む「型」が完成したとのことで、残りの工程や飾り付ける様子を見せていただくため、わたしたちは神戸へと駆けつけました。
フィギュア制作の技術を用いたCHIMNEYさんのものづくり。傍でその過程を見せていただくことができるとは、とても贅沢な時間になりそうです。
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すでに見せていただいていたデザインラフには、アイスやいちご、そして2匹の猫ちゃんが。とても賑やかでたのしい作品になりそうです。
クリーム缶をホールケーキに見立てているんですね。
CHIMNEYさん
「クリームの缶をデコレーションする」、そう聞いてパッと思いついたものが「デコレーションケーキ」でした。いろいろと上に乗せて、とある友人に贈りたいなと思ったんです。
アイスクリームをつくる
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デコレーションに使用するパーツたちは、石粉粘土や樹脂粘土、レジンなどでそれぞれ制作されると言います。
これは石粉粘土ですか?
CHIMNEYさん
そうです、造型に向いていて、質感も出しやすい粘土ですね。これからアイスクリームのワッフルコーンをつくろうと思います。
続いて、小さな木片で表面に跡をつける作業。
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くるりと巻いて着色し、アイスクリームができ上がっていきます。
カラフルでおいしそうなアイスクリームですね。ご友人の好物でしょうか?
CHIMNEYさん
そう、甘いもの好きということもありますし、「糖分」は疲れを癒してくれますもんね。
素材の組み合わせまで設計する
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次に手に取ったのは樹脂粘土。ハサミで切り込みを入れて丸めていきます。
チアダンスを踊る猫ちゃんのポンポンは、こうやってつくられるんですね。それぞれパーツごとに素材を細かく分けられているのがおもしろいです。
CHIMNEYさん
加工のしやすさや必要な強度にも違いがありますし、「つるんとした透明感が欲しいものは樹脂粘土」など、特徴を見ながら選んでいる感じですね。たとえば、猫はヤスリをかけて仕上げたかったので石粉粘土を使っていますが、首もとのリボンだけは樹脂粘土なんです。
全体の構図だけでなく、素材の組み合わせまでしっかりと設計し、組み上げるようにひとつひとつのパーツを丁寧に手がけていきます。
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いちごは、原型(右)をつくって「型」を制作し、そこに模型用のレジンを流し込んでいきます。
CHIMNEYさん
いくつも数が必要なものは、こうやって型を制作してつくることが多いです。
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愛らしいピンク色と、ホイップの白色を丁寧に着色して、いちごのパーツが8個完成しました。
想いを込めた14個のパーツ
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小さなフラッグには、「GOOD JOB TODAY!」の文字が書き込まれます。
CHIMNEYさん
このケーキには、「今日もよく頑張ったね」「お疲れさま!」といった想いを込めたいと思っているんですよ。
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応援してくれているかのような2匹の猫ちゃん。どのパーツも、まるでラフのイラストから生き生きとして飛び出してきたような仕上がりです。
ニベアクリーム缶に想いを乗せる
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CHIMNEYさんが取り出したのは、白いアクリルの円形プレート。中央に大きな穴、その周りに小さな穴が空いています。
これはなんでしょう?
CHIMNEYさん
アクリルの板を、別の友人にこの形でカットしてもらったんです。これをクリーム缶の上に重ねて…
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CHIMNEYさん
穴が空いている部分にパーツを差し込んでいきます。
なるほど。クリームに見立てたアクリル板が接着の土台となるんですね。
CHIMNEYさん
上手く、くっ付いてくれるといいのですが…。
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ハートのモチーフがついたスティックも穴に差し込んでいきます。
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そして、最後に「GOOD JOB」と。
CHIMNEYさん
はい!(笑)ずいぶん時間がかかってしまいましたが、全部のパーツの接着が終わりました。
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CHIMNEYさん
友人に届けたいと思っていたケーキに仕上がったと思います。
こうして、CHIMNEYさんんの「おつかれさま!デコケーキ」が完成しました。
「おつかれさま!デコケーキ」
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おもちゃのオルゴールのように、今にもくるくると回りはじめそうですね。眺めているだけで、元気が出てくるようなカラフルさです。
CHIMNEYさん
まさに、そういう作品がつくりたかったのでよかったです。実は「オルゴール」ではないのですが、もうひとつパーツを用意してきていて。
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CHIMNEYさん
こういうことなんです(笑)。
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「スノードーム」ですね…!なんて素敵な。まさに、「ご友人への贈りもの」というコンセプトにぴったりですね。
CHIMNEYさん
実はこのドームも、「その友人に贈るからこそ」の工夫なんですよ。
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込められた想いをおしえてください。
CHIMNEYさん
贈りたいのは、高校時代からの友人なんです。今では、年に数回会う程度で、頻繁に連絡を取っているわけでもないんですよ。でも、どうしてでしょう、いちばんに顔が浮かびました。会えば、家でダラダラとゲームをしているのを見たり、猫と遊んでいるだけなんですけどね(笑)。
すごく気が合うんですね。
CHIMNEYさん
そうかもしれません。体調を崩して会社をやめることになってしまって、アルバイトをしながら、トリマーの学校に行って、ようやく難しいライセンスが取れて就職が決まったところで。でも、本当に頑張り屋で真面目な子なんで、疲れちゃうこともあると思うんです。そういうとき、家に帰ったら、これを見てほしいんです。いつも応援しているし、よく頑張ったって自分でも思ってもらいたくて。お疲れさま!って言ってあげたいと思いました。2匹の猫ちゃんに壊されないよう、ドームの蓋もつくったので(笑)。家に置いててほしいなあ、と思ったんです。
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1日の終わりに、きっと誰もがいちばんかけてほしい言葉です。
誰かを想って、つくりませんか?
家族や友達、ペットなど、大切な誰かへの想いを込めた、あなたの手でつくる「世界にひとつのフォーチュンデコ缶」を募集します。協力 ニベア花王株式会社
取材・文 / 中前 結花 撮影 / 真田 英幸