インタビュー

「minneのハンドメイドマーケット」について、わたしたちが考えた300日のこと。

2020年3月末、わたしたちminneは、年に1度のイベント「minneのハンドメイドマーケット」をさいたまスーパーアリーナで開催する予定でした。イベントは中止となってしまいましたが、さらに大きな企画「#エアハンマケ」の実施に向けわたしたちは動き出しました。イベント準備に費やした300日間のこと、そしてこれからのことを、すこしでもお伝えできればと思います。

今年の「ハンマケ」が中止になった


例年、「minneのハンドメイドマーケット」の準備に取り掛かり始めるのは、前年の5月頃から。開催後もしばらく対応は続きますから、実質「ハンドメイドマーケット」を担当するスタッフは(他の業務にもあたりながら)1年間のほぼすべて、このイベントに関わっていることになります。

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2020年の「minneのハンドメイドマーケット」も例に漏れず、会場の確保やその開催に向け、2019年の5月頃からスタッフは動き出していました。
中止が決まるまでの約300日間。みなさんにお届けしようと準備していたものについて、主に担当していた、スタッフの八木と徐に話を聞いてみました。

(聞き手は、「minneとものづくりと」の編集長・中前です)

2020年に向けた準備


まずは、さいたまスーパーアリーナに向けての準備、本当にありがとうございました、という気持ちです。代わりとなる新たな企画のお話ももちろん聞きたいのだけど、まずは、今年の「minneのハンドメイドマーケット」の準備について、聞かせてもらえますか。
八木(写真・右)
そうですねえ…。振り返るとずいぶん時間が経ってしまったんですが、昨年の8月にはサイトを出して、9月には作家さんの募集をはじめたんです。会場を抑える、という大きな仕事で言えば、やっぱり去年の5月末ぐらいから始めていましたね。
 
本当に長いなあ、と思います。
八木
長い。そう思うと、本当にすごく長いですよね(笑)。9月からは、このイベントの専任として動いていたし。
 
デザイナーとしてのお仕事はいつ頃からスタートしましたか?
やっぱり8月のサイトオープンがあったので、それに向けて早い段階から動き出してましたね。どういうテーマにしようか、というのもあったので。すごく長い期間、携わってきました。

「minne Garden」の実現

今年のテーマ「minne Garden」を聞いたとき、本当にすごく素敵だなと思いました。
11月頃にようやく、方向性が定まってきたというか。「Garden(=庭園)」みたいに、心配りは行き届いているけれど、それぞれ作家さんが自由で伸び伸びとできるような、そういうイメージで考えていて。
八木
「ハンドメイドマーケット」というイベントを通して、わたしたちはみなさんにどんなことを体験してもらいたいか。みなさんは、どんなことを叶えたいか。そういった想いをすべて盛り込んだものとして「Garden」という言葉があったので。
ホワイトボードいっぱいに書き込んで、毎日遅くまで整理してましたもんね。
めちゃくちゃしましたね(笑)。あのときが、いちばんパワーが必要だったかな。
八木
ちょっと懐かしいぐらいですけれど。年末にようやく形になってきたというか。
当初考えていた、会場イメージの一部。
 
年末にふたりからたくさん話を聞いて、年明けに、わたしはその「minne Garden」の説明となるボディコピーを書きました。
八木
そうでしたね。年明けには、そういったものがすべて完成して。
 
そこから本当に目まぐるしく…、たくさんのことが起きましたけれど。

開催中止を受けて、思ったこと


 
1月から徐々に報道され始めた「新型コロナウイルス」の影響を受けて、2月末に開催中止という判断になりました。真っ先にふたりの顔が浮かんだし、みなさんにお会いできないことは本当に残念に思ったんですけれど、正直なところ、ふたりとしてはどうだったかな。
八木
中止に関しては、2月に入ってから本格的に検討というか…、そういう判断も出てくるんじゃないか、というところを話すようになりましたね。心配にはなってきました。
 
うんうん。日ごとに、状況も深刻化していったところもあったし。
八木
そうですね。2月の上旬は、他のイベントも開催しているところが多かったんですけど、2月以降は政府の発表もありましたし、世の中的に自粛傾向にもなっていって、ユーザーさんからもお問い合わせをいただくようになりました。
作家さんの準備もあることですから、すこしでも早く判断を伝えたい、というのもありましたよね。
そうですね。わたしは、結構早い段階から覚悟していたところがあって、「中止」となった場合にどうするか。目の前のこともやりつつ、その案も考えなくちゃいけないな、という考えになっていて。
 
半年以上準備してくれていたスタッフやみなさんのことを考えると、心苦しい思いでした。でも、会場でたのしんでいただくことはもちろん、たのしい作品や気持ちを持ち帰っていただくことを考えると、「安全」はやはり第一ですから、残念でしたが、早めにこの判断ができたことはみんな納得でしたね。
うん、そうですね。あとは、たのしみにしてくださってた方々に、わたしたちができることは何か、ということと。それから、何よりも「伝え方」ですよね。
八木
そこは本当に心配したところでもあったし、考えましたね。
今回のお伝えの仕方は、わたしは手前味噌ですが素晴らしかったと思いました。それに、それを助けてくれたのが、作家さんや、お客さんでしたよね。
八木
そうなんですよね。作家さんからお叱りを受けることは本当になくて、むしろ気遣いの言葉や励ましの言葉をたくさんくださって…すごくありがたかったです。
 
うん、とっても恵まれていると感じました。「中止」とただ伝えるだけでなく、「エアハンマケ」という試みを伝えられたのも良かったなと思うのですが、あれも、わたしたちが考えた言葉ではないんですよね。
エアハンマケ・・・自宅に居ながら、「minneのハンドメイドマーケット」をたのしむことができる、オンライン企画。3月23日(月)から順次開始。
八木
そうなんです。SNSで、minneのユーザーさんが使われていた言葉だったんですよ。「エアハンマケでたのしめばいい」と。実は、直前にそのユーザーさんに「もしも開催中止になってしまった場合、企画名としてその言葉を使わせていただいてもいいですか?」と連絡させてもらっていたんです。
 
ああ、そうだったんですね。
八木
そうすると、お気遣いの言葉と一緒に、「ぜひ」とご快諾いただけて。本当にすごくいい方(かた)だったんです。そういったことにも恵まれました。
遠方の人や海外の人も「これなら参加できる」っていう声もあったし、オンラインだからこそできることがある、という気持ちに切り替えることができて。発表する直前は本当にドキドキしていたんですけど。
八木
まわりのみなさんに、すごく助けてもらいました。

オンラインでもできること「エアハンマケ」

そして、「エアハンマケ」に向けて、新たに企画を始動しましたよね。もちろんイベントに向けて用意していたものも一部、使用していますが、この短期間でもうひとつ新たなイベント企画を立てるような、大変な仕事だったと思うんです。
八木
まさにそうですね(笑)。半年以上かけて考えてきたものとは別に、また同じような分量の検討や制作物が必要になって。
 
うんうん。デザインの制作物も多かったよね。
新しくつくったものもかなり多かったですね(笑)。だけど、もうこれはしょうがない。オンラインイベントではあるんですけど、「会場マップ」もちゃんと用意したりしてるんですよ。
「エアハンマケ」の会場マップは、徐々に全貌が明らかになっていきます。
 
作家さんにもブース番号がしっかり充てがわれてますね。これは、すごく素敵だね。とってもいいと思いました。
オンラインではあるけど、実際のイベントに近い体験もたくさんしてもらいたくて。“エア”と言いつつも、体験してもらいたかったこと、たのしんでもらいたかったことは、なるべく実現できるように。
八木
23日月曜日から、徐々にこのマップが公開されていっているんです。出展作家さんの作品を集めた特集の公開や、セット作品を購入することができる「ハッピーバッグ」という特集企画、それから、28日・29日は長時間のライブ配信も行います。
ライブ配信ではどんなものが見られますか?
八木
作品紹介はもちろん、スタッフが挑戦するワークショップや、お取り寄せしたフード作品を試食したり。たくさんの企画を用意してるので、InstagramYouTubeで、ぜひご覧いただきたいですね。
自宅にいながら、「minneのハンドメイドマーケット」を存分に体感してもらえればと思います。

※3月28日(土)・29日(日)に予定していたライブ配信は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための東京都からの外出自粛要請を受け、中止となりました。

パートナー企業さんとできること



そして、ハンドメイドマーケットは、ものづくりにまつわる企業さんやメーカーさんにも多数ご参加いただく予定となっていました。誘致に携わっていたスタッフ・菊池からも話を聞きました。
今年は、本当にたくさんの企業さんが参加を決めてくださってましたね。
菊池
そうですね。最初は、どのぐらいの企業さんにご参加いただけるか心配でしたが、ものづくりに関わる企業さんとお話すると、「ぜひminneの作家さんやユーザーの方にお会いしたい!」と言ってくださる方が本当に多くて。最終的には、18社もの企業さんにブースを出展いただく予定になっていました。
ブラザー販売株式会社さん・シヤチハタ株式会社さん など
 
みなさん、来場者の方々にたのしんでもらえるよう知恵を絞ってくださっていたので、わたしも本当にたのしみにしていました。
菊池
そうですね。どの企業さんも来場者の方に「体験してもらえる」「たのしんでもらえる」ということを本当に大事にしてくださっていて、そういうブースを一緒につくりあげられるように当初からお話していたので、本当はお見せしたい気持ちでいっぱいでした。
本当にそうですね…。作家さんにご覧いただきたい、素材や商材もたくさんあって。今回は残念だったけど、「エアハンマケ」でも企業さんのご紹介はあるんですよね。
菊池
はい、企業さんのご案内もSNSなどでどんどん行っていきますし、今回の『minneのハンドメイドマーケット2020』をきっかけに、初めてご一緒させていただく企業さんもたくさんいらっしゃるので、来年こそ参加したい!と思っていただける企画にしつつ、それ以外にも1年を通してさまざまな取り組みでご一緒できるとうれしいです。
 
これだけの数の誘致、素晴らしい活躍でした。この折だからこそ、ユーザーのみなさんにも、作家さんにも、企業のみなさんにもうれしいことを、どんどん提供できるように、頑張っていきたいですね。

「エアハンマケ」でお会いしましょう。


たくさんのスタッフ、パートナー企業のみなさん、そして作家のみなさんや、たのしみに待ってくださっていたお客さまに支えられ、「minneのハンドメイドマーケット2020」の準備は進められてきました。
そして、さいたまスーパーアリーナでの開催は残念ながら、実施することができなくなってしまいましたが、一層たのしんでいただくことができる企画を、駆け足で、それでも丁寧に、今たくさんご用意しています。

このような状況下ですが、ぜひ28日・29日は、ライブ配信で春のひとときを一緒に過ごしましょう。お会いできることをたのしみにしています。
 

※3月28日(土)・29日(日)に予定していたライブ配信は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための東京都からの外出自粛要請を受け、中止となりました。

エアハンマケの詳細はこちら

取材・文/中前結花  撮影/真田英幸

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