紙の専門
「紙」とひとことで言っても、色味や模様、厚い紙、薄い紙、きらきら、さらさら、つるつるなど質感はさまざま。株式会社竹尾は、そんな質感豊かな紙を約9,000種類も取り扱う、紙の専門商社です。1899年の創業以来、国内外の製紙会社やトップデザイナーとともにクリエイティビティを刺激する素材としての“ファインペーパー”を生み出し続けています。
東京・神田錦町には、竹尾のファインペーパーにより親しんでいただくスペース「見本帖本店」があります。ショップで紙をご購入いただけるほか、紙の魅力を活かしたサンプルや展示をご覧いただけます。専門スタッフがいつでもご相談を承りますので、ぜひ一度いらしてくださいね。
さて、これから毎月ひとつファインペーパーをご紹介する連載がはじまりました。
銘柄名の由来からおすすめの用途まで。たっぷりおはなしさせていただきますので、よろしければお付き合いくださいね。
約300銘柄・9000種類もある魅力的な紙の中から、初回にお届けするのは「玉しき」です。
「玉しき」の由来
「玉しき」は、散りばめられた玉模様の透かしが美しいファインペーパーです。銘柄名の由来は、玉敷き。玉を敷いたように美しい、など立派なものや場所に掛かる枕詞からきています。
紙一面に散りばめられたシンプルな透かし柄は、和の雰囲気はもちろん、使い方によってはモダンな印象も与えられると思います。
基本のカラーは白で、厚さは〈23.5kg 極薄物〉〈70kg 薄物〉〈100kg 厚物〉〈200㎏ 特厚物〉の全4種類。この「kg」という表示は、「連量(れんりょう)」といいます。同じサイズの紙を1,000枚重ねたときの重量で、紙の厚さの目安をあらわすものなんですよ。
それぞれの厚さを活かしたおすすめの用途をご紹介します。
おすすめの使い方
便箋、封筒、カードに
〈70kg 薄物〉は便箋などにぴったり。封筒や、少ししっかりさせたいカードには〈100kg 厚物〉を。さりげない玉模様がアクセントになります。
パッケージに
紙でつくるパッケージには大きく分けて“貼函(はりばこ)”と“組函(くみばこ)”の2種類がありますが、芯材に貼ってつくる貼函には、ほどよい薄さで紙の折り重なり部分も作業しやすい〈70kg 薄物〉がおすすめ。
1枚の紙をそのまま組み立てて作る組函には、しっかりと厚さと強度がある〈200㎏ 特厚物〉がおすすめです。折り目部分には、先のとがったもので裏側から折り筋をつけてから折るときれいですよ。
包装紙として
玉しきの中でもっとも透かしの魅力を味わえるのが、この〈23.5kg 極薄物〉。
とても薄いため印刷には不向きなのですが、軽く、柔らかく、薄い質感は、包み紙にぴったり。包んだものの色がかすかに透けるのも美しいです。
上品なカラーバリエーション
「玉しき」の基本色は白ですが、〈70kg 薄物〉〈100kg 厚物〉のふたつの厚さの紙は、白のほかに、青、紅(くれない)、黄、紫、玄(くろ)の、6色が展開されています。
中国から日本に伝わった「陰陽五行思想」を反映した色味に、飛鳥時代より日本で高貴な色とされた紫を加えた、和のテイストと相性のよいカラーラインナップになっています。用途に合わせてお好みの色をお選びくださいね。
和モダンな透かし柄
柄のバリエーションは、「玉しき」「玉しき みずたま」「玉しき きっか」「玉しき さしこ」の4種類。
「玉しき」よりも少し大きめの水玉模様の「玉しき みずたま」、菊の花をイメージした放射状の「玉しき きっか」、手芸の刺し子をイメージした直線的な「玉しき さしこ」があります。柄違いを組み合わて使うのもおもしろいですよ。
いかがでしたか。ご紹介した用途はごく一部です。「玉しき」はものづくりの素材としてもおすすめですので、ぜひ自由にたのしんで使ってみてくださいね。
それでは、次回もおたのしみに。
竹尾のウェブストアで「玉しき」を見る
編集 / 西巻香織 撮影 / 真田英幸