浮世絵師たちの代表作が手のひらの上の作品に
展覧会『The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション』が7月23日より、東京都美術館で開催されます。
太田記念美術館、日本浮世絵博物館、平木浮世絵財団の名品コレクションの中から、選りすぐった約450点の浮世絵版画が、前期・後期にわたり展示され、日本が世界に誇る浮世絵の魅力を、たっぷりとたのしむことができる史上初の催しとなっています。
前期展示 ※後期も他館所蔵の同作品が展示されます
浮世絵の歴史を展観する約60名の絵師の代表作が一堂に会する、この貴重な展示とminneのコラボレーション企画として、今回「葛飾北斎」「歌川広重」「東洲斎写楽」などの浮世絵18点をもとに、新たな作品を生み出すことに。
名作の魅力とそれぞれのアイデアを掛け合わせ、これまでにないコラボ作品をminneの人気作家のみなさんがじっくりと制作してくださいました。
制作の裏側とあわせて、その一部をご紹介します。
「HOKUSAIブローチ | 冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
七宝焼きで表現された、「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の波しぶき。銀箔の上に施釉(せゆう)し、「ざらつき」を残して焼くことで、光を乱反射して繊細にきらめく様子を見事に再現している、fericitaさんの作品です。
「Sharaku」
東洲斎写楽の「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」からインスピレーションを得た、Lamipasさんのブローチ。明るいパステルカラーで再現されたグラフィックと、クリスタルやチェーンとの組み合わせが新しく、Lamipasさんの魅力もたっぷりと詰まっています。
「北斎 山下白雨の雲リング」
ジュエリー作家・sayesさんが葛飾北斎の「冨嶽三十六景 山下白雨」から切り取ったのは、富士の背面に広がる印象的な「雲」。丸みを帯びながらも、繊細なラインのデザインが、手もとに優美な印象を与えてくれそうです。
「ビッグトートバッグ / 里しろねこねぐらの仮宿」
歌川国芳の「里すゞめねぐらの仮宿」の色使いに魅力を感じていたというfrip designさん。原作のすずめをネコに置き換えるというユニークな転換が、コラボレーションならではの大きな魅力になっています。
「神奈川沖浪裏ネックレス兼ブローチ 2way・冨嶽三十六景 葛飾北斎」
丸いフレームに収まった、葛飾北斎の「嶽嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の迫力ある波しぶき。樹脂加工で仕上げられた海は、富士に被さるように、生き生きと高いうねりを見せています。額に収めた絵画のように、胸もとに飾りたいアクセサリーです。
「長寿梅(白花)」
枝垂(しだ)れる花が印象的な石川豊信の「花下美人」、そして葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」をイメージして制作されたという、盆栽。誰もが知る歴史的名画を、丁寧に育てていくことができる、という新しいたのしみ方が生まれました。
「三代目大谷鬼次の江戸兵衛の真似をしている柴犬ブローチ」
ちょっと短い愛らしい足を精一杯広げて柴犬が真似をしているのは、東洲斎写楽の「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」。細かな図案と、くすりと笑ってしまうようなどうぶつたちの表情や仕草が魅力的なツトラボさんの作風が、コラボレーション作品として見事に落とし込まれています。
「ねがいをかけるひと 革花イヤリング」
淡いオレンジ色で表現された、石川豊信の「花下美人」の桜。繊細な革花と、帯の絵柄をモチーフにした飾り、短冊をイメージしたグレーのタッセルの組み合わせは、耳もとを可憐に飾りながら、小さな願いを叶えてくれそう。そんな、艶麗なあたたかさが美しいデザインに詰まっています。
「浮世絵 パズル箸置き -葛飾北斎 冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏-」
4つのピースが組み合わされば、葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」が浮かび上がる箸置き。粋なおもてなし、粋な贈りものとしても選びたい、「浮世絵」そのものの魅力を最大限に生かした陶器作品に、思わず「おお」と声が漏れます。
文化は時代を超えて
今回、歴史ある名作に、それぞれの作家さんの視点と技術が組み合わされ、新たな作品が数多く誕生しました。
浮世絵は、江戸時代の庶民たちに愛好された、日本のポップカルチャーです。褪せぬよう、その魅力を未来に継いでいくこと。そして、そこから発展させ新たなものづくりを実現し、再びカルチャーに波を起こすこと。
どちらの大切さにも触れられる機会、ぜひ芸術の魅力をたっぷりと味わってみてください。
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文 / 中前結花