本との出会い
Twitterでふと目に飛び込んできた「ちぎり絵」の写真に心を惹かれ、アカウントを見てみると、作り手はなんと御歳90歳超の女性。すばらしい作品の数々に、すぐさまトリコになってしまいました。
書籍では、そんな彼女のこれまでの作品群に加えて、人生を振り返ったインタビューや、制作工程などが紹介されています。本の帯を書かれたのは、なんとあの黒柳徹子さん。
めくる1ページ1ページに目をたのしませてもらいました。こんなに大胆に見開きいっぱいを使った作品紹介ページも。ちぎり絵は着色は一切せず、すべて本物の新聞紙が使われているので、細部を眺めていると「これは株価の紙面だ」「よく見るとお花の写真!」などおもしろい発見がたくさんありました。
そんな中でも特にお気に入りのページをいくつかご紹介します。
迫力あふれるブロッコリー
作り手の木村セツさんご本人が「いちばんようできた」と自賛されるブロッコリーは、新聞の「山の写真」をメインに使用したのだそう。とてもたくましく、まるでブロッコリーそのものの重さまで伝わってくるように感じました。
人生を語るインタビュー
「ちぎり絵をはじめるまで」と「これから」のことが語られているのですが、いいことも悪いことも、ご本人のことばで淡々と、自然体で綴られているところがいいなと思いました。驚いたのは、90歳でちぎり絵をはじめられるまで、絵は嫌いで、アート関連のものづくりとは無縁だったということ。人生、いつどんな出会いがあるかわからないものですね。
「新聞ちぎり絵」ができるまで
作業工程が紹介されたページでは、セツさんのスタメン道具も大公開。貼り付けには、ヘラ付きの「フエキどうぶつのり」を愛用されているのだそう。明暗を考慮した色選びや、下絵の消し方など、セツさん流のテクニックを学ぶことができます。
ではさっそく
せっかくなので、学びを活かして人生初の「ちぎり絵」に挑戦してみることに。新聞や、ちぎれるような雑誌は手もとに無いため、今回は紙に色を塗ってちぎってみます。
「すいか」のページを参考に、制作してみました。描いたり、塗ったりするのとはまた違う、偶然性のおもしろさがありますね。少しずつ手を加えて、徐々に完成していく過程が心地よかったです。
読み終えてみて
ものづくりをたしなむ人にぜひ読んでいただきたい「つくってみたい」という創作意欲を掻き立てる一冊です。身近な材料で、場所を問わずに挑戦できるところもポイント。わたしもいつか、新聞紙でカラフルなちぎり絵にチャレンジしてみたいなあ。
「ちぎり絵」という新しい趣味がまたひとつ増えそうです。
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この本を教えてくれたひと:minneスタッフ せんせい
文・撮影 / 西巻香織