その後の“きっかけ”となる写真
作品写真は、その後の“きっかけ”となる、大切な「顔」です。
第一印象を大きく左右するため、写真撮影や画像の補正は、まさに避けて通れない工程ですが、肉眼で見るよりもずいぶんと暗く見えたり、鮮やかさや質感のぬくもりが写真ではうまく伝わらないことも。
連載3回目となる今回も、とある作家さんの作品写真を一新することで、ギャラリーページが、あっとおどろくほどに生まれ変わりました。
◆ アクセサリー作家・「ANTEVORTE」さんの場合
糸刺繍にビーズ刺繍、そしてパールやきらきらと輝くビジューなど、いくつもの技法や素材を生かして、女性がとりこになってしまうようなアクセサリーを生み出し続けているANTEVORTEさん。
しかし、実際手に取ってもらったときの「質感」や色味」をしっかり伝えたいと考えつつも、うまく表現することが難しかったそうです。
今回もお悩みをうかがいながら、「魅力的に見せる方法」を編集部でも一緒に考えさせていただき、無料スマホアプリ「Adobe Photoshop Lightroom」を使って、ANTEVORTEさんにギャラリーページの「一新」に取り組んでいただきました。
この華やかな魅力を大切に
まずは、ANTEVORTEさんの作品の「魅力」や、目を惹きつける「ポイント」はどこか、について作品を見ながらじっくり考えてみます。
丁寧に刺繍をほどこした、その刺繍糸も、散りばめられたビジューやビーズも。
実物を拝見すると、どの作品も、それぞれがとても色鮮やかで、そこにあるだけでパッと存在感を放つような、華やかさがあります。
「華やかさを際立たせるため白いお皿を使い、作品と同系色の画用紙を敷くのはどうだろう」という話でまとまり、さっそく試してみることに。
「Lightroom」を使えば、実物を手に取るように、細かな刺繍の目やビジューの色味もしっかりと伝わるよう調整できるので安心です。
まずは、いちばんフィットするお皿をセレクトして、写真を統一してみました。右下のピアスは、発売されたばかりの新作です。
Lightroomに触れてみる。
実は「Lightroom」のアプリは、以前からプライベートで使用されていたというANTEVORTEさん。
しかし、作品写真の補正に使うのははじめてのことだそう。
◆ 「色温度」や「トーンカーブ」で調整して実物のカラーを
ぱっと明るく華やかな印象になり、またビジューひとつひとつの大きさや形、光沢具合もとてもよくわかるようになりました。
身につけたときのイメージも、ぐっと湧きやすい仕上がりに。
露光量の調整や、トーンカーブで明るさを調整することはもちろん、作品を見ながら、「色温度」や「自然な再度」をすこしずつ変えていくことで、実物の色味を再現します。どれも即時に反映されるので、とても便利。
◆ 「明瞭度」を調節して、繊細な刺繍の目まで
赤の惹きつけるような魅力が、とても伝わりやすくなりました。パールの白、お皿の白とのコントラストもよく映えています。
この作品の魅力のひとつでもあった「刺繍で仕上げられたからこその質感」も、「明瞭度」や「シャープ」という項目のスライダーバーを調節することで、この通り。
◆ 適切な「トリミング」もよくわかる
鮮やかなブルーのイヤリング。どこまで寄れば、ビジューひとつひとつの色形がより良く伝わり、また、ひと目で心を奪う写真に仕上げられるか。
「トリミング」はとても基礎的な作業でありながら、悩んでしまうことも多いはず。
Lightroomの「切り抜き」は、「カスタム」以外に8種類ものサイズが選べ、さらに細かな角度も調節しながら、「切り抜いたあと」をしっかりイメージすることもできるので、とても操作しやすくなっています。
◆ さらに、カバー画像の変更も
これまで、設定は考えたことがなかった、というカバー画像も、これを機に設定してみることに。
ピンクの画用紙を背に、ANTEVORTEさんおすすめの新作も含め、カラフルで魅力がぎゅっと詰まった作品がずらり。これなら、訪れたひとの心も、そのままぎゅっと掴むことができそうです。
そして、ギャラリーページが…
これが、「Lightroom」を使う前のギャラリーページです。
色鮮やかな作品の魅力やその世界観が、作品写真のトーンによって、作品の魅力に反し、すこしさみしく暗い印象を与えていました。
新しいページには、圧倒的な華やかさ、そして統一感が生まれ、ひとつひとつの作品の魅力が伝わってきます。
「どれにしようか」と目移りしてしまうような、たのしげでポップなギャラリーページが誕生しました。
スマートフォン(webページ)は、どうでしょう。
画像の編集に挑戦してみて
魅力を引き出す“編集”が、制作のたのしみになる。
不都合を修正ではなく、魅力を最大限に引き出し、実物の良さをしっかりと伝えることが「写真」でできたなら。
そんな「編集」は、ものづくりの最後の仕上げとして、なんだか“たのしみ”になってしまうかもしれません。
「写真を取らなくちゃ」「物足りないけど登録しなくちゃ」そんなループから抜け出すきっかけをつくることができればうれしく思います。
誰でも手軽に操作できる「Lightroom」アプリで、あなたもギャラリーページを「一新」させてみませんか?
文 / 中前結花 撮影 / 真田英幸