今回は、革のような質感の紙をいくつかご紹介します。クラシックで格式高い印象や、ヴィンテージ感を醸し出すことができますよ。どれもとても個性的なのでぜひ最後までご覧ください。
しなやかな含浸紙「コルドバ」
最初にご紹介する紙は「コルドバ」です。革製品で有名なスペイン、アンダルシア州の都市Córdobaから名付けられました。
色はベラム、ビスタ―、マルーンの3色。あえて不均一な色味がより革に近い質感を生み出しています。
コルドバは含浸タイプの紙です。“含浸”とは、紙を抄く(すく)ときに木材パルプの繊維の隙間に薬品や樹脂などをしみこませて強度や機能をもたせる製造方法のこと。
しなやかで強い紙なので、少し濡れたくらいでは破れません。ステッチやエンボスをほどこすのもおすすめです。ブックカバーにして毎日かばんに入れて持ち歩いても、しっかり本を守ってくれます。
手で揉んで、あえてしわをつけてヴィンテージ感を出すのもおもしろいですよ。自由な発想で使ってみていただきたい紙です。
高級感ただよう「ニューウエブロンカラー」
続いてご紹介するのは、皮革を模した紙「ニューウエブロンカラー」です。「コルドバ」同様に含浸紙。ラテックス(ゴムのような素材)を含浸しています。
表面の風合いはまさにレザーのよう。
しっかりとした厚みがありつつも柔軟に折り曲げることができ、多少の水濡れでは破れない丈夫さがあるので、メニューの表紙などにもよく使われています。
カラーラインナップは全6色。どの色も大人っぽくて高級感がありますね。
みなさんはどの色がお好みでしょうか。
レザーライクなエンボスペーパー「レザックシリーズ」
レザックシリーズは、“レザーライク(革のような)”という意味の合成語から名付けられたエンボスペーパーのシリーズです。
そのなかでも代表的なのは「レザック66」。カーフ(孔牛の皮)の皮しぼ模様をイメージしたエンボス模様で、有機的な線の強弱が、奥行きのある質感を生み出しています。
ちなみに、銘柄名の後ろの数字は、発売年を表しています(例:「レザック66」は1966年発売)。発売当時は今のようにカラー写真の印刷が手軽にできる環境ではありませんでした。印刷は1~2色が一般的で、紙自体の色柄を活かしてさまざまなデザインが考案されていたんです。
学校の文集の表紙や、演劇台本の表紙などで使われることが多いので、「見たことがある!」と思う方もたくさんいらっしゃるかもしれません。身近なところで活躍している紙です。
最新の銘柄は、2016年に発売された「レザック16」。これまで以上にやわらかでリアルな皮革の質感を目指した製品です。
全16色で、鮮やかな蛍光が2色ラインナップされているのも、従来の「革」のイメージからさらに飛躍していて魅力的です。
さいごに
含浸という製法によってしなやかさを実現したもの、エンボスで革の質感をつけたものと2つのタイプの「革のような質感を持つファインペーパー」をご紹介しました。
ぜひ使ってみてはいかがでしょうか。
竹尾には他にもたくさんの紙があります。
みなさんのものづくりにご活用いただけたらうれしいです。
それでは、次回もおたのしみに。
編集 / 西巻香織 撮影 / 真田英幸