インタビュー

イラストレーター・秋山洋子さん「“おいしそう!”を丁寧に描く日々」

【PR】クロワッサンやフランスパン、ピザなど、おいしそうな「パン」をモチーフに描き、作品を制作しているイラストレーター・秋山洋子さんの「ものづくり」をご紹介します。モットーは“おいしそう!”を描くこと。イラストを作品として形にする際のこだわりや、お気に入りの画材などたっぷりとお話をうかがいました。

秋山洋子
大好きな「パン」モチーフを中心に、イラストを活かした作品を制作。絵画教室も主催。
https://minne.com/@yoko-akiyama

記録としてはじめたスケッチ

秋山さんのギャラリーページには、見た目にもたのしい「パン」のイラスト入り作品がずらりと並んでいます。イラストレーターとしてパンを描き始めたきっかけをおしえてください。

秋山洋子
高校生のころ、雑誌『Olive』を愛読していて、デザインやカフェ文化に興味をもちました。大学でデザインを学び、上京して企画デザインの仕事をしていたのですが、そのとき、大好きなパン屋巡りをしては、食べたパンを記録として残すためにスケッチをしていたんです。
 
写真ではなくイラストで記録していたんですね。

秋山洋子
実はイラストは得意ではなかったのですが、まだデジカメもスマホも普及していなかったので、とりあえずメモのつもりで。しかし描き続けるうちに上達してきて、どんどんたのしくなりました!
その後、ご縁あって、パンの会報誌を描くようになり、今まで食べたおいしいパン屋さんを紹介したイラスト本を出版したことをきっかけに、食べものを中心に描くイラストレーターとなりました。
 
最初は描く日々だったんですね。

秋山洋子
そうですね。毎日描くうちに「このイラストのポストカードがあったらな」「カレンダーがあったらな」と思うようになっていって、イラストの仕事以外にパンの絵柄の作品づくりをはじめることにしました。

最近ではキャンバスバッグやエコバッグなど、紙もの以外の作品も人気。

思わず「おすすめ」したくなる

イラストを形として作品にするうえで大切にしていることをおしえてください。

秋山洋子
「おいしそう!」を届けるために、丁寧に描くことをモットーに、デザインはシンプルで使いやすく、を重視しています。例えばエコバッグは、オーソドックスでいておしゃれさもあるデザインと、くるくる丸めてパチッと留める使い勝手の良さが好評をいただいています。
 
使い心地の部分を大事にされているんですね。

秋山洋子
基本的に、自分が使って人にもおすすめしたくなるものをつくっています。エコバッグも、自分用として使った方がさらに「プレゼント用にも」とリピートしてくださることが多い作品です。

ちなみにデザインのインスピレーションは、大好きなパン屋さんやカフェで得るそう。「素敵だなと思うものを描いたり、その素敵な雰囲気自体を感じていただけるように、作品に落とし込むようにしています」と秋山さん。
 
感覚的なものだけでなく、実際に使った結果、おすすめしたくなる作品というのはいいですね。

秋山洋子
毎年、パンのカレンダーの制作を続けているんですが、自分で使っていてもほんとうにおすすめで(笑)。日付の書き込みができる手帳サイズなので、手帳としても使えますし、さまざまなパンのイラストだけでなく、コラムやレシピなんかも載っていて、本のような仕上がりになっています。
 
まさに、おすすめしたくなりそうです。

秋山洋子
おかげさまで今年で23冊目なのですが、何年もカレンダーをご愛用いただいている方が、歴代のカレンダーをたくさん持って個展にいらしてくれたことはとても印象的でした。びっちり書き込んであって、大切に使ってくださったんだなと感激してしまって。
 
過去のカレンダーを持っていらしたんですか。

秋山洋子
そうなんです。実は、カレンダーを発送する封筒のイラストを子どもに描いてもらっているのですが、毎年ご購入いただいている方は、子どもの成長とともに変わってきた絵もたのしみにしてくださっていて。カレンダーを通して、長く応援くださっている方々からあたたかいメッセージをいただくたびに、頑張って活動を続けようと思えますね。
これからも、おいしそうで、作品を眺めていてほっとした気持ちになったり、幸せな気分になったり、毎日をたのしんでいただける作品をつくりたいです。
 
そんな秋山洋子さんには以前に、「トンボ鉛筆とminneの特別企画」でトンボ鉛筆の画材を使った作品レシピ制作にご協力をいただきました。

秋山洋子さんの作品レシピ

秋山洋子さん考案のレシピ『ABTと水筆でつくる「手描きのランチョンマット&コースター」』より。

秋山洋子
自分がほしいなと思うものを考え、自分が使うことをイメージして絵柄を決めていきました。ウェルカムボードも兼ねて、いつかまたホームパーティーを気軽にたのしめる日常が戻ってくることを願って制作しました。
 
この作品レシピでは、トンボ鉛筆の「ABT」と「水筆」をメイン画材として使用いただきましたが、使用感はいかがでしたか。

秋山洋子
ABTは今回はじめて使ったのですが、ペンとしても使えますし、水筆でぼかすことで水彩絵の具のような表現ができ、とてもおどろきました。グレーやベージュなど多彩な色展開も魅力的でしたね。筆先とペン先の両方があるツインマーカータイプという点も便利だなと感じました。
わたしが主催する絵の教室でも生徒さんたちにも使っていただいたのですが、みなさん上手に使いこなしていましたよ。

生徒のみなさんが描いたクリームパンのイラスト。どのパンもこんがりと艶やかでとてもおいしそうです。「ABTはどなたにも使いやすい画材です。まずはラインや文字などのちょっとしたあしらいなど、細かい部分の塗り足しから慣れていくのもいいかと思います」。
 
よければ、普段の制作で使われている、お気に入りの道具や画材をおしえてください。

秋山洋子
普段は、イギリスの「Winsor&Newton」の透明水彩絵の具を使っています。発色が良くて透明感があるので、食べものがおいしそうに見えるんです。今後はABTとも併用することで、より色味の幅、表現の幅が広がりそうだなと感じています。
また、今回のレシピ制作で、文字の部分に「筆之助」という筆ペンタッチの画材を使ったのですが、筆先をかなり強くおさえてもコシがあり、カリグラフィのような文字も簡単に描けることを知り、お気に入り画材のひとつになりました。今では頻繁に使わせていただいています。
 
描き心地がとてもいいですよね。ぜひ日頃の制作でもご活用ください。
今回、秋山さんにはもう1作品「パンのイラスト入り紙袋とメッセージカード」を制作いただきました。色鉛筆ならではの、やさしいパンの雰囲気にほっこりとしました。

色辞典/IROJITENでつくる「パンのイラスト入り紙袋とメッセージカード」より。

秋山洋子
色辞典/IROJITENは、箱を開けて眺めているだけでも幸せな気分になりますね。前からスケッチを描く際にも使っていたのですが、今回改めて便利な画材だなと再認識しました。

秋山洋子
自分の力加減で、色の重ねやタッチを変えたりと、本当にいろいろな表現ができますね。絶妙なトーンがそろっているところもすばらしいです。
 
色のラインナップがほんとうにきれいですよね。

秋山洋子
箱ごとにトーンがそろっているので、ひとつの箱の中から選び、色付けをすれば自然と世界観も統一されてとても便利です。箱自体も素敵なので、みなさんもぜひインテリアとして飾るように手にとりやすい場所に置いて、まずは小さいサイズのカードなどをつくってみるのはいかがでしょうか?
わたしは今後、身の回りのお花やお気に入りの食器などの簡単なスケッチに使いたいです。
お手紙を書いたときのあしらいなどにも気軽に使っていきたいですね。
 
たしかに、さり気なく添えるあしらいにもぴったりですね!わたしも使っていきたいと思います。最後に、作家として今後やっていきたいことをおしえてください。

秋山洋子
挑戦をやめずに、あたらしいものをどんどんつくっていくことです。近いところではポストカードの新柄を予定しています。カレンダーは今年も大小をつくる予定です。さらに今後は、旅行記や身の回りのものを描いた画集のようなZINE(ジン)もつくりたいなと考えていますので、minneギャラリーページをのぞいていただけるとうれしいです。
こんなご時世なので、より多くのみなさんにたのしみをご提供できればと思います。



秋山洋子さんの作品レシピは、トンボ鉛筆メディア「FUN ART STUDIO」でご覧になれます。どなたにも手軽にチャレンジできる内容となっていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

「ランチョンマットレシピ」を見る「紙袋とカードレシピ」を見る



取材・文 / 西巻香織

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