特集

あの人の作業机 vol.21 ペーパージュエリー作家・いろtoいろさん

作り手が日々向き合う机の上には、こだわりの道具たちが所狭しと並んでいます。気になるクリエイターのみなさんにお声がけし、作業机や作業部屋を見せていただくことに。今回は、つけ心地も軽く、彩り豊かなペーパージュエリーを手がけるいろtoいろさんの机です。次にここから生まれるのは、どんな作品でしょうか。

いろtoいろ
180色以上の紙を取り揃え、つけ心地も軽く、彩り豊かなペーパージュエリーを手掛ける。
https://minne.com/@irotoiroshop

本来の色を届けるための工夫

いつから、この作業部屋を使われていますか?

いろtoいろ
作家活動をはじめた2018年に、もともと物置部屋となっていた部屋を作業部屋にしました。あまり陽当たりの良くない部屋なのですが、紙は陽にあたると変色してしまうので暗い部屋は好都合だったんです。
 
普通のお部屋だとすこし欠点になってしまう部分も、ペーパージュエリー制作には適した環境だったんですね。
作業環境のこだわりがあればおしえてください。

いろtoいろ
デスクライト、鏡、裁断機は特にこだわって選びました。
細長い紙でパーツをつくるクイリング作品で使用する紙は基本的に裁断機で自分でカットしているのですが、ミリ単位の調整が必要になるため、裁断位置が分かりやすいものを選びました。

いろtoいろ
180色以上の紙から色を選んで作品をつくっているので、色の違いを正しく認識するためにデスクライトは自然光に近い高演色LEDのものを使用しています。

鏡にはどんなこだわりがあるんですか?

いろtoいろ
イヤリングの見栄えなどを確認するために椅子の正面に鏡を置いているのですが、こちらもガラスの不純物を取り除いて色の再現性が高められたものを使用しています。
 
たくさんの色を正しく取り扱うために、さまざまな場所で心遣いをされているんですね。

いろtoいろ
そうですね。お客さまのお部屋の照明はそれぞれ色味が違うので、届いたときの印象はそれぞれ違うと思いますが、自然光の中で見たときに美しく映える配色を意識していますし、それを実現できる環境をつくっています。

必要なものは手の届く範囲に

ものづくりのための作業机の工夫をおしえてください。

いろtoいろ
机は奥行きも幅もたっぷりあるものを選び、必要なものがすべて卓上の手の届く範囲に置けるようにしてあります。
この机はA3サイズの裁断機を置ける奥行きですし、ものをたくさん置いても作業スペースが確保できるので気に入っています。
 

小物類もケースに細かく分けて収納されているのですっきりとした印象ですね。

いろtoいろ
はい。よく使うアイテムは基本的に立てて収納し、出し入れしやすくしてあります。平ヤットコと丸ヤットコ、ニッパーは同じシリーズのものを使用していて、立てて収納していると見分けがつかないので、マスキングテープで色分けしています。

紙を収納するボックスも椅子に座ったまますぐに取り出せる位置に置いてあります。

こちらはなんですか?

いろtoいろ
紙やチェーンをカットすることが多いので、机にメジャーを貼り付けているんです。見栄えは良くないですけど、いちいち定規を取り出さずに済んで便利ですよ。
 
作業机にいつも置いている「スタメン」のようなアイテムがあればおしえてください。

いろtoいろ
クイリングで使用するクイリングスロットや円定規、コーム、ピンセット、接着剤。あとは作品のレシピ管理や写真編集にも使用しているパソコンも欠かせません。
作家になる前はシステムエンジニアだったこともあり、パソコン作業は好きです。
 
制作に使用する道具は普段どのように選ばれていますか?

いろtoいろ
趣味でアクセサリーをつくっていた頃は、平ヤットコや丸ヤットコは安さ重視で買いました。でもすぐに手が疲れてしまって、評判の良い少し高めのもの使うようにしたら無駄な力が入らず疲れにくくなりました。道具ひとつで作業効率はかなり違うと思うので、少し高くても評判の良いものを選ぶようにしています。

ラベリングをして、整理整頓


 
たくさんのパーツや紙をご使用されていますが、材料の整理整頓術などがあればおしえてください。

いろtoいろ
とにかくラベリングして探す手間を少なくしています。
小さな金属パーツは、小さなケースに入れたものをまとめてパーツキャビネットの引き出しに入れているのですが、ケースにはパーツの名前とサイズをラベリングし、キャビネットの引き出しには大まかなパーツの種類をラベリングしています。

いろtoいろ
紙の収納には結構苦労したのですが、真っ直ぐ立てて収納できるようにクリアファイルの中に入れ、陽に当たらないようボックスにまとめてあります。
紙にもすべてラベリングし、色ごとに番号を振って番号順に並べているので探す手間が省けます。

いろtoいろ
在庫商品は傷が付かないようにひとつひとつビニール袋に入れてから、箱に入れて陽の当たらない場所に保管しています。

コーディネートの主役になるアクセサリーを

最後に、作品制作で大切にしていることをおしえてください。

いろtoいろ
紙作品なので、強度の確保やコーティングには神経を使っています。
デザイン設計の段階から強度がある形かどうかを考えていますし、接着時も丁寧に圧着しています。
クイリング作品の場合は巻くときの力の入れ具合で渦模様の隙間間隔が変わるので、アクセサリーとしての強度を出すためにギュッと巻いて間隔を詰めるようにしています。

いろtoいろ
クイリング作品の中でもコームを使った作品(例えば雨上がりの葉ブローチ)は透け感も大事にしつつ強度を確保するので、設計段階でかなり試行錯誤しました。
カッティングマシンを使用した作品の場合は、一見薄っぺらく見えるかもしれませんが、実は何重にも紙を張り合わせて硬く仕上げています。
 
素材は紙でも、しっかり頑丈につくられているので、安心して身につけられますね。雨の日のお出かけに身につけても大丈夫とおうかがいしました。

いろtoいろ
はい、そうなんです。コーティングは時間を置きながら何度も重ね塗りして、生活防水レベルの防水性を持たせています。お風呂場に3週間吊るしっ放しにして染みができないか実験したこともありました。

いろtoいろ
また、コーディネートの主役になれるような色使いや形も意識しています。わたしは洋服のコーディネートが上手ではありませんし、地味顔にコンプレックスを抱いていたので、作家になる前から大ぶりで派手めなイヤリングで華やかさをプラスするのが好きでした。
作家になるときに、わたしと同じように大ぶりなイヤリングが好きな人にもおしゃれをたのしんでもらえる作品をつくりたいと思いましたし、ベーシックな服装でもわたしのアクセサリーを身につけるだけで「おしゃれしてる感」を簡単に出せてしまうデザインにしたいと思っていました。鏡を見るたびに元気になれるような、日常に彩りを添えるアイテムを心がけています。

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取材・文/中村瑛美里

 

今後もminneとものづくりとでは、みなさんの「作業机」を募集しております。「#わたしの作業机」(「#minneとものづくりと」をお忘れなく!)の投稿をお待ちしております。

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