特集

新作おしえてvol.24「uenimukuさんの新作、kaichu-sanpo」

この連載では、作家さんにSNSで「新作」を募集。編集部の目にとまった素敵な作品を、制作の背景と交えてご紹介していきます。第24回目にご紹介するのは、uenimukuさんの新作、kaichu-sanpoです。

作り手は、uenimukuさん

uenimuku
カラフルなものからシンプルなものまで。そのときそのときの気持ちに合わせてアクセサリーや刺繍小物を制作。
https://minne.com/@carmick

uenimukuが生まれるまで

手づくりのものであふれる環境の中で育ったというuenimukuさん。母の手際よくつくられていくおいしい手料理、父の家具や木工作品、祖母たちのつくる洋服やかばんや編みもの。何かを手でつくり出すということは、生活の一部だったのだといいます。

uenimukuの代表作「マルマール」シリーズ

uenimuku
その中でも、“刺繍”というわたしの今の制作スタイルに大きな影響を与えているのは、祖母が好んでつくっていたレース編みだと思います。テーブルにかけられるほどの白い大きなレース編みの作品もありましたが、1番ときめいたのは、ビーズを入れ込みながらレース糸で編んでいく技法でつくられた「がま口のポーチ」。青いクリアビーズが均等に並べられた柔らかく繊細なポーチに惚れ惚れし、譲り受けました。

おばあさまから譲り受けたという、レース編みのポーチ

uenimuku
大人になり世界中を旅して、たくさんの国の人々の手づくりにも出会いました。中でも旅中に見た刺繍作品には度々心を惹かれ、いつかわたしも…と思いながらも、ほかにつくりたいものがありすぎて(笑)、なかなか手を出せずにいました。
そして、3年ほど前にやっと刺繍作品づくりをはじめました。

「子どもたちが寝静まった夜中か早朝に制作しています」とuenimukuさん。

uenimuku
まだ刺繍を始めたばかりのころ、娘のトレーナーにつたないお花の刺繍をしてみました。そのときの「うわ〜!かわいい〜!」というあのうれしそうな顔。刺繍に関する忘れられない最初の思い出です。子どもたちが生まれてからしばらくはアクセサリー類はつけなくなっていましたが、ある日、久々に手持ちのカラフルなイヤリングをつけてみようと思い立ち、身につけてみると、なんだかすっと気持ちが上がるのを感じて、同時に制作意欲がグッと高まりました。そのときの気持ちが「uenimuku(上に向く)」という作家名の由来になっています。

デザインはもちろん“つけ心地”も大切に

色使いが美しく、その繊細で丁寧な刺繍に思わずうっとりとしてしまうuenimukuさんの作品。
ご実家の目の前が海だったそうで、貝殻などの海にまつわるものからインスピレーションを得た作品が多いのも特徴です。

uenimuku
わたし自身がイヤリングを選ぶとき、デザインはもちろんですが、1番気にしているのが“軽さ”です。どんなにかわいいものでも、重いと肩が凝るのか頭痛が起きやすく、後々辛くなってしまって…。わたしのような経験をしている方も多いのかな?と思い、軽くても存在感のあるものをつくるように心がけています。

サークル部分を取り外すことができる2way仕様の耳かざり「chiquito 2way 青空と木

uenimuku
刺繍の耳飾りは、ほとんどが糸でできているため、とても軽く、つけているのを忘れるほどです。裏地の本革もあまり厚めなものは使わないようにしています。たまに大ぶりなものも身につけたくなる気持ちに応えられるよう、一部のモチーフを取り外すことができる「2way」で使える作品も制作しています。その日の気分で雰囲気が変えられるとお得感もあってうれしいですよね。

新作は、kaichu-sanpo

同じデザインでイヤリング、ピアス、ブローチを制作。

uenimuku
大好きなアーティストがレコードを出したことをきっかけに、「穴の開いた輪っかの耳飾りをつくってみよう」と思いつき、誕生しました。

uenimuku
イメージは海の中の景色で、“海中散歩”と名付けました。春の海の中の色やキラキラした光を表現したくて、さまざまな色や形のビーズやスパンコールを選びました。

「レコードban」シリーズも制作。

uenimuku
穴の空いた輪っか作品ははじめてだったので、内側の裏処理を何度もやり直し、革の種類やサイズ、糸のチョイス、綺麗に見える縫い方など、試行錯誤しながら、何度も試作しました。大きく存在感があるけれど、とっても軽いんですよ。

最後に、記事を読んでくださったみなさんに向けてメッセージをいただきました。

uenimuku
手刺繍は作品を仕上げるのにとても時間がかかるので、価格帯もお手頃…ではないのかもしれませんが、その分、よろこんでいただけるように、ひと針ひと針、丁寧に丈夫になるよう縫い進めています。みなさまの“いいね”やご購入してくださる方に感謝しながら、これからも丁寧にたのしみながら製作していきます。uenimukuのアクセサリーをつけて、少し“上向きな気持ち”を味わっていただけますように。

kaichu-sanpoはこちら


連載「新作おしえて」はSNS連動企画です。minne作家のみなさんは、TwitterまたはInstagramにて「#新作おしえて」「#minneとものづくりと」の2つのタグをつけ、新作画像と作品URLをつけてぜひご投稿ください。

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文 / 堀田恵里香

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