amii
ちょっぴりシュールなイラストを用いた作品を制作するイラストレーター。やさしい色使いが特徴。
https://minne.com/@amarty
https://minne.com/@amarty
妄想と現実の組み合わせ
「10の食べ物のデザインペーパー(A4)」より。
amiiさんの作品はカラフルながらも、やさしい色使いとすこしくすみのあるトーンが効いていて、どこか大人っぽさもあって。そのバランスが素敵です。
amii
ありがとうございます。手描きのイラストを使った作品をメインにしている中で、特に配色にはこだわっているのでうれしいです。
イラストのモチーフは食べもの、どうぶつ、植物などさまざまですが、どのようなところからインスピレーションを得ているのでしょうか。
amii
イラストはちょっとシュールな設定が好きなのですが、これは普段の妄想の中から生まれることが多いです。
また、街中を歩いて目に入ってくる建物、植物、広告などの中に、好きな色や素材の組み合わせを見つけては、すぐに携帯のメモ帳に入れておいて制作時のヒントにしています。たとえば今入っているのは「グレーがかった水色&モスグリーン」「こげ茶&ブルーよりの紫」など。忘れないように慌てて入れるので、自分にしか分からないものが多いのですが(笑)。
また、街中を歩いて目に入ってくる建物、植物、広告などの中に、好きな色や素材の組み合わせを見つけては、すぐに携帯のメモ帳に入れておいて制作時のヒントにしています。たとえば今入っているのは「グレーがかった水色&モスグリーン」「こげ茶&ブルーよりの紫」など。忘れないように慌てて入れるので、自分にしか分からないものが多いのですが(笑)。
妄想と現実の両方から得たものを組み合わせて、amiiさんの世界観がつくられているんですね。
「minne×The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション」コラボ作品「ホクサイのレターセット」。大胆な構図もamiiさんの線と色使いで、ポップな印象に。
amii
これまで、絵やデザインの勉強をしたことはないのですが、自分の中の「かわいい」という感覚は大切にしています。いつも、こんなものを描いてみたい、つくってみたいという気持ちがあふれたときに、制作に取り掛かかっています。
“amiiさんらしさ”が確立されているので、絵やデザインを特に学ばれてはいなかったというのはおどろきです。どのように作家活動をはじめられたのでしょうか。
amii
わたしはもともと、映像の仕事をしていたのですが、辞めてからはプライベートの時間に自分で何かをつくろうと思うようになりました。そこで始めたのが手描きのイラストを使った「コマ撮りアニメ」の制作で、帰宅後や休日に夢中で作業をしていたのですが、せっかくつくっても自分で見て満足するだけなのがだんだんと虚しく思えてきてしまって。ささやかでも何か実際に使えるものをつくって、もし誰かに手に取ってもらえたらうれしいだろうなと思い、minneに出品してみることを決めました。
レターセットやデザインペーパーなど、紙もの作品の一部。
「誰か」に向けたものづくりにシフトして作家活動をはじめられたのですね。つくったものをminneに出品してみていかがでしたか。
amii
最初に作品を購入していただいたときの気持ちは忘れることができません。自分のつくったものを誰かが手に取り、使ってくださると思うと今も毎回ドキドキします。
amii
その想いを伝えたくて、作品には手書きのメッセージカードを添えるようにしています。
心のこもったレビューや、直接お礼のお手紙をいただいたこともあり、いつも感謝感激です。
心のこもったレビューや、直接お礼のお手紙をいただいたこともあり、いつも感謝感激です。
デジタルとアナログの組み合わせ
普段の制作で大切にしていることをおしえてください。
amii
シンプルな線とやさしい色使いを心がけています。
彩色はデジタルで行っていますが、下絵は必ず手描きです。ちょっとした線の揺れを大切にするために、規則的な模様や直線部分もフリーハンドで描くようにしています。
また、彩色の際にベタ塗りではなく、すこし質感をもたせたいときには、趣味で集めているハギレをスキャンしたものや、撮りためた建物の壁の写真を使用することもあります。
彩色はデジタルで行っていますが、下絵は必ず手描きです。ちょっとした線の揺れを大切にするために、規則的な模様や直線部分もフリーハンドで描くようにしています。
また、彩色の際にベタ塗りではなく、すこし質感をもたせたいときには、趣味で集めているハギレをスキャンしたものや、撮りためた建物の壁の写真を使用することもあります。
手描きの線とスキャンした写真という組み合わせを想像をするだけでワクワクします。デジタルとアナログのバランスがおもしろいですね。制作において特にお気に入りの道具はありますか。
amii
わたしの作品はほぼすべて、パソコン、プリンタ、カッター、カッターマット、ものさし、のりがあればつくることができます。
背伸びすることなく、今のライフスタイルや能力の範囲内でものづくりを続けていけたらいいなと思い、特別な道具の要らない紙ものの制作に落ち着きました。
今使っているものはそれぞれかなり年季が入っていますが、すべて使いやすく、お気に入りです。
背伸びすることなく、今のライフスタイルや能力の範囲内でものづくりを続けていけたらいいなと思い、特別な道具の要らない紙ものの制作に落ち着きました。
今使っているものはそれぞれかなり年季が入っていますが、すべて使いやすく、お気に入りです。
そんな、普段はパソコンでイラストを描かれているというamiiさんに、以前「トンボ鉛筆とminneの特別企画」でトンボ鉛筆の画材を使った作品レシピ制作にご協力をいただきました。
amiiさんの作品レシピ
amiiさん考案のレシピ『ABTと筆之助でつくる「2種の水彩模様のサンキューカード」』より。
amii
トンボ鉛筆のブラッシュペン「ABT」という初めての道具にチャレンジしてみるつもりで参加させていただきました。
レシピは、特別な道具や技術がなくても気軽に「つくってみたい」と思ってもらえるようなものを心がけつつ、ABTのもつ透明感を自分の作品の中心である「柄」と「イラスト」にどう活かせるかを考えました。
レシピは、特別な道具や技術がなくても気軽に「つくってみたい」と思ってもらえるようなものを心がけつつ、ABTのもつ透明感を自分の作品の中心である「柄」と「イラスト」にどう活かせるかを考えました。
amii
レシピを考えるにあたってABTをあれこれ試してみるうちに、水筆を使い、色と色を重ねることでより水彩らしさが表現できたので、「サンキューカード」の柄に取り入れてみました。
ABTの使用感はいかがでしたか。
amii
わたしのような初心者でも、水筆と組み合わせることで気軽に水彩のタッチを出すことができました。面倒くさがりなので、道具も多く、片付けも大変な水彩絵の具を実際に使うのはつい敬遠してしまうのですが、ABTは思いついたときにすぐに使えるところもとてもよかったです。基本の色だけでなく、ニュアンスのある色もたくさんありますし、色を混ぜれば無限に色がつくれるので、色へのこだわりも追求することができました。
amiiさん考案のレシピ『鉛筆とABTで描く「水彩どうぶつのフレークシール」』より。
「水彩どうぶつのフレークシール」レシピでは、ABTと鉛筆を組み合わせていましたね。
amii
鉛筆の粗い線と水彩の組み合わせは以前から気になっていたんです。今回わたし自身も初めて試してみて、ほっこりした仕上がりになってとても気に入っています。鉛筆ならではのゆらぎのある線であれば逆にイラストがうまく描けなくても、お子さんの絵などでも、どこか味わいのあるものになるかな、と。
どうぶつも愛嬌があってかわいらしいですし、ぜひ親子でもチャレンジしていただけたらうれしいですよね。手描きのおもしろさもあらためて感じていただけるレシピだと思うのですが、amiiさんは、手描きの魅力はどんなところにあると考えますか。
amii
上手・下手に関係なく、どんなものでも描く人の味が出て、独特のかわいらしさが生まれるところにあると思います。線のかすれやゆらぎ、濃淡のムラ、不揃い感など、完璧ではないところに愛着を感じ、「ほっこり」という感覚が生まれている気がしますね。
amiiさんが今後、描いてみたいものをおしえてください。
amii
レシピ開発時にABTをあれこれ試している中で、偶然とてもきれいなにじみができることがありました。今回はそれを思い通りにつくることができず断念したのですが、今後、にじみを生かした模様をつくれたらおもしろいなと考えています。
世界各国に伝わる「伝統柄」を描いた作品「世界の伝統柄のカレンダー2021」。お部屋のおしゃれなアクセントに。
とっても美しそうです。たのしみにしています!それでは最後に、作家としての今後の展望をおしえてください。
amii
minneへの出品を始めてから、個人的にさまざまなライフスタイルの変化がありました。
そんな中続けて来られたのは、「つくりたい」という欲望に忠実であったことと、つくったものを実際に手にとり、よろこんでくださる方がいるということ、そしてそれを今でも毎回、新鮮にうれしいと感じられていることに尽きると思います。
今後もものづくりをたのしむ気持ちを忘れずに、変化に対応しつつ制作を続けていこうと思っています。
また、もともと好きな「映像」と「ハンドメイド」を掛け合わせることはできないかとずっと考えてきました。まだまだ具体的なイメージにはなっていませんが、いつか形にしてみたいなと思っています。
そんな中続けて来られたのは、「つくりたい」という欲望に忠実であったことと、つくったものを実際に手にとり、よろこんでくださる方がいるということ、そしてそれを今でも毎回、新鮮にうれしいと感じられていることに尽きると思います。
今後もものづくりをたのしむ気持ちを忘れずに、変化に対応しつつ制作を続けていこうと思っています。
また、もともと好きな「映像」と「ハンドメイド」を掛け合わせることはできないかとずっと考えてきました。まだまだ具体的なイメージにはなっていませんが、いつか形にしてみたいなと思っています。
amiiさんの作品レシピは、トンボ鉛筆メディア「FUN ART STUDIO」でご覧になれます。どなたにも手軽にチャレンジできる内容となっていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「水彩どうぶつのフレークシール」を見る「2種の水彩模様のサンキューカード」を見る
取材・文 / 西巻香織