作り手は、川崎姉妹さん
川崎姉妹
ビーズや淡水パールを組み合わせ、やわらかくやさしい雰囲気の刺繍作品を制作。
https://minne.com/@tete-ru
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作家・川崎姉妹が生まれるまで
繊維業の盛んな町で生まれたという川崎姉妹さん。お父さまは婦人服関連の仕事、お母さまは自宅で工業用ミシンを使い婦人服をつくられている環境で育ったのだそう。
「さっと制作できるよう、道具はそのときに必要なものだけ小分けにしています。いつか自分だけの作業机を構えることが夢です」と川崎姉妹さん。
川崎姉妹
母の仕事部屋には入ることはできませんでしたが、工業用ミシンの規則正しい音を聞きながら幼少時代を過ごしていました。生地、はさみ、針などといった手芸道具が身近にあったため、小学校のころからは自然とパッチワークや、編み物、ビーズ編みを親しむようになりました。
川崎姉妹
わたしが結婚する際には、嫁入り道具として母から『裁ちばさみ』が贈られました。「危ないから」と絶対に触ってはいけなかった、私の憧れのアイテムです。残念ながら、現在使用していませんが、いつかこの『裁ちばさみ』を使うような作品をつくってみたいですね。
「刺繍リボンとつけ襟は娘のためにつくったもの。裁ちばさみは母から贈られたものです」。
川崎姉妹
生活の変化とともに、1度ものづくりから離れたわたしが再び自分の手で制作を始めたのは、娘の妊娠を機に職を離れたことがきっかけでした。娘の肌着やスタイをつくりながら、あらためてわたしはものづくりが好きなんだということを自覚しました。
そんなときに出会った、蓬莱和歌子さんの刺繍作品。美しさに魅了され、心の赴くままに、娘のための刺繡リボンやつけ襟をつくりました。娘に手渡したときのうれしそうな顔は今でも忘れられません。さらにその作品を見て、わたしの妹から依頼を受け人生初の刺繍のアクセサリーをつくりました。今でも妹はその刺繍のアクセサリーを身につけてくれ、大事に使ってくれています。
そんなときに出会った、蓬莱和歌子さんの刺繍作品。美しさに魅了され、心の赴くままに、娘のための刺繡リボンやつけ襟をつくりました。娘に手渡したときのうれしそうな顔は今でも忘れられません。さらにその作品を見て、わたしの妹から依頼を受け人生初の刺繍のアクセサリーをつくりました。今でも妹はその刺繍のアクセサリーを身につけてくれ、大事に使ってくれています。
妹さんにプレゼントしたという刺繍とパールの耳飾り。
大切なだれかのために
やさしい色使いや繊細な刺繍、ビーズ使いが魅力的で、画面越しでもずっと眺めていたくなってしまう川崎姉妹さんの作品。そんな作品が生まれる背景には、「だれかに贈りたい、よろこぶ顔が見たい」という川崎姉妹さんの想いがありました。
川崎姉妹
こうして振り返ってみると、わたしのものづくりの根っこには、だれかのよろこぶ姿があります。わたしの好きなもの、わたしの手でつくったものが、だれかのよろこびにつながる。その笑顔が見たくて、わたしはものづくりをしています。
川崎姉妹さんの代表作、「パンジー色の花刺繍のイヤリング」。植物が大好きで、よく題材にされるという川崎姉妹さん。作品には「品のある甘さ」を忍ばせるようにしていているのだそう。
川崎姉妹
わたしがつくるすべての作品には、「贈りたい人」が存在しています。それは自分であることもありますし、家族や友人、お客さまであることもあります。その人が好きな色や、その人の服装からイメージをし、デザインを考えています。その人によろこんでほしい!という願いが共感を呼び、新しい出会いにつながってほしいと思っています。
川崎姉妹
作家活動をスタートさせたばかりのころ、お客さまに届けたピアスの金具が外れるということがありました。幸いお客さまからご連絡をいただき対応させていただいたのですが、わたしがつくっているものは“だれかへの贈りもの”であるのに、そのような悲しい思いをさせてしまい、本当に苦しかったです。
川崎姉妹
それ以来、金具は接着剤だけではなく、縫いの工程もプラスし、横から見ても美しい接着となるよう仕様を変更しました。完璧なものにはならない世界ですが、それでも贈りたい人につくる以上、今の自分の持てる技術を常についやす、ものづくりをしたいと思っています。
そのほか、できるだけ耳への負担を減らせるような仕立てを目指しているのだといいます。
新作は、『コデマリの刺繍リボン』と『ピンク紫陽花の刺繍リボン』
川崎姉妹
今回の新作を制作するにあたり、思い浮かべた“贈りたい人”は、娘と母です。『努力』の花言葉をもつコデマリは、雪のようにふわふわとした小さな白い花を、4月に咲かせます。その姿がともかわいらしく、『自分から努力したくなるような輝くものに出会ってほしい』という願いを込めて娘に。
川崎姉妹
『元気な女性』の花言葉をもつピンク紫陽花は、母に。60代の母は、ピンク色が大好き。ただ恥ずかしいようで、わたしには隠しています。そんな色こそ贈りものにしたらよろこんでもらえると思いました。花言葉も母の日のプレゼントにぴったりなので、このモチーフを選びました。
川崎姉妹
特にこだわったポイントは生地選びです。白地は決めていたのですが、その生地感に悩みました。手芸屋さんを3店舗渡り歩き、コデマリには『努力のひたむきさ』を添えられるような麻が入った生地。ピンク紫陽花には、ぱっと目をひく明るい白の生地を選択しました。
「ビーズを刺しているときは、お化粧をしているような感覚です」。
川崎姉妹
平面の生地に刺繍をほどこすことで立体感が生まれます。同じタイミング、同じ材料でつくってもそれぞれに個性があります。手刺繍のあたたかみを感じていただければ、ともうれしいです。
最後に、記事を読んでくださったみなさんに向けてメッセージをいただきました。
「最後の仕上げは、まるで命を吹き込んでいるように思うときがあります」。
川崎姉妹
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
このような機会をいただき、わたしはものづくり、そして誰かの笑顔が好きなことを再確認しました。いつも見守ってくださる方には感謝しかありません。これからも、だれかの笑顔がみられるよう、針を進めていきます。
このような機会をいただき、わたしはものづくり、そして誰かの笑顔が好きなことを再確認しました。いつも見守ってくださる方には感謝しかありません。これからも、だれかの笑顔がみられるよう、針を進めていきます。
連載「新作おしえて」はSNS連動企画です。minne作家のみなさんは、TwitterまたはInstagramにて「#新作おしえて」「#minneとものづくりと」の2つのタグをつけ、新作画像と作品URLをつけてぜひご投稿ください。
文 / 堀田恵里香