インタビュー

ハンドメイド雑貨ブランド・イラストによる食卓。さん「作るきっかけ作り」

【PR】こんぶ巻きのブローチや、カイワレ大根のハンカチなど、思わず「ん?」と二度見してしまうようなイラストグッズを多数制作されている、 イラストによる食卓。さんの「ものづくり」をご紹介します。新しくスタートされた、作風をがらりと変えた新しいものづくりについてもお話をうかがいました。

イラストによる食卓。
イラストレーター・イイダアヤカによるハンドメイドブランド。繊細なタッチのイラストを元にユニークなデザインの雑貨を制作。
https://minne.com/@aoaota/

インスピレーションの源は「オマケ」

イラストによる食卓。さんの作品は、キャッチーなモチーフ選びとリアルなタッチのイラストのバランスが絶妙で、見れば見るほどにクセになります。もともと描くことがお好きなのでしょうか。

手のひらサイズの「おにぎりのメモセット」。漬物がシールになっています。

イラストによる食卓。
そうですね。minneに登録した最初の頃はイラストの原画を販売していました。振り返ってみると描くことに限らず、図画工作が幼い頃からずっと好きですね。minneがわたしのイラスト活動を、ハンドメイド作品に展開するきっかけをくれたと思っています。

イラストによる食卓。としてminneで活動を始めた初期に販売されていたイラスト原画のひとつ、「ハム」。

上記のイラスト原画を元に生まれた作品「ハムのブローチ」。UVレジンでコーティングされたさり気ないツヤ感がハムのフレッシュさを演出。

手がける作品は、ブランド名の通り食卓に並ぶモチーフではあるものの、どこかちょっぴり変わったものが多い印象です。

イラストによる食卓。
おそらく、誰もが見たことのあるものばかりだと思うんですが、すこしズラした発想のアイテムが多いかと思います。手にとった方に、くすっとしてもらいたいという気持ちがあります(笑)。

虹色に輝くオーロラのようでいて、よく見るとにぼしがぎっしり。「にぼしがいっぱい!リング」。

まさに、思わずくすっと頬を緩ませている人がたくさんいると思います。イラストによる食卓。さんの作品作りにおけるインスピレーションはどんなところから得ているのでしょうか。

イラストによる食卓。
わたしはポップな音楽のレコードと古着が好きなのですが、どちらも知識があると楽しい分野なので、勉強したり、友だちとの情報交換を通してインスピレーションを得ていると感じています。

レコードというと、音楽からということでしょうか。

イラストによる食卓。
音に限らず、ハンドメイドのジャケットや、ポストカードやポスターのオマケが付いたレコードもいっぱいあって素敵なんですよ。そのちょっとしたオマケからヒントをもらうことが多いです。

お気に入りの手作りジャケットのレコードをいくつか見せていただきました。

真似から入るものづくり

イラストによる食卓。さんのものづくりで大切にしていることを教えてください。

イラストによる食卓。
流行にとらわれないことです。でも流行をいつでもチェックはしています。世の中の動きを見ながら、年月が経っても大切にしていただけるような、芯のあるものづくりを目指しています。

普段、イラストを描くときの画材は何を使用されているのでしょうか。

イラストによる食卓。
メインで使っているのは不透明水彩絵の具です。イラストは繊細に、本物のように描くようにしています。このアルミのパレットはわたしの相棒的な存在。ちょっと汚くしているのですが(笑)、絵を描くごとに表情が変わっていく様子が好きですね。

「これだけは」というこだわりがあれば、おうかがいしたいです。

イラストによる食卓。
身の回りにあるものを使って、手作業で作ることにこだわっています。
手作業にすることで手癖もあって、それが自分らしさにつながると考えているんです。また、身の回りのものを使う理由は、誰にでも真似できる作品に仕上げるためです。

ハンドメイド作品に仕立てるときに使うはさみは、おばあさまからの贈り物。「おばあちゃんも素敵な作品を作る人で尊敬していましたので、もらったときはとても嬉しかったですね」。

真似できる作品?

イラストによる食卓。
そうです。実はわたしの作品はどれも誰にでも真似できるようなものになっています。それは、「誰でもものづくりってできるんだよ」ということに気づいてほしいからだったりします。

作るきっかけを、作りたいということですね。

イラストによる食卓。
はい。わたしにもできるかも?と思っていただき、作る楽しさ、喜びをたくさんの方に体験してもらえたらいいなと思います。

そんなイラストによる食卓。さんには、以前に「トンボ鉛筆とminneの特別企画」でトンボ鉛筆の画材を使った作品レシピ制作にご協力をいただきました。ここからはその制作を振り返っての感想をおうかがいしていきます。

イラストによる食卓。さんの作品レシピ

イラストによる食卓。さん考案のレシピ『ABTと筆之助で描く「名刺入れにもなるミニチュアみかん箱」』より。

今回の企画はまさに、みなさんに描いてもらう、作ってもらうきっかけになりましたね。

イラストによる食卓。
とにかく気軽に「作ってみたい」と思えるような作品を、と考えたレシピなのでそういっていただけると嬉しいです。

1作品目のレシピは、誰もが目にしたことのある「みかん箱」のミニチュアの作り方。ダウンロードできるテンプレート付きだったので、大人も子どもも一緒にチャレンジできたのではないかなと思います。2作品目はマジックのような不思議な仕掛けがあってわくわくしてしまいました。

イラストによる食卓。さん考案のレシピ『ABTで描く「グラスに色がつく不思議なカード」の作り方』より。

イラストによる食卓。
どちらのレシピも工作としてはポピュラーなものなんですが、誰でもチャレンジしやすいと思ったからこそこのアイデアを採用しました。音楽でもサンプリングとかインスパイアという言葉がありますが、自分の好きな他人の曲の一部を使って自身の作品に仕上げていく。そんな感覚からレシピを考えていきました。

メッセージカードのケースには、あっと驚くユニークな仕掛けが。

イラストによる食卓。
今回は、工作のレシピを参考にしつつ、背伸びしたきれいな見た目にするために自分で考えた独自のサイズ感や仕様でレシピをアレンジしていますので、そこに注目して制作にチャレンジしていただけたらと思います。

ABTや水筆の使用感はいかがでしたか。

イラストによる食卓。
普段から鉛筆はトンボを使っていたりと長年お世話になっているのですが、今回の企画で改めて画材の品質の高さに驚きました。発色の良さと色の展開の仕方が素晴らしいです。
この企画のあとも、別のレシピをたびたび思いついてしまって。こんなに創作意欲の湧く画材なんてあまりないと思います。

イラストによる食卓。
特に気に入ったのがABTです。筆と細ペンの2つの芯のサイズ感もちょうどよく、1本だけでもこんなに味わいのある線画を描けるのか、と驚いてしまうほどでした。筆の芯は広い面の塗りもできるので、さまざまなイラストを描くわたしにとっては便利すぎてこれ以外使えないかも...となっています。

ABTで描いたZINEのためのイラスト。「1本で強弱とメリハリもつけやすくて最高です」とイラストによる食卓。さん。

イラストによる食卓。
わたしは、イベントでその場で簡単なオーダーイラストを描く活動もしているのですが、
画材は水彩なので、水入れや絵具、パレットなどたくさん画材をもっていかなければいけませんでした。ところがABTは、水彩のような使い方もできるので、ABTだけ持って出かければすむようになりました。

普段から手描きのイラスト作品を制作されているイラストによる食卓。さんですが、手描きの魅力はどんなところにあると思いますか。

イラストによる食卓。
手で線を引くときの音や芯の減る感触、とても気持ちがいいです。シンプルに、それが制作の楽しみなんだと思います。

今後、ABTで描いてみたいものはありますか。

イラストによる食卓。
すでにABTの新しい使い方を見つけてしまい、制作に励んでいます。
実は別の作家名でモール人形作りを始めたのですが、その着色にABTを使わせていただいています。モールはアクリル素材なのでインクが完全に乗り切らないのですが、ふき取るとちょうどいい淡さになってとてもかわいらしいんです。市販のモールにはない色が表現できるので、これからこの手法で作品を作っていきたいと思います。

ABTを使って着色したという寅のモール人形「縁起物を乗せた小さな寅ちゃんオーナメント【2022】」。やわらかいほんのりとした色付きに注目です。

モールの着色にABTとは、目からうろこの使い方でした。モール人形の新作も楽しみにしています。最後に、 イラストによる食卓。さんの今後のものづくりや夢について教えてください。

イラストによる食卓。
制作にまつわることの多くが地味で苦悩にあふれているのですが、創作を通して出会える人や環境にいつも感動や刺激をもらっています。それが自分自身を充実させていくと思っていて、つまりわたしは充実した人になりたいです。
夢は細々と制作を続けていっておばあちゃんになっても絵を描くことです。今の展望は、廃材を活用した作品作りなので今までとはまた違ったアプローチになるかもしれませんが、もしわたしをおもしろいと思ってくださった方がいたら見守っていただけたら幸いです。

廃材を使った新たな作品を制作中。どんなラインナップが誕生するのか楽しみですね。



イラストによる食卓。さんの作品レシピは、トンボ鉛筆メディア「FUN ART STUDIO」でご覧になれます。とてもユニークなレシピになっていますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

「ミニチュアみかん箱の作り方」を見る

「色がつく不思議なカードの作り方」を見る

取材・文 / 西巻香織

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