特集

新作おしえてvol.45「sayesさんの新作、千鳥格子ピアス」

作家さんにSNSで「新作」を募集し、編集部の目にとまった素敵な作品を、制作の背景と交えてご紹介していきます。今回ご紹介するのは、sayesさんの新作、「千鳥格子ピアス」です。

作り手は、sayesさん

sayes
和モダンなスタイルや、日本の伝統工芸などの繊細な細工、草花などの自然の造形美を活かした和柄をモチーフにした、シルバーアクセサリーを制作。
https://minne.com/@meleko

sayesが生まれるまで

sayesさんのものづくりの原点は家族。大型編み機で洋服をつくってくれていたお母さま、DIYでウッドデッキや自社の味噌工場の機械まで自作していたお父さま、自宅に趣味の陶芸工房をもっていたお祖父さま、編み物が達人級に上手だったお祖母さま…。中でも特にお祖母さまに影響を受けたのだといいます。

sayes
手を動かすことはボケ防止になるとの考えから、親戚が集まる際には必ず「手づくりキット」をもち寄っていました。祖母を囲みながらみんなでつくるのですが、祖母がわたしの作品を見て「いちばん上手よ」といってくれるのです。
その後、ひょんなことから「アートクレイシルバー」という技法を知り、これは挑戦してみたい!とキットを見つけ出したとき、思い浮かんだのは祖母でした。2人分の材料を買って帰り、掘りごたつで一緒につくったのを覚えています。

お祖母さまと一緒に取り組んだ「アートクレイシルバー」。その際に制作したのが、こちらと同型の「蓮の花リング」だったのだそう。

sayes
高校卒業後は音大に進学しました。しかし卒業後も、祖母とリングをつくった楽しさが忘れられず…。やっぱりジュエリーをつくる人になりたいと、ジュエリー店に勤務しながら、夜間にジュエリー制作の専門学校に通うことにしました。そこで出会ったのが、「ロストワックス」という技法。中でも繊細な表現が可能なワイヤーワックスを使ったものに惹かれ、今のスタイルにたどり着いたんです。

練り切りや落雁などの和菓子をモチーフにした「選べる和菓子ピアスセット 木箱入り

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結婚してからはジュエリー制作からすこし離れていましたが、子育てが落ち着いた頃にminneさんの存在を知り「売れるわけがないけど…ダメもとで!」と、登録。祖母とつくった蓮の花のリングを原型にした作品ひとつから販売をスタートし、それがすぐにご購入いただけたんです。とても素敵なレビューをいただいて、「わたしがやりたかったことはこれだ!」とはっきりと解りました。それからよいときも悪いときも、お客さまからの素敵なレビューに励まされ制作を続けてきました。

造形の美しさをとことん追求

まさに「和モダン」という言葉がぴったりなsayesさんの作品。制作するうえでのこだわりについてもうかがってみました。

水引などをモチーフにした、リングたち

sayes
“身につけていないときも美しいこと”を目指して制作しています。そのため、モチーフを強引にリングやピアスに仕立てることのないよう、自然な造形を意識してデザインしています。もちろん、裏側までこだわっています。

緻密な線で表現された模様が、光りの加減によって、美しい表情を見せる「和柄ピアス・イヤリング 市松模様&亀甲模様

sayes
モチーフにしているのは、わたし自身が「素敵!」と思うものです。それらのもつ魅力を伝えたい、分かち合いたい!という想いでデザインしています。和のものは、古い、渋い、というイメージをもっている方もいるかと思いますが、素敵で、かわいくて、カッコイイものなのです!

つまみ細工でつくられたお花をモチーフにした「つまみ細工ピアス

sayes
シルバージュエリーという、いわば洋のもので、和のデザインを緻密に繊細に表現することで、若い女性や働く女性たちなど、どんな年代の方にも似合うデザインになるのでは、と考えています。和のデザインは伝統的なものなので、皆さんもどこかで目にしたことがあるものだと思います。だからこそ、新しく、目を惹くデザインになるよう試行錯誤しながら制作しています。

新作は、千鳥格子ピアス

sayes
もともとセット販売していた、和菓子のピアスリングの単品販売をスタートしたところ、千鳥モチーフを選ばれる方がとても多かったんです。千鳥といえば千鳥格子柄。何か作品に展開したいな…と考えていました。
また同時期に、線を並べて表現したこちらのピアスを制作したのですが、同じ技法を使えないかな…と。そのふたつの想いが頭の中で混ざり合い「線を並べることで、千鳥格子柄が表現できるかも!」と気付いたときは、とてもわくわくしました。

ワックスで制作された、千鳥格子の原型。

sayes
すぐさま試作をし、耳に付けたときにかわいく見えるよう、線の数や長さを調節しました。また、羽になる部分が取れてしまうということが無いよう、裏側をしっかりとくっつけることで強度を出しました。
そして千鳥格子といえばやはり白黒ですよね。燻し仕上げの有無でそれも表現することができるので、お好きな色を選んでいただけるようにしました。

sayes
また千鳥格子の千鳥さんは天地の向きが無いので、同じデザインでありながら、右左どちらの耳に付けても千鳥さんがそっぽを向いてしまうことがないのもポイントです。

sayes
耳に付けたとき、千鳥の羽が耳たぶからちょこんとはみ出るところがわたしはとっても好きです。ユニセックスなデザインですので、男性にもおすすめです。カップルで付けるのもとても素敵だと思います。たくさんの方に楽しんでいただけると嬉しいです!

最後に、記事を読んでくださった皆さんに向けてメッセージをいただきました。

sayes
素敵なもの、好きなものを見たときはいつも、頭の中にアイデアの種として蓄え、新しいデザインを考えています。ジュエリーとして使うものですし、造形に制約があるので、形にしていくのは難しいときも多いのですが、だからこそ試行錯誤しがいがあり、思うように形になったときの喜びもひとしおなのです。新しいものをつくっているときは、とてもわくわくします。新しい発見や可能性も見つけることができるので、次の新たな作品につながっていきます。

sayes
好きなものをつくっていると、自分と同じものを好きな方がたくさんいらっしゃるということを知ることができて、それがとっても嬉しく、励みになっています。まだ作品にできていないものがたくさんあるので、それをひとつでも多く素敵な作品として表現し、それを好きな方へお届けできたらい良いなと思っています。


連載「新作おしえて」はSNS連動企画です。minne作家のみなさんは、TwitterまたはInstagramにて「#新作おしえて」「#minneとものづくりと」の2つのタグをつけ、新作画像と作品URLをつけてぜひご投稿ください。

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文 / 堀田恵里香

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