特集

新作おしえてvol.48「moisturesさんの新作、『私の好きなサラダ』刺繍ポーチ」

作家さんにSNSで「新作」を募集し、編集部の目にとまった素敵な作品を、制作の背景と交えてご紹介していきます。今回ご紹介するのは、moisturesさんの新作、「『私の好きなサラダ』刺繍ポーチ」です。

作り手は、moisturesさん

moistures
「糸から始まる。弾む会話を刺繍ポーチから」をテーマに、会話が始まるような、刺繍ポーチを制作。
https://minne.com/@moistures

moisturesが生まれるまで

結婚をし、生活が落ち着いた頃「何か始めてみようかな」と思いつきで購入したミシン。そこからmoisturesさんのハンドメイドライフはスタートしました。

いつも使用している帆布生地と刺繍道具。

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ミシンを購入してからすぐにその楽しさに魅了されてしまい、かわいい生地を見つけてはポーチや巾着をつくって友人にプレゼントしていました。わたしのことをよく知る人たちは当時「 “らしくない”ことをやってるな」と思っていたかもしれません(笑)。

引き出しにストックしている刺繍糸。

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ミシンにハマってしばらくが経ち、ちょうどハンドメイドに関する情報にアンテナを張り始めたタイミングで、10代の頃から憧れている女優の宮﨑あおいさんが、「刺繍が趣味」とご自身でつくられた作品をテレビで紹介しているのを見て、ビビビッときたんです。

moistures
わたし自身、古着系のファッションをしていたことがあり、特に刺繍が施されたワンピースが大好きでした。さらに、社会人になりたての頃、新人研修で東京に行き、仕事の合間に原宿の古着屋さんを訪れたとき、素敵な刺繍のワンピースをたくさん見かけて、わくわくが止まらなかった記憶が蘇ってきました。

moistures
これは刺繍をするしかない!と、さっそく道具をそろえて始めてみると、自分でも驚くほど刺繍の沼にハマっていったんです。これはすごいものに出会えたぞ、と。下書きの状態から色とりどりの糸で刺していく過程にわくわくが止まらず、そのときにも原宿の古着屋に行ったときのことを思い出しました。そのわくわくは現在進行形。もっと知りたい!学びたい!という想いが強く、資格も取得しました。そしてあるとき、自分で図案を考えてポーチに仕立てて販売してみようと思い、minneに登録してみたんです。

会話のきっかけになるポーチを

丁寧な手仕事と、思わず目を惹く色使いが魅力的なmoisturesさんの作品。制作においてのこだわりについてもうかがってみました。

moistures
大切にしていることは、バランスよく図案を配置すること、そして配色です。刺繍作品は図案が同じでも配色が変われば全く違う雰囲気になります。わたしの代表作である「メリーゴーランド刺繍ポーチ」もそのひとつです。

カラーバリエーションも豊富な、moisturesさんの代表作「メリーゴーランド」シリーズ

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作品を制作する際は、毎回配色のテーマを決めるのですが、ここからが難航するところです。ときには手が止まってしまい、見送ることもあります。「パッと目にとまるけど違和感はない」という絶妙な配色になるよう、試行錯誤の日々です。

ユニークな刺繍に思わずくぎづけ。エビフライ刺繍ポーチアジフライ刺繍ポーチ

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そして、常に意識しているのは「会話のきっかけになるようなポーチ」をつくりたいということです。購入してくださったお客さまのことはもちろんなのですが、そのお客さまの隣にいる方にも焦点を当てているといった感じです。そのポーチを見たとき、なにか声をかけるかな?どんな風に思ってくれるかな?と想像を膨らませています。

笑っているカニ、怒っているカニ…よく見ると表情が異なるカニが並んだ「カニ刺繍ポーチ」。

moistures
わたしのつくったポーチをきっかけに「それは刺繍?細かいね」や「おもしろいポーチだね」と会話が弾めば、ものづくりをする上でこんな幸せなことはないなと思っています。もしそんな会話が繰り広げられたなら…その会話の元を辿ると、一本の刺繍糸。なので「糸から始まる。弾む会話を刺繍ポーチから」をテーマとしています。

新作は、「私の好きなサラダ」刺繍ポーチ

ポップな原色バージョンと、蛍光色バージョンを販売。

moistures
日頃から刺繍のモチーフになるようなものはないかなと考えながら生活しています。あるとき、食卓に並べたポップでかわいらしい色合いのブロッコリーのサラダに目がとまり「よし、次はこれだ!」とすぐに思いました。

作品のモチーフになった、ブロッコリーのサラダ。

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おしゃれな本や雑誌からヒントを得るのももちろんいいですが、何気ない日常を切り取ってみるのもいいなと感じた瞬間でもあります。

「図案は下書きした後に、色鉛筆で色を決めます。使用する刺繍糸のナンバーと糸の本数、ステッチの種類も忘れないように一緒に書き込んでいます」。

moistures
はじめは、お皿に盛りつけられた様子をそのまま刺繍で表現しようと思ったのですが、もう少し工夫を凝らしたいと思い、規則正しく並べてみました。そして、もうひとつ工夫したのが使用する刺繍糸の本数です。この作品に限った話ではないのですが、刺繍する場所によって刺繍糸の本数を変えることで、微妙な凹凸が生まれます。

moistures
さらにステッチもいろいろな種類を取り入れています。トマトはロングアンドショートステッチ、ブロッコリーはフレンチノットステッチ、卵はサテンステッチです。楽しい雰囲気の作品になりそうだったので、凹凸差やステッチの差をプラスすることで作品からリズムを感じていただければ嬉しいです。

最後に、記事を読んでくださったみなさんに向けてメッセージをいただきました。

キッチン横にある作業スペース。「刺繍に興味津々の娘たちです」。

moistures
はじめましての方も、すでに知ってくださっている方も、読んでいただきありがとうございます!今、世の中は大変な時期で、落ち着かない日々を過ごしている方も多いと思います。会話のきっかけになってほしい、元気を与えられる作品をつくりたい、刺繍糸の力強さにパワーを感じてほしいと、すこしおこがましい気もしますが、日々そのようなことを考え制作しています。

moistures
そしていつも素敵なメッセージやレビューをありがとうございます。みなさんからいただいた言葉に心が震え、涙がこぼれたことは一度や二度ではございません。まだまだ道半ば途中ではございますが、今後も目にとめていただける作品づくりに励んでまいります。

・「私の好きなサラダ」刺繍ポーチ
https://minne.com/items/31074741
・「私の好きなサラダ」刺繍ポーチ(蛍光色)
https://minne.com/items/31074996


連載「新作おしえて」はSNS連動企画です。minne作家のみなさんは、TwitterまたはInstagramにて「#新作おしえて」「#minneとものづくりと」の2つのタグをつけ、新作画像と作品URLをつけてぜひご投稿ください。

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文 / 堀田恵里香

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