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新作おしえてvol.53「musubimosaicさんの新作、多肉植物の寄せ植えリースブローチ」

作家さんにSNSで「新作」を募集し、編集部の目にとまった素敵な作品を、制作の背景と交えてご紹介していきます。今回ご紹介するのはmusubimosaicさんの新作、「多肉植物の寄せ植えリースブローチ」です。

作り手は、musubimosaic /ムスビモザイクさん
国内外のガラスビーズやスワロフスキー・クリスタルを使ったアクセサリーを制作。
https://minne.com/@6musubi

musubimosaicが生まれるまで

母方の祖母がミシンの達人で、母は編み物が得意。父は陶芸や木工が趣味と、幼い頃から「楽しみながら何かをつくる」ということを身近に感じながら過ごしていたというmusubimosaicさん。本格的にものづくりに取り組むようになったのは4年ほど前なのだそう。

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幼い頃から“趣味のものづくり”に親しみを感じていたのですが、わたし自身は小学校で手芸部に所属していたくらいで、本格的にものづくりをスタートしたのは約4年前。現在住んでいる場所への引っ越しがきっかけでした。

白、薄紫、濃い紫の花がふんわりと咲く“カオリバンマツリ”をイメージしたブローチ「〈野山のブーケ〉◇ほどける紫

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住む場所が変わったことに伴う転職もあり、生活スタイルが大きく変化。漠然と何か新しいことを始めたいと感じていたとき、近所でハンドメイドのイベントが定期的に開催されていることを知りました。もともとハンドメイド作品を見るのは大好きだったのですが、そこで一気に「自分ごとになった」というか、「自分自身もやってみたい」と鮮烈に感じたのを覚えています。

まるで本物の多肉植物のようなみずみずしさ。小ぶりな作品の中に6種類の多肉植物を表現した「チェコガラスでできた多肉植物のミニブローチ 1

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今はガラスビーズのアクセサリーをメインに制作していますが、当時始めたのはクラフトバンドの小物づくりでした。クラフトバンドはカラーバリエーションが豊富な素材で、「花結び」という技法を使い、色とりどりのブローチやヘアアクセサリーなどをつくっていました。
その後、レジンやスワロフスキー・クリスタル、天然石など、扱う素材の幅が広がり、徐々にガラスビーズのアクセサリーが中心になっていきました。クラフトバンドやレジンの着色料などもそうなのですが、昔から本当に「色や種類が豊富なもの」に弱くて、ガラスビーズの世界にのめり込むのは必然だったのかもしれません。

初夏の時期にいきいきと茂るドクダミの花と、風にそよぐ野草をイメージしたブローチ。「〈野山のブーケ〉◇散歩道 /ドクダミモチーフのブローチ

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現在は主に、チェコ製の「チェコガラスビーズ」と国内のMIYUKIビーズを素材にしたアクセサリーを展開しています。わたしにとってはどちらも「沼」で、色も形も加工の種類も幅広く、名前や詳細を知っていきながら収集するコレクション的な楽しさがあります。
特にチェコガラスは、国内の素材屋さんだけでなく、珍しいものを探して海外のサイトを調べることもあります。時間が飛ぶように過ぎますが、充実感があります。

初夏に咲くバラをモチーフにした「〈野山のブーケ〉◇ 初夏の香り (ピアス/イヤリング)

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そうやってこつこつ集めてきたビーズを使ってちょうど1年前に始めたのが「野山のブーケ」シリーズです。これまで60点ほどつくってきました。幸いなことにminneでもいくつかの特集に掲載いただき、お客さまとの新しい出会いにも恵まれて、とても嬉しく思っています。

その作品だけの特別感を味わってほしい

繊細に輝くビーズを使ったアクセサリーがずらりと並ぶ、musubimosaicさんのショップページ。その美しい世界観に思わずうっとりと見惚れてしまいます。制作においてのこだわりについてもうかがってみました。

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何よりも大切にしていることは、お客さまに「嬉しい」「楽しい」と感じていただくこと。植物モチーフの作品が多いので、細かな部分のつくりや色合わせの雰囲気などを重視して制作しています。ビーズの表情の違いが楽しめるよう工夫したり、イヤーアクセサリーであればアシンメトリーデザインにしたり。モチーフ選びも含め、「次はそう来たか!」という楽しさを感じていただけたらいいなと思っています。あるお客さまから「使わないときも飾っておきたい!」というお声をいただいたときは、本当に幸せな気持ちになりました。

ブルーグリーンのドロップビーズをメインに、ブラウン系のマーブル模様や縞模様、すりガラス風のものなど、個性豊かな9種類のビーズを使ったチェコガラスでできた多肉植物のハットピンブローチ 2

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また、基本的なこととして、誠実で丁寧な制作を心がけています。「これは大切につくられた良いものだ」と感じられると嬉しくなりますよね。そんな想いもあり、制作の際には手間を惜しまず地道に作業を進めています。ビーズの色選びでも、直感は大事にしつつ、「適当でいいか」という選び方はしません。作品のほとんどが一点物なので、ゆっくりした制作スピードですが、ひとつずつきちんと向き合っていますので、その作品だけの特別感をお喜びいただけていたら嬉しいです。

多肉植物の寄せ植えをイメージしたアシンメトリーデザイン。「チェコガラスでできた多肉植物のイヤリング

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作品ページでは、素材の良さだけではなく、構造や使用上のポイントも詳しくお伝えするよう気をつけています。
例えば、ガラスビーズをテグスで台座に留め付けるタイプの作品だと「ビーズがぐらつかないように硬度の高い接着剤で隙間を固定しています」とひと言添えたり、すこし重ためのブローチであればピンがうっかり外れないためのひと工夫をお伝えしたりしています。お客さまにすこしでも安心して手に取っていただけたら幸いです。

新作は、多肉植物の寄せ植えリースブローチ

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今回の新作は、1年前から制作している「野山のブーケ」シリーズを発展させてつくったものです。「野山のブーケ」シリーズは、たくさんの小さなガラスビーズとアクセサリー用カラーワイヤーを使ってつくる、いわゆる「小枝アクセサリー」です。ブーケといってもお花屋さんで扱うような大輪の端正なお花ではなくて、野山で生き生きと茂っている草花をざっと無造作に束ねたような、気取らないイメージを大切にしてきました。

紫陽花の咲く庭のイメージでつくった立体的なリースブローチ。「〈野山のブーケ〉◇虹かかる庭 (紫陽花のリースブローチ)

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デザインはガラスビーズのストックを眺めつつアドリブで決めていきます。設計図などは書かず、その瞬間のひらめきで進めています…というとかっこいいのですが、いつも「今回はこのビーズを使いたい」というわくわくした感じからスタートします。

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モチーフは基本的にその季節の植物です。今であれば紫陽花やバラやカオリバンマツリなどを手がけています。街中で見かける鉢植えや野の花からイメージが浮かぶこともありますし、植物図鑑や生け花の本のほか、配色やデザイン関係の実用書なども参考にしています。
今回の多肉植物の寄せ植えリースブローチも、そんな流れの中から生まれました。
もともと、いつか多肉植物も形にしてみたいと思っていたのですが、「ちょっと尖った小さな葉っぱ」を表現できるビーズに出会えずにいました。ところがつい最近、「ゲッコー」という名前のチェコビーズに出会ったことで大きく進展しました。菱形に近い五角形で、5mmほどの小さなビーズです。寄せ集めるとバラや牡丹の花のようにも見えます。

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多肉植物もいろいろな形のものがありますが、中でも特に多いロゼット状のタイプに「ゲッコー」がぴったりでした。制作過程を載せていたSNSにも植物好きの方から反応をいただき、とても心強かったです。

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チェコガラスビーズで植物を表現するときには、見立てる・なぞらえる、というセンスを大事にしています。チェコビーズは必ずしも理想通りの色や形のものが国内で流通しているわけではありません。先程の「ゲッコー」も、実は「サイズ展開があればもうすこしリアルにつくれそうだな」と思ったりもしますが、ビーズの留め付け方を工夫することで本物らしさを演出しています。

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素材との出会いは一期一会で、海外のサイトを検索しても入手が困難な場合もあります。ある程度の制約があるからこそ、雰囲気が「それっぽい」ものを見つけ出せたときはとても嬉しいです。多肉植物の寄せ植えシリーズは特にその傾向が強く、実際の多肉植物にはない色のビーズもどんどん使っているのですが、全体としてはまさに寄せ植えという感じに仕上がるところが醍醐味かなと感じています。

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ちなみにリースブローチの場合、1個の中にだいたい20種類前後のビーズを使用し、15〜17種類程度の多肉植物を表現しています。
ビーズの配置や全体の色調には気を遣いますし、アクセサリーとしての強度を持たせるために最後に接着剤でひと粒ずつ固定していくので、非常に集中力と根気がいる作品です。
でも、植物がお好きなお客さまから熱意を込めたご感想をいただく機会が多くて、とてもありがたいですし、つくれてよかったと感じます。

最後に、記事を読んでくださったみなさんに向けてメッセージをいただきました。

多肉植物をモチーフにしたピアスたち。左はポップな色味でかわいらしい印象に、右はグリーンやグレー系で落ち着いたトーンに仕上げられています。(左)「チェコガラスでできた多肉植物のピアス 3」(右)「チェコガラスでできた多肉植物のピアス 2

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今回、「新作おしえて」への掲載のお話をいただきとても光栄です。張り切った結果、大半が「ビーズ沼」の話になってしまいましたが、小さくて細かいアクセサリーやボタニカルデザインがお好きな方の目にとまることができましたら嬉しいです。ギフトボックスに入れてお届けしますので、植物がお好きな方へのプレゼントとしてもご検討ください。
また、年齢や「女性らしさ」のような軸はあまり意識せずにわたし自身とても自由な気持ちでつくっているので、作品から風通しの良さのようなものを感じていただけたなら幸いです。

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今のところ、多肉植物シリーズではブローチを数種類とピアス・イヤリングをご用意しています。品切れになっている場合でも、受注制作の形で一点ずつビーズを変えてお作りしていますので、どうぞお気軽にお声がけください。同じ形のビーズでも色合いや表面加工で雰囲気が大きく変わるので、今後の作品もそれぞれの個性を楽しんでいただけたら嬉しいです。
最後までお読みくださってどうもありがとうございました。

・チェコガラスでできた多肉植物の寄せ植えリースブローチ
https://minne.com/items/32490900

その他の多肉植物シリーズ

・寄せ植えリースブローチ(色違い)
https://minne.com/items/32271425
・ハットピンブローチ
https://minne.com/items/32454365
・寄せ植えピアス(グリーン系)
https://minne.com/items/32579702
・寄せ植えピアス(ベージュ系)
https://minne.com/items/32579723


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文 / 堀田恵里香

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