幸楽窯(こうらくがま)とは?
佐賀県有田町で1865年に創業した幸楽窯。まだ日本の磁器の製造が始まった黎明期、海を渡ってやってきた職人集団のひとりが祖先にあたるのだといいます。江戸時代は火鉢にはじまり、家庭用食器、業務用食器、ときには戦時中は軍事用食器も手がけるなど、職人技の継承につとめながら同時に研究と挑戦を重ね、5代にわたって常に時代に合わせた進化を続ける唯一無二の老舗窯元です。
世界的デザイナー、人気絵本コラボも
「新しいチャレンジ」を大切にしている幸楽窯では、これまでに楽しいコラボレーションやイベント、企画を多数実施されています。
世界中を魅了する陶芸家でデザイナーのリサ・ラーソン氏とのコラボでは、リサ・ラーソンデザインの豆皿や箸置きを幸楽窯が制作。有田町のイベント期間にポップアップショップ「りさや」をオープンし、大盛況を博しました。
芸人で絵本作家でもある西野亮廣さんが手がけた「えんとつ町のプペル」とのコラボでは、有田焼で原画40枚を再現。光を通す特殊な陶土を使用することで、夜にライトアップし屋外展示をした際には、その幻想的な美しさが話題に。
有田観光の人気アトラクション・トレジャーハンティング
また、幸楽窯で常時開催されている「トレジャーハンティング」は、国内外の観光客に大人気のサービス。世界発行部数第一位の観光ガイドブックlonelyplanetにも有田を代表する観光スポットであり、トレジャーハンティングが取り上げられて掲載されるほどの人気ぶり。倉庫に眠る、歴代の職人が手がけてきた有田焼が定価でバスケットに詰め放題なんです。器の詰め放題はここだけ。市場に出回ることのない仕掛品(制作途中の作品)など、まさにお宝がいっぱい。
景色を乗せて「トラベリングタンブラー」
そんなユニークな幸楽窯と陶芸家・ジェレミー パレ ジュリアンのアイデアで生まれたのが、トラベリングタンブラーです。
コロナ禍、故郷カナダになかなか帰れなかったジェレミーが、今自分の見ている美しい風景を有田焼で表現し、想いを込めて両親にやきものを送りたい、自分の代わりにカナダに旅をさせたい、と語ったことが誕生のきっかけなのだそう。
受け取ったご両親がタンブラーを使っている様子を写真に撮って送ってくれたことで、まるで自分がそこにいるかのような不思議な気持ちになったのだといいいます。このタンブラーは旅をしている、そこから「トラベリングタンブラー」と名付けられました。
この素敵なアイデアを商品化した際には底にトラベリングタンブラーのInstagramQRコードをプラス。世界中のトラベリングタンブラーの様子を楽しむことができます。
日常的に持ち歩けて、ほっと一息つきたい休憩のおともにも便利なタンブラーですが、有田焼ならではの「丈夫さ」「軽さ」「美しさ」でギフトとしても注目を集めています。
minneでもトラベリングタンブラーを購入いただけますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
Traveling Tumbler Design Award and Competition 2022を開催
「トラベリングタンブラー」のデザインを募集開始
今回は幸楽窯とminneの共同企画、トラベリングタンブラーの特別バージョンを募集する企画として「Traveling Tumbler Design Award and Competition 2022」を開催します。
幸楽窯はジェレミーに続くようなクリエイターを国内外から広く常に探しています。
未来の有田焼の可能性を一緒に作り上げてくれるようなクリエイターさんと巡り合いたい、
そういう思いからこの企画が実現しました。
みなさんが「ぜひ有田焼の作陶に関わってみたい!」「自身の作品に有田焼を加えたい!」と思うような風景や思い、意気込みをタンブラーのデザインに落とし込み、デザインに込められたエピソードとあわせてご応募ください。
<募集企画名>
Traveling Tumbler Design Award and Competition 2022 by minne・幸楽窯
<企画概要>
みなさんの思い出の街や今住んでいる街、憧れの街など、「旅」をテーマとした、タンブラーのデザインを募集する特別企画を実施いたします。ご応募いただいた中で優秀なデザインは、有田の窯元「幸楽窯」さまの工房にて実際に商品化をさせていただきます。
なお、商品化したタンブラーデザインはminneの読み物メディア「minneとものづくりと」などさまざまなコンテンツにて発表予定です。
<応募期間>
2022年7月15日(金)〜8月17日(水)23:59まで
<応募条件>
・オリジナルのデザインであること
・デザインのサイズが100MB以内であること
・ファイルの形式がjpeg,jpg,pdf,png,zipのいずれかであること
・その他注意事項はこちら
<応募方法>
タンブラーフォーマットをダウンロードいただき、応募フォームより各項目をご記入の上、フォーマットに沿って作られたオリジナルタンブラーデザインを添付してご応募ください。
新しい挑戦を、一緒に
幸楽窯の5代目社長・徳永隆信さんはこうお話くださいました。
「有田焼は百花繚乱。幸楽窯は枠にとらわれずにたくさんの人と触れ合いながら、商品だけでなくものづくりの楽しさを発信し続けていきます。みなさんの想いやアイデアをわたしたちが確かな技術で有田焼のタンブラーとして形にしますので、安心して楽しんでご参加いただけたら嬉しいです。また、形にする際は有田に来ていただいて一緒につくることもできます。ぜひ、現場で一緒に作りたいというかた、ご応募ください。」
幸楽窯では、「アーティストイン・レジデンス」という滞在型の陶芸体験プログラムも行っており、現地でマイデザインを作陶することも可能なのだそう。有田焼の一連の流れを、職人さんの元で学ぶことができます。(詳しくはこちらをご覧ください。)
老舗の窯元だからこその高い転写技術と、釉薬などのバリエーションの豊かさで、柄ものやカラフルなデザインも大歓迎とのこと。忘れられない風景や憧れの景色など、自由な彩りで表現してみてくださいね。これまで焼き物に触れてこなかったという方も、新しいものづくりの扉が開くきっかけになるかもしれません。みなさんのご応募を楽しみにお待ちしています。
取材・文 / 西巻香織 一部撮影 / 真田英幸
企画・ディレクション / 中村瑛美里、宍戸広輝