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コウモリラン(ビカクシダ)とは?
コウモリランとは、個性的なフォルムとワイルドな見た目でインテリアとして人気の観葉植物です。コウモリランという名前は、葉が垂れ下がる姿がコウモリに似ていることに由来します。葉のかたちが鹿の角にも似ていることから、別名「ビカクシダ」とも呼ばれます。鉢や苔玉に付着したコウモリランをワイヤーでハンギングした飾り方が人気です。他にも、板や流木に付けて壁掛けスタイルで飾って楽しむこともできますよ。
コウモリラン(ビカクシダ)の特徴
属名:ビカクシダ属
学名:Platycerium
英名:Common staghorn fern
和名:ビカクシダ
別名:コウモリラン
原産地:アフリカ、アジアの熱帯、オーストラリア
コウモリランは、ウラボシ科ビカクシダ属に分類される植物で、個性的な見た目の2種の葉が特徴。株元を覆うように生える「貯水葉」と、鹿の角のようなかたちをしている「胞子葉」です。それぞれに役割があり、貯水葉は水を貯めるだけでなく、落ち葉をかき集め養分として吸収する役割をもちます。胞子葉は光合成をするために空に向かって伸び、胞子をつくります。表面には「星状毛」と呼ばれる白い毛が生えており、害虫や乾燥から葉を守る役割も。
また、コウモリランは、品種によって葉のかたちや長さなどの見た目にさまざまな違いがあります。ちなみに、コウモリランは「ラン」という名前が付いていますが、花は咲きません。
コウモリラン(ビカクシダ)の種類
コウモリランには個性の強い18種類の原種があります。今回は、人気の7種についてご紹介します。
ビフルカツム
ビフルカツムは寒さに強く丈夫なため、コウモリランの中でももっとも育てやすいといわれており、初心者にもおすすめの品種です。市場によく出回り、比較的安価に手に入れることができます。
ネザーランド
ネザーランドも初心者に育てやすい品種として人気です。寒さに強く丈夫で枯れにくい特徴があります。葉が立ち上がりやすく、飾る場所を選ばないところも人気のポイント。
ウィリンキー
ウィリンキーは、細長く白い胞子葉が垂れ下がる姿が特徴的。垂れた葉先がまさに鹿の角のように分岐します。寒さには弱いため冬でも15℃以上を保てる場所で育てるのが◎
リドレイ
リドレイといえば、まるでキャベツのようにくっきりとした貯水葉の葉脈が特徴。温度や湿度、光などの栽培環境のバランスが大切な品種のため栽培難易度は高めです。
グランデ
グランデは、名のとおりコウモリランの中でも大型の品種です。王冠状に大きく広がる貯水葉が特徴で、別名「森の王冠」。寒さにも強く、比較的育てやすい品種です。
ビーチー
ビーチーは、コウモリランの中でも小ぶりな品種。星状毛によって覆われた胞子葉は白っぽく見え、上に向かって細長く伸びる姿が特徴です。日本の気候でも育てやすい品種といわれています。
スパーバム
スパーバムは、大型の品種でワイルドな見た目が特徴。貯水葉は王冠のように大胆に広がり、よくグランデと混同されることも。高温多湿を好む品種なので、霧吹きでまんべんなく水やりをするとよく育ちます。
コウモリラン(ビカクシダ)に適した栽培環境
コウモリランを元気に長く育てるために理解しておきたい、適した栽培環境についてご紹介します。
日当たり
コウモリランは日光を好む植物です。屋内の日当たりのよい場所に飾りましょう。夏の直射日光は葉が傷む原因にもなるため、日陰やレースカーテンなどで光の量を調整してあげるのがおすすめです。
置き場所
コウモリランは、室内・屋外どちらでも育てることができます。日当たりがよく、風通しのよい場所が最適。日差しの強い夏場は、日陰や室内がよいでしょう。
温度
コウモリランは寒さに弱いため、温度が10度以上の場所で育てることが大切です。夏の直射日光だけでなく、気温にも注意し、冬場は窓から少し遠ざけて暖かい室内に置くと元気に育ってくれます。
用土
鉢植えする場合には、水はけのよい土(ピートモス8:パーライト1:小粒の軽石1の割合の配合土)が適しています。また、ハンギングや壁掛けで飾りたい場合には、保水力にすぐれた水苔を使って養着するのがおすすめです。
コウモリラン(ビカクシダ)の育て方
ここからは、コウモリランの育て方についてご紹介します。
水やり
コウモリランは高温多湿を好む植物です。春から夏にかけては、苔玉や用土が乾いてきたらたっぷり水をあげます。土やチップが乾いていない場合、水やりは不要です。水の与え過ぎは腐る原因にもなるので注意しましょう。
板や流木で飾っている場合には、板ごとバケツの水に10分ほど浸けてあげるのがおすすめです。冬の場合は、あまり水やりをせず乾かし気味に育てるのがコツです。
肥料
コウモリランは肥料がなくてもあまり枯れることはありません。ただし、肥料を与えることで早く生育するので大きく育てたい方にはおすすめです。5~10月の成長期に2~3ヶ月に一度のペースで、緩効性肥料(固形肥料)を置き肥します。液体肥料を与える場合は、薄めて2週間に一度のペースで与えましょう。生育が緩やかになる冬場は、根を傷ませる原因にもなるので肥料は与えないように注意が必要。
剪定
コウモリランは基本的に剪定の必要はありません。古くなった胞子葉を切り取る程度で十分です。
植え替え
コウモリランは、根を傷めるリスクを避けるため、よほど大きくならない限り植え替えはしません。大きく育ちすぎてしまい鉢植えから植え替えをする場合は慎重に行います。コウモリランの植え替えに適した季節は5〜9月頃といわれています。2、3年に一度の植え替えが目安です。水苔を丸めてつくった苔玉を、土を取り除いた根で覆い、さらにその上から水苔で覆います。鉢の底に軽石や発泡スチロールなどを敷き、苗を植えます。鉢ごと水の中に沈めて水苔に水を吸わせてから、半日陰の場所で管理します。
株分け
株分けとは、親株から子株の根や茎を分け、数を増やすことです。子株の葉が3枚以上あれば株分けのタイミング。鉢に植え替え、1ヶ月以上明るい日陰に置いて育てましょう。時期は植え替え同様、5〜9月が適しています。
コウモリラン(ビカクシダ)の育て方の種類・飾り方
コウモリランはさまざまな飾り方で楽しめる植物です。代表的な3つの飾り方をご紹介します。
鉢植え
コウモリランは鉢植えでも育てることができます。ただし、多湿になってしまい根腐りを起こしやすくなることも。水はけのよい土を使ったり素焼きの鉢を使ったりと通気性をよくする工夫が必要です。鉢植えを天井からハンギングするのもおすすめですよ。インテリアとしての見栄えがアップするだけでなく通気性もよくなります。
苔玉
コウモリランを苔玉で育てるのも人気です。苔玉とは根を土で球状に覆い、その周りを糸や苔で固定したもののこと。吊りでも置きでもさまざまなアレンジで飾ることができ、グリーン多めのナチュラルな姿でコウモリランを楽しむことができます。ただし、バランスが悪くなるため、あまり大きな品種には向きません。
板付け
板付けとは、鉢ではなくヘゴ板などの木の板にコウモリランを着生させて育てていく方法です。株分け同様に分けた子株を板の上にのせ、水苔と麻紐で固定します。コウモリランを存在感たっぷりのインテリアとして楽しめるおしゃれな飾り方です。一方で、初心者には着生がやや難しく、慣れるまでは水やりの際に周りまで水濡れさせてしまうことも。板付け方法については次の章で詳しく解説しています。
コウモリラン(ビカクシダ)の板付け方法
ここからは、コウモリランの板付け方法についてご紹介していきます。
コウモリラン(ビカクシダ)の板付けに必要なもの
・水苔
・テグス
・ハサミ・カッター
・ネジ
・電動ドリル・ドリルビット
※板付用に穴が開いている専用の板を使用する場合は、電動ドリル・ドリルビットは不要です。
ステップ1:水苔の下準備
今回は、コウモリランの植え込み材として水苔を使います。乾燥した状態で売られている水苔を10~20分ほど水に浸してふやかします。このとき、お湯を使用すると殺菌もできておすすめです。(お湯を使った場合はしっかりと冷ましてから使用します。)
ステップ2:板の下準備①ネジを打つ
次に、板付け用の板の加工です。板付けしたい位置を決め、板に円を描いておきます。その円を囲むようにネジを上下左右に打っていきます。このとき、先端を5mmほど残した状態で打つのがポイントです。
ステップ3:板の下準備②穴を開ける
コウモリランは湿気を嫌う植物です。そのため通気孔として板に穴を開けていきます。風がよく通るようたくさん穴を開けておきましょう。ドリルなどを持っていない場合は、あらかじめ穴の開いた板付け用の板を購入するのがおすすめです。
ステップ4:水苔とコウモリランを板に置く
コウモリランは、土や苔をあらかじめ取り除いておきましょう。準備ができた板の上(円の中央)にのせ、水苔を根の周りを包むようにドーム状に盛っていきます。
ステップ5:テグスで固定して完成
水苔でしっかりと包みこんだら、テグスで固定していきます。あらかじめ打っておいたネジにテグスを掛けていき、まずは水苔のまわりをぐるっと一周、次に上下左右に交差するように引っかけていきましょう。板を立ててみて水苔がずり落ちなければ完成です!
コウモリラン(ビカクシダ)を育てる際に注意したい害虫
コウモリランを育てるうえで注意したい害虫についてもおさえておきましょう。
ハダニ
0.3〜0.8mmほどの小さな害虫です。植物や果樹などの葉に寄生して栄養を吸うことで(吸汁)、吸われた跡が白い小さな斑点になってしまいます。放置してしまうと葉が枯れる原因になるため気をつけましょう。
アブラムシ
1〜3mmほどの大きさで、スス病などのウイルス病を媒介する害虫です。吸汁によってコウモリランに病気が発症してしまう原因となるため、早めの駆除が大切。
カイガラムシ
3〜5mmほどの害虫で、表面が硬いものや、白くてふわふわした見た目のものもいます。樹木や葉を吸汁することで植物を衰弱させてしまい枯れる原因に。
ナメクジ
大きくなると6cmほどに成長する害虫で、夜間に花や葉、蕾などを食べてしまいます。多湿を好むので夏や秋によく発生。日当たりの悪い場所では鉢の下などにひそんでいないかこまめなチェックが必要です。
コウモリラン(ビカクシダ)のおすすめ作品5選
ここからは、minneで見つかるコウモリランのおすすめ作品をご紹介します。吊っても置いてもかわいい作品をピックアップしました。
まずはこの子からお迎えしたい
手のひらサイズのコウモリランの苔玉です。品種は初心者にもぴったりなネザーランド。ころんとかわいいフォルムとサイズでインテリア雑貨のように取り入れやすい作品です。
成長が楽しみな幼苗
ゾウの耳のように大きく育つ胞子葉がかわいいエレファントティスを子株から育ててみませんか。板付けでさらにハイセンスな見た目になるおしゃれなコウモリランです。
届いてすぐにお部屋の”顔”に
スパーバムをあらかじめ板付けしてある作品なので、届いてすぐに手間なく飾ることができます。大型の品種ならではの個性的な姿と存在感を楽しんでみては。
小ぶりでも存在感大
板のサイズは縦横15cmで飾りやすいコンパクトなサイズ感。しかし葉は長いもので30cmにもなるのでしっかりとコウモリランらしい存在感を楽しめますよ。麻ひものフック付き。
気持ちが明るくなるたっぷりな葉っぱ
たくさんの葉っぱが茂った、手のひらサイズでもボリューム感のある苔玉です。親しみやすいフォルムでお部屋を温かみのある空間に演出してくれそう。
観葉植物のおすすめ作品5選
コウモリランと一緒に飾りたい、おすすめの観葉植物たちを集めてみました。お部屋のコーディネートをあれこれ想像しながら選んでみてくださいね。
たった一本でナチュラルな空間に
たった一本でボリュームも長さもたっぷりな存在感抜群のモス。お部屋のアクセントにも主役にも使いやすいナチュラルな見た目も◎。お部屋をグリーンのある落ち着いた空間に演出してくれます。
ヒノキの香りを楽しめるプランター
コウモリランと同じく“垂れ”を楽しめるシュガーバインのハンギングプランター。リサイクル木材を使用した鉢でヒノキの香りにも癒されます。
空間が垢抜ける個性的なフォルム
クネクネと個性的に伸びた枝が印象的なフランスゴムの木。ひとつ飾るだけで、いつもの見慣れた景色を様変わりさせてくれるようなアイテムです。
まるでケーキな寄せ植え
「白いプチガトー」という作品名もかわいい、まるでケーキのような多肉植物の寄せ植え。多肉植物のぷっくりした見た目にぴったりな丸みのあるモルタル鉢との組み合わせも◎
甘辛ミックスな鉢セット
子うさぎの耳に似ていることから「バニーカクタス」と名がついたとされるポップな見た目のサボテン。かわいいサボテン×クールなセメント製の鉢が相性抜群。
コウモリランに関するよくある質問
最後に、コウモリランに関するよくある質問についてお答えします。コウモリラン選びの際にぜひ参考にしてみてくださいね。
コウモリランとビカクシダの違いは?
コウモリランとビカクシダに違いはありません。どちらも同じ植物のことを指しています。コウモリの羽のような葉や鹿の角に似た葉など、どちらも葉のかたちに由来した呼び名です。
コウモリランには風水効果がある?
コウモリランはハンギングで飾ることで風水の効果を得られるといわれています。着生植物であるコウモリランは水分を吸収する姿から邪気を吸い込むパワーがあると考えられています。また、横に伸びる葉のかたちは人脈を広げるパワーがあり対人運にも恵まれるそう。
コウモリラン(ビカクシダ)で空間をおしゃれに演出しよう
ナチュラルな雰囲気と個性をあわせもったコウモリランはインテリアにぴったり。お部屋のアクセントにぜひコウモリランを取り入れてみませんか。ぜひminneでユニークなコウモリランの作品をチェックしてみてくださいね。
minneではコウモリランの他にもさまざまな観葉植物を取りそろえています。いろいろなサイズの観葉植物を組み合わせて飾るのもおすすめですよ。ぜひチェックしてみてくださいね。