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【minne|幸楽窯】わたしのデザインが有田焼に「Traveling Tumbler Design Award and Competition 2022」結果発表

【PR】佐賀県にある創業150年の老舗窯元「幸楽窯」とminneがタッグを組み開催した、トラベリングタンブラーコンテスト。その受賞作品を発表します。記事の後半では、受賞作家さんと訪れた、窯元での有田焼体験エピソードもご紹介。ぜひ最後までお楽しみください。

ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました

新しいチャレンジを続ける老舗の窯元「幸楽窯」とminneのコンテスト「Traveling Tumbler Design Award and Competition 2022」。「旅」をテーマに描いたイラストが有田焼のタンブラーになるというこの企画に、さまざまなジャンルで活躍される作家さんから多数ご応募をいただきました。その数200超!ご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました。

今回は受賞デザインの発表とあわせて、受賞作家さんと訪れた佐賀県・幸楽窯での作陶体験の様子も一部ご紹介します。窯元での作陶体験はどなたも気軽にご参加いただけますので、ぜひチェックしてみてくださいね。

受賞デザインを発表

グランプリ
ポンチセさん
「林檎を楽しむ冬」

イラストレーター・今井有美さんが描くイラストを元にした雑貨レーベル、ポンチセさんがグランプリを受賞しました。透明水彩絵の具を用いて、馴染みのある植物を中心に、繊細に美しくどこか温かく表現されるポンチセさん。今回は「時間旅行」をテーマに、上記の「林檎を楽しむ冬」を含む、春夏秋冬4点のデザインをご応募いただきました。

▽「野葡萄を愛でる晩秋」

▽「ネモフィラと過ごす初夏」

▽「ミモザの咲く春」

ポンチセさん
「旅」がテーマということで、どこか別の場所への旅ではなく時間旅行を選びました。時間は誰にでも平等に流れていきます。暑い夏も、やがて涼しい風が吹く秋になり、冬を過ぎて、また春が巡ってきます。不安が多いご時世ですが、花や草木を見るたびに癒され、季節の流れを感じることですこし前向きな気分になれる、そんな時間旅行を楽しんでいただけたらと思い、描きました。

今回は、時間旅行の中から、「林檎を楽しむ冬」のデザインが有田焼のトラベリングタンブラーになります。受賞を受けての感想をポンチセさんにおうかがいしました。

有田焼絵付け用「林檎を楽しむ冬」デザイン

トラベリングタンブラーとして製品化するにあたり、幸楽窯の転写技術を活用することに。原画から使用色を抑えた分、実る林檎数を増やして華やかに仕上げています。

ポンチセさん
純粋にとても嬉しい気持ちでいっぱいです。「林檎を楽しむ冬」は、持っているだけで気分があがるような華やかさを大切にデザインしました。カサカサと落ち葉を踏みしめながら収穫する林檎をイメージしています。デスクワークで、自宅で、このタンブラーを目にするたびにほっと温かい気持ちになってくれることを願っています。

幸楽窯
ポンチセさんのデザインは、わたしたちにとっても新しいチャレンジにつながる可能性を感じ、グランプリに選びました。有田焼の特性のひとつに加飾、絵付けがありますが、ポンチセさんのデザインはとにかく色数が豊富。手描きでは納期のある製品化への対応は難しそうですが、幸楽窯には得意とする“転写”の技術があります。転写でこの美しさをどこまで表現できるかという試みに挑みたいと思いました。ポンチセさんと相談しながら、使用色のバランスをみて仕上げていきますので完成を楽しみにしてもらえたら幸いです。

ポンチセさんショップページ

準グランプリ
泉はるかさん
「飛行船都市と霧鯨」

飛行船都市シリーズをはじめ、わくわくするような空想的なデザインを手がけるイラストレーター・泉はるかさんが準グランプリを受賞しました。青一色で描かれたイラストのテーマは「イマジネーションの旅」。大きな大きな鯨が心地よさそうに空を泳いでいます。

泉はるかさん
街を乗せた船が空を巡り、旅する「飛行船都市」というシリーズをライフワークとして、10年以上描いています。ちょっぴりファンタジックな不思議な世界を楽しんでいただけるよう、旅行誌のようなZINE(冊子)を中心に地図や周遊切符、乗船証なども制作しています。今回は、その「飛行船都市」の世界をデザインしてみました。星が降って、霧鯨が泳いでいる、空のような海のような街。目にした方が思わず行きたくなるようなものにしたいなと思い制作しました。

有田焼絵付け用
「飛行船都市と霧鯨」デザイン

大胆なモチーフに加えて実は細かいラインも多数描かれている泉はるかさんのイラスト。有田焼にするにあたって使用色を調整し、より濃淡の表現が鮮明に出るように仕上げています。

泉はるかさん
もともと陶芸や絵付けに興味があり、一時はそういったワークショップにはまっていたこともありました。だからこそ、わたしの描く細かい線は焼き物にするには難しいだろうなと思いつつ、こんなデザインのタンブラーがあったらおもしろそうだなと考えての応募だったので、まさか選んでいただけるとは!と、驚きと嬉しさの両方があります。

幸楽窯
泉はるかさんのデザインを選んだポイントは、職人の発想ではなかなか出てこない自由な世界観と、イラストでありながら奥行き、立体感を感じたところです。ポンチセさんのデザインに比べて色数はだいぶ抑えられているので製品化はしやすいのですが、泉はるかさんが描く繊細な線が醸し出す雰囲気や浮遊感など、独特の世界観を持っておられるので、この空間立体を有田焼としてどう表現しようかとわたしたちもわくわくしています。

泉はるかさんショップページ

佐賀県の幸楽窯を訪れました

澄んだ空気が心地いい1月の中旬に、わたしたちは幸楽窯さんにご招待いただき、佐賀県の窯元を訪れました。豊かな自然の中に構える1万坪の広大な敷地には、工場、工房、ショップ、ゲストハウスなどさまざまな設備がずらり。
まずは、5代目社長・徳永隆信さんが自ら、有田焼の歴史や特徴、作陶の工程を丁寧に解説してくださりながら、広い広い工場をぐるりと一周することに。


幸楽窯五代目社長・徳永隆信さん

幸楽窯の作陶は、分業ではなく一連の工程すべてがこの場所で行われています。60年前にここに工房を移転した際は、220名の職人とともに量産型の工場として土からつくっていたのだそう。有田焼の土づくりから焼き上がりまで、ひとつひとつの作業を詳しく知ることができる貴重な窯元です。


創業150年の幸楽窯。進化を遂げた技術はもちろん、過去の産物もたくさん残っており、工夫やアイデアとともに推移してきた有田焼の歴史に触れることができました。

近年注目を集めているのは幸楽窯が有する転写の高い技術力。複雑なフォルムへの細やかな絵付けが可能になり、さまざまなアーティストとのコラボレーションも実現してきました。

続いては工場の外へ。幸楽窯の敷地内には、有田焼を楽しめる仕掛けがあちらこちらに。

そのひとつが、観光客にも大人気の「トレジャーハンティング」です。倉庫に眠る有田焼の器を定価でバスケットいっぱいに詰め放題!豊かな装飾のデザインはもちろん、シンプルなものもたくさんありました。仕掛品(しかかりひん)と呼ばれる、制作途中のレアなアイテムにも巡り会えるかもしれません。

有田焼の素焼きを割って楽しめる「クレー射的」コーナーもありました。アトラクション的なおもしろさとストレス発散もできるとあって、子どもから大人まで楽しむことができます。

そして、minne作家さんにもぜひチェックいただきたいのが、幸楽窯の職人さんと一緒に作陶を学べる、陶芸体験プログラム「アーティストイン・レジデンス」です。幸楽窯には宿泊施設も完備されており、長期滞在しながら作陶の一連の流れを体験することができます。

「アーティストイン・レジデンス」に参加

今回、受賞されたポンチセさん、泉はるかさんには、このアーティストイン・レジデンスにご参加いただき、有田焼の作陶を体験いただきました。


24時間いつでも使用可能な作業部屋で、もくもくと有田焼の絵付けに励むおふたり。実際に参加してみての感想をおうかがいしてみました。

ポンチセさん
普段、デザインはしても製品化するにあたっては発注してお任せするスタイルなので、今回はわたしのデザインがどのように有田焼のタンブラーになるのか、その過程を知りたくて、興味深く参加を決めました。事前に作陶の工程を調べてはみたのですが、実際に足を運んでみると、ここに来なければわからなかったことがたくさん。ひとつひとつが肌感覚でわかるというか、知るだけではなく、体感できるのはとてもいいなと思いました。

初めての絵付けを体験するポンチセさん。濃淡をつくるには、ひたすら何度も釉薬を重ねていくのだそう。「紙に描くときの、伸ばしたり、ぼかしたりという表現も手順や感覚が異なり、新鮮です」。

泉はるかさん
アーティストイン・レジデンスを知ったときは、そんなのあるんだ!と驚いたのと、まさにアーティストが参加するような、本気の合宿みたいな敷居の高いイメージがありました。ところが実際に参加してみると、この場所が24時間使い放題なのもそうですがとにかく自由(笑)。すぐに職人さんに質問をしたり、アドバイスをいただける環境もすごくいいです。有田は焼き物が盛んな街なので、滞在することで、近辺の博物館に足を運んで資料を見たり、地域のことも知りながらつくれるというのは貴重な経験だなと感じます。

趣味で陶芸の絵付け経験があるという泉はるかさんですが、1日体験では知り得なかった技をここでは学べるといいます。そのひとつが“削り”のテクニック。釉薬が乾いたあとにその表面を削ることで、白い細い線での表現を組み合わせることが可能に。

幸楽窯の職人さんと過ごし、学びながらの作陶体験は、ものづくり好きにはたまりません。たったの数日で、素敵な作品がどんどん生まれていきました。

職人と過ごす貴重な体験をぜひ

左から順に、徳永隆信社長、泉はるかさん、ポンチセ(今井有美)さん、「トラベリングタンブラー」の発案者、ジェレミー パレ ジュリアンさん

「今回の企画では、minneのたくさんの作家さんに思い思いの表現で参加いただき、とても嬉しかったです。今回受賞にはいたらなかったみなさんも、ぜひアーティストイン・レジデンスで作陶を体験してみませんか」と徳永社長。

幸楽窯のロングセラー商品、「カワセミの醤油差し」シリーズ

「有田焼を知っていただきながら、老舗の技術力でみなさんのアイデアをよりよく形にすること、また量産化の部分でもお手伝いができるかと思います」と力強く語ってくださいました。

ポンチセさん、泉はるかさんは、作家さん同士での参加もおすすめだといいます。

「誰かと一緒に参加することで、相談したり励ましあったりという心強さもありますし、作家同士であれば、アイデアや手法などいい刺激をもらうことができるなと思います」とおふたり。たまたま今回はイラストレーターのおふたりでしたが、異なるジャンルの作家さんと参加するのもおもしろそうですね。

アーティストイン・レジデンスでは、「絵付け教室」や「ろくろ体験」など作陶の一部分だけでなく、長期滞在することで、材料から焼成、窯出しまでを目の当たりにし、より深い部分で作陶を知り、体験することができます。なお、長期とはいっても、ひとりひとりの都合にあわせて、期間や開始日などは相談の上、調整もいただけるとのこと。

自身のものづくりの製品のひとつとして、有田焼を候補にしてみませんか。ご興味のある方はぜひ一度、幸楽窯のホームページからお問合せくださいね。

幸楽窯公式サイトはこちら

取材・文 / 西巻香織  撮影 / 真田英幸
企画・ディレクション / 中村瑛美里

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