2023.08.27 更新

【新作おしえて】レザークラフト作家・かもめ工房さんの「手帳型スマホケース」

SNSで編集部の目にとまった素敵な作品を、制作の背景と交えてご紹介していきます。今回はレザークラフト作家・かもめ工房さんによる新作「手帳型スマホケース（全機種対応／スマホショルダー対応）」です。

作り手は、かもめ工房さん

革の道20年の職人と、その弟子たちによるレザークラフト工房。スマホポシェットを中心に、バッグやキーケースなど、本革を使った作品を数多く制作。
https://minne.com/@kamomestudio

かもめ工房さんが生まれるまで

幼い頃からよく工具を使って遊んでいたというかもめ工房さん。携帯電話の販売の仕事を経て、作家活動をスタートされました。

かもめ工房

親父の手回し計算機を回しすぎて壊してしまったり、ドライバーとハンマーで冷蔵庫をいじって冷却ガスが部屋に吹き出してしまったり。幼い頃は、なにかをつくるために工具を使うのではなく、“バラす”とか“壊す”ために使って遊んでいたのを覚えています。

かもめ工房

作品をつくり始めたのは30年ほど前。携帯電話の販売の仕事をしていた頃に携帯ストラップを自作したのがきっかけです。

ポーチ付きのスマホケースです。クリア素材なので、中身が見やすいところもポイント。
「全機種対応スマホケース回転式ロングファスナーポーチ【クリア】」

かもめ工房

革素材は、その後に携帯電話のケースをつくり始めた頃から使うようになりました。革の質感にはこだわりがあり、選定はいつもタンナーさんと相談しながら進めています。

クリアケースの一部分だけに革を使った、キュートなデザイン。色やストラップの組み合わせは、なんと100通り以上！自分だけの組み合わせを見つけてくださいね。
「全機種対応スマホケース【ちょいまるシュリンクレザー】」

かもめ工房

印刷に適した革や貼り付けに最適な革など、作品のイメージに合う革をそれぞれ選定し、加工しています。

かもめ工房

作品制作においては、業界20年の職人さんやその弟子たちが手を動かしてくれており、わたしはプロダクトデザインやその他の素材づくり、マーケティングなどを担っています。作品が売れないと次の作品をつくれないので外回りの営業活動をすることもありますよ。

目の前の課題を粘り強く解決していく

機能面もデザイン性も兼ね備えた、かもめ工房さんの作品。制作においてのこだわりについてもうかがってみました。

最低限の荷物が入るスマホポシェット。外付けのポケットには鍵やイヤホンを入れておくのも便利。
「スマホポシェット【シュリンクレザー】」

かもめ工房

目新しい作品を制作するだけではなく、業界として困っていることを解決したいと常々考えています。売るだけではなく、本当に安心して使えるものに改善し、さらにお求めやすい価格にするために設計やデザインをシンプルにしています。

スタンドにもなる人気のスマホリングに、クリアケースとショルダーストラップがセットになった作品。名入れすることができるのでプレゼントにもぴったりです。
「スマホショルダー多機能リングクリアケースストラップ付【シュリンクレザー】」

かもめ工房

そのため、業界に垣根はつくらず、これまでの革作品のつくり方にない工法や材料を提案したり、話し合いながらつくり手と日々切磋琢磨しています。制作の現場を俯瞰して見ることで、多様な発想のものづくりができると思っています。

新作は「手帳型スマホケース（全機種対応手帳型／スマホショルダー対応）」

かもめ工房

この作品は、日常的に気軽に使えて、お求めいただきやすい価格の作品をつくりたいと思ったことと、お客様から「水に強い革作品があれば…」というお声をいただいたことがきっかけで生まれました。

かもめ工房

どうしても本革のアイテムは、メンテナンスが必要で、水も大敵。そして高価なものが多いのは確かです。そんな常識を打ち破るような作品にチャレンジしてみよう！と思いました。こちらは革からオリジナルで制作していて、比較的水に強く、コシのあるものをつくってもらいました。コシがあるので中芯を使う必要がなく、シンプルな設計に。ここで加工費を削減することに成功しました。

かもめ工房

さらに、手帳型のスマホケースの大きな課題として、カメラ横の部分の革が伸びてしまってピラピラしてしまうことと、ショルダーストラップを付けて縦に下げると、中に入れたカードが落ちそうになる、というふたつの課題があります。この作品では、そのふたつの課題を改善するべく、時間をかけて丁寧に制作しました。

かもめ工房

カメラ横の革が伸びてがピラピラと開いてしまう課題は、接着剤を厚くしたり、釣り糸でくくったり、両面の接着シートを細く切って止めたりなど、さまざまな方法で挑戦しましたがとにかく失敗の連続で。半ば諦めてしまっていましたが、最後はなんとか理想のものが完成しました。

かもめ工房

さらに、カードが落ちてしまう課題は、落下防止パーツを付けることで改善しました。その他のこだわりは、iPhone以外の機種にも広く対応していることと使いやすさ。ほぼ全機種に対応していて、性別やシーンを選ばないデザインにすることで使いやすさを実現しました。

かもめ工房

難しい課題が多い制作でしたが、諦めずに粘り強く改善を目指すことで、なんとか納得のいく作品ができたと思います。作品はできたときが完成ではななく、お客さんの声や、わたしたちの意地で進化させて行く。その想いで作品をつくることが、かもめ工房のこだわりです。

最後に、記事を読んでくださったみなさんに向けてメッセージをいただきました。

人気ナンバーワンのシュリンクレザーのシンプルなスマホケース。カラバリが16色あるので、選ぶ時間も楽しい。
「ススマホケース全機種対応【まるっとシュリンクレザー】」

かもめ工房

かもめ工房は、革の工房と開発室が同居したような工房です。０から1を生み出す、時代のすこし先を行くような作品もつくりますが、今、困っている課題にも真摯に向き合ったものづくりをしています。決して最先端の縫製技術を持った工房ではありません。何度も試行錯誤して、シンプルを追及して、その結果に良いものがつくれる、そんな工房を目指しています。その分、プロダクトデザインや設計・素材・工法・治具は自信を持っています。「次はどんなことをやるのかな」そんな目で見てもらえると楽しんでいただけるのかなと思っています。

手帳型スマホケース（全機種対応手帳型／スマホショルダー対応）
https://minne.com/items/37235161

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文 / 堀田恵里香