花と人をつなぐ作家・hana-hanaさんにお話をうかがいました。
花とともに生きてきた
広い青空と照りつける太陽が眩しい8月。岐阜にあるhana-hanaさんのアトリエへminne編集部がうかがいました。
お家の中の至るところにお花が飾られた彩りに満ちた空間からわたしたちを出迎えてくれたのが、今回の主役、hana-hanaのはなさんです。
お部屋にお花がたくさん飾られていますね。まさにはなさんのアトリエという感じがします。
はなさん
ありがとうございます。そうなんです。お花は昔から一緒に過ごしてきたので、今も部屋にはたくさん飾っています。
それは素敵ですね。吊るされているのもおしゃれでかわいいです。
はなさん
このドライフラワーは自分でつくっているんです。家で育てたお花を乾燥させてドライフラワーにすることもありますよ。
お花をずっと身近に感じてこられてきたんですね。
はなさん
わたしの祖父母が植物関係の仕事をしていて。あまり馴染みがないかもしれないのですが、「貸し鉢」といってお店なんかに観葉植物を貸し出す商売です。それで家に大きな温室があって、その中では一年中いろいろなお花や植物が育てられていたんです。そんな過去もあり、お花や植物とは小さい頃から本当に一緒に過ごしてきましたね。
まさにともに生きてきたと。
はなさん
真冬の寒い時期には、祖父母は湯たんぽで寒さをしのいだりするのに、植物たちには「暖かくないと育たない植物もあるから」と、しっかりとした暖房をたいてたりするんですよね。自分たちよりも大切に育てている姿を見てきたので、わたしもより植物に愛着がわくようになり、お花を大事にするようになりました。
はなさん
他にも、これまで生きてきた中で、大事な思い出になっている場面にはいつもお花が近くに居ました。例えば、小学校の頃にちょっといじめられたことがあって、そのときはお花にすごく癒されていましたね。後日、いじめっ子に立ち向かったのですが、その日家に帰るとおばあちゃんが紫陽花を植えていたのを覚えています。それでわたしも一緒に植えさせてもらって。だから、紫陽花を見ると、その立ち向かったときのちょっと誇らしい日を思い出したりするんです。
そのときの思い出とお花がリンクしてるんですね。
はなさん
そうですね。作家になる前は小学校の先生をしてたのですが、夏に子どもたちと学校の花壇にひまわりを植えて、そのひまわりがどんどん大きくなって子どもたちの背丈を越えていくんですよね。ひまわりを見ると、子どもたちと一緒に空を見上げた日を思い出します。夫からもらった結婚指輪もひまわりですし、お花と思い出が連鎖してることもたくさんありますね。
お花って見て楽しむだけじゃなくて香りもあるから、より記憶と結びつきやすいですよね。
はなさん
そうなんです。お花って香りも大事だからhana-hanaの昔のコンセプトは「今にも香り出しそうなお花のアクセサリー」でした。
はなさんの作品はお花がみずみずしくて、生き生きしてるように感じます。まさに今にも香り出しそうですね。
はなさん
お花っていつかは枯れてしまいますよね。でも思い入れのあるお花は身につけて一緒に過ごしていきたい。さっき言ったように、思い出とリンクしているからいつでもお花を感じてそのときの想いを大事にしていきたいですよね。hana-hanaのアクセサリーは、どれだけ生花に近い形で身につけておけるかというのも大事にしています。コンセプトも今はすこし変わって「花との記憶を身につける」にしています。
minneで最初のお客さんは、高校生の女の子
minneで販売を始められたきっかけを教えていただけますか。
はなさん
アクセサリー制作を始めてすこし経った頃、本格的に販売をしていきたいなと思ってminneに登録しました。Instagramでどこで販売してほしいかをフォロワーさんに聞くと「minneが使いやすいし、買いやすい」という声をたくさん聞いたので、じゃあminneで始めてみようと。
それはそれは。ありがたいです。
はなさん
minneで初めて売れたときのことは忘れられないです。もともとInstagramでフォローしてくれていた高校1年生の女の子が買ってくれました。わたしがプロの世界でやっていこうと決めてから初めて売れた作品だったので、すごく嬉しくて。作家にしてもらったような感覚でした。
きっとお小遣いで買ってくれたんでしょうね。より嬉しいですよね。
はなさん
そのときはカスミソウのブーケピアスを買ってくれたのですが、今でもずっと大事に使ってくれているみたいで。その後も何度か作品を購入してくれていて、今年は成人式を迎えられたのですが、そこでもわたしの作品を身につけてくれたそうなんです。。初めてのお客さんが成人式までずっとお客さんでいてくれて、本当に嬉しかったですね。「辛いことがあったときにこのアクセサリーをつけていたから頑張れたんです」と最近教えてくれました。
hana-hanaのコンセプトにまさにマッチしてますね。
Instagramも上手に活用されていますよね。
はなさん
おかげさまで、今はInstagramを見てhana-hanaの作品に興味を持っていただくことが多いです。数ヶ月に一度、minneで販売会を行っているのですが、ありがたいことにたくさんご購入いただいています。
フォロワーもたくさんいらっしゃって、ファンが多いのがよくわかります。
はなさん
たくさんの方にフォローいただいて、本当にありがたいです。わたしはInstagramやminneのフォロワー数は、数字じゃなくて人だと思って活動してきました。だからコメントやDMが届けばもちろん返信もしますし、いつもファンの方のことを思って投稿するようにしています。
SNSやネット販売だからこそ、大切なことですよね。
はなさん
お客さんも作家のことをしっかりと見てると思うんですよね。「この作家さんから買いたいな。この人の想いを受けた作品を手に取ってみたいな」とか。クオリティの高い作品をつくるのはもちろんですが、人間性も磨いていかないといけないなと思います。
その人間性が現れるのがSNSですね。
はなさん
画面の向こう側にいるおひとりおひとりのことを思って、誠実にひたむきに努力を続けてきたら、いつの間にか後ろを振り返ったときに、たくさんの人がついてきてくれました。作家として活動を始めた頃からずっと見守ってくれているお客さんもたくさんいます。minneやInstagramを通してできた輪ですね。
お花の美しさをどれだけ保てるか
hana-hanaの作品がどうやってつくられていくのか。気になる制作過程についてもお話をうかがいました。
レジンを塗る瞬間、ドキドキしますね。
はなさん
わたしはこの瞬間が一番好きなんです。レジンでコーティングすることでお花の美しい姿を留めておくことができる気がして。わたしの作品は360度フチまでレジンでしっかり覆うようにコーティングするのが特徴なんです。
たしかに、作品にみずみずしさがありますよね。 制作するうえで大事にしていることやこだわりは他にもありますか。
はなさん
やはりクオリティですよね。ドライフラワーやレジンってどうしても色褪せてしまうので。どうすればより長く、本物に近いお花の色が保てるのか考えています。ドライじゃなくてプリザーブドを使ってみたり、染色するときの色水をどのような割合にするか研究しています。
そこもコンセプトに繋がっていますね。
はなさん
花との記憶を身につけてほしいので、できる限りきれいな状態で長持ちさせたい。クオリティありきのコンセプトなんです。
作品に使用するお花もたくさんあります。花材のこだわりはどうですか。
はなさん
花材はプロの方から仕入れているんですが、どうしても作品として使えるクオリティのものは限られてしまいます。形がきれいじゃなかったり、使えないものも多いんですよね。ひとつひとつ選別して、作品に使う花材は見極めています。
一切妥協しない姿勢が伝わってきます。そこが作品の仕上がりにも影響しているんですね。
新作はお花と一緒に景色も閉じ込めて
本日、9月30日21:00〜から新作の販売も始まりますね。
はなさん
今回、記事の公開と合わせて【あの日の景色】シリーズをご用意しました。人気のバラと一緒に、これまで魅了されてきた空の景色を2cmほどの球体に閉じ込めました。こちらの作品は耳飾りですが、他にもリングやコスモスモチーフのアクセサリーをご用意しています。
お花も素敵ですが、空の景色もすごく魅力的ですよね。記憶にも残りやすい。
はなさん
景色って一瞬たりとも同じものはなくて、時間が経つとなくなってしまいます。だからこそいつでも小さな景色をみられるように、この作品を制作しました。
はなさん
今回ご購入いただいたお客さまに、小さなバラなどのお花をビンに閉じ込めたノベルティをご用意しました。中のお花の種類はランダムですが、身につけるだけじゃなくてお部屋に飾ったりと、よりhana-hanaの世界観を楽しんでいただけたらと思います。
hana-hanaの今後の展望も気になります。
はなさん
今のラインを続けながら、ブライダルラインも展開していきたいなって考えているんです。もともとお客さんからウェディング用にフルオーダーの依頼があったんですけど、忙しさもあってなかなかお受けすることができなかったので。
ウェディングとお花の相性は抜群ですね。
はなさん
そうなんです。ただ自分の結婚式で、会場にはお花をたくさん装飾して彩ったのですが、アクセサリーにそこまでこだわることができなかったという苦い経験がありまして...。やっぱり人生の特別な日ですから、お客様にはhana-hanaの本物のお花を使ったアクセサリーを身につけてほしいんですよね。
結婚式の思い出がまたhana-hanaのアクセサリーと結びつきますね。
はなさん
結婚式は本当に特別な晴れ舞台だと思うので。わたしの結婚式もいつもなら寡黙な父がすごく号泣して、最後に花束を渡すときに両手で抱き寄せてくれたんです。普段だったらそんなこと恥ずかしくてしないのに。でもそれができてしまうのが結婚式なんですよね。だからそんな特別な日にhana-hanaのアクセサリーを身につけてくれたらすごく幸せだと思います。
ますます忙しくなりそうですが、制作の合間に息抜きはできていますか。
はなさん
もはや、作品をつくっている時間が息抜きなんですよね。ハンドメイド作家って作品をつくる以外にも本当にやることが多いじゃないですか。撮影したり、作品登録したり、梱包して発送したり。わたしはものづくりが大好きなので、作品づくりをしてるときがまさに息抜きなんです。
今後のhana-hanaの作品も楽しみにしています。
はなさん
今後も新作を用意していきますし、定番のアクセサリーとして春に好評だったさくらのモチーフの再販も始めます。わたしの祖母がものづくり大好きでずっと続けていたように、わたしも死ぬまでつくり続けたいと思っています。これからも楽しみにしていてください。
2023年9月30日(土)21:00〜 記事でも紹介した新作「【あの日の景色】シリーズ」の販売がスタートします。新作の販売に合わせ、春に好評だった桜モチーフの再販やノベルティのキャンペーンも開催されますので、ぜひご覧ください。
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取材・執筆・撮影:真田英幸(一部作家撮影)