特集

【新作おしえて】木彫りのアクセサリー作家・Luonto.さんの「熊の親子の木彫りブローチ」

SNSで編集部の目にとまった素敵な作品を、制作の背景と交えてご紹介していきます。今回は木彫りのアクセサリー作家・Luonto.さんの「熊の親子の木彫りブローチ」です。

作り手は、Luonto.さん
動物たちのかわいらしい動きや佇まい、野の草花、木々、山々の造形の美しさ。それらを木彫りで表現したブローチを制作。
https://minne.com/@luonto12

Luonto.が生まれるまで

Luonto.
小さな頃から絵を描くこと、動物に触れること、空想することが好きでした。高校卒業後はインテリア専門学校に進学したのちに、ディスプレイ会社に就職。デザインの基礎を学びました。その後、転職しオフィス什器のメーカーで営業事務として15年勤めていました。

Luonto.
その間、ものづくりからは離れていましたが、什器メーカーでは美しい家具のデザインに触れ、日々刺激を受けながら働くことができ、商売の基礎(契約、在庫管理、売掛金、カスタマー対応等)も学ぶことができました。

動くたびにふさふさと揺れる尻尾をタッセルで表現。 「馬の木彫りブローチ」

Luonto.
転機は出産でした。育休を取得後再び働き始めましたが、子どもと過ごす時間を取ることさえままならない忙しい日々に「これが望んでいた生活なのかな?」と育児と仕事の両立に悩みました。
ちょうどその時期、学生時代に趣味で集めていた絵本を子どもに読み聞かせようと、久々に絵本を引っ張り出しました。絵本を開いた瞬間、学生時代の自分がぶわぁっと呼び起こされました。大好きだったNaef(ネフ社)の木製玩具や、海外の絵本、そのひとつひとつに触れるたび、自分が本当にやりたかったこと…ずっとふたをしていた感情がノックされる感覚がしました。

ぴょんぴょん飛び跳ねる瞬間の姿を切り取った、うさぎのブローチ。「うさぎの木彫りブローチ」

Luonto.
「もう一度、ものづくりを始めたいな。」
そんな感情が芽生えたのと同時に、仕事をリセットした方が良いなという出来事がいくつか重なり、会社の退職を決意。育休から復帰して4年目の決断でした。
ですが、ものづくりにおいては15年もブランクがあります。「今の自分にできることは何だろう?」と、今までの自分を振り返りました。

ナチュラルな色合いで使いやすい、お花とちょうちょのブローチセット。「森の野原のお花とちょうちょ木彫りブローチ」

Luonto.
デザインを学んだこと、動物、自然、北欧、絵本やファンタジーが好きなこと、商売の流れを知っていること。そして、なぜだか小学校の図工の時間に糸鋸を使った木工作業がとても楽しかった思い出が蘇りました。それらの点を繋げていくと、「木彫りのブローチ」が浮かび上がりました。
早速、木彫り教室を探したものの、近所には見当たらなかったため、独学でスタート。工具の使い方などは、近所の県立美術館のアトリエでスタッフの方から教えてもらえることを知り、毎週通って習得しました。
また、彫刻家の「はしもと みお」さんが好きで、本を購入して見よう見まねでつくっていました。あとはひたすら彫り続け、何とか形になった段階で、2023年10月「ルオント.森のブローチ」をオープンしました。

自然の美しさや儚さを表現したブローチを

絵本の1ページを見ているかのような、やさしい表情をしたLuonto.さんの作品。制作のこだわりもうかがいました。

Luonto.
「Luonto ルオント」はフィンランド語で「自然」という意味です。自然の中にはさまざまな美しさがあります。動物たちのかわいらしい動きや佇まい、野の草花、木々、山々の造形の美しさ。それらを「木彫り」を通してお伝えできればという思いで制作しています。

フェルトの翼からのぞくレースが、ほどよく甘いアクセントに。「白鳥の木彫り ブローチ」

Luonto.
材料は天然木を使用していますので、同じ木の種類でもひとつひとつ木目や色味が異なり個性があります。その個性を活かすために、基本的に無塗装で天然蜜蝋のみの仕上げとしています。手彫りで制作しているので時間と手間はかかりますが、わたしの「素敵だな」と思う動物や自然の美しさやかわいらしさを、木彫りを通りしてお届けできればと思っています。

Luonto.
また、ラッピングにもこだわっています。「森の中へ入って行くと、そこに棲む動物たちに出逢う」がLuonto.のコンセプト。作品がお客さまの手元に届き、ラッピングを解いていく過程で「ルオントの森」を感じてもらえるようなストーリーづくりを意識しています。

Luonto.
実際に購入していただいたお客さまからも「まるで森から届いたようです」と嬉しいご感想もいただいております。

新作は、熊の親子の木彫りブローチ

Luonto.
新作を考えていた時期が春だったので、春の森を思い浮かべました。春は動物たちの出産の時期です。赤ちゃんの動物はたまらなくかわいらしいです。特に生まれて間もない動物が、母親に一生懸命ついていこうとする姿は愛らしく、「頑張れ」とつい親心で願ってしまいます。そんな母と子のストーリーがあるブローチがつくりたいなと思い誕生したブローチです。

Luonto.
実際に身につけてみると、子熊が胸元でゆらゆらと揺れるデザインになっています。かわいらしい「熊の親子の物語」を胸元で紡いでいただければ、と思っています。

子熊の一生懸命さを表現

Luonto.
一生懸命に母熊についていこうとする子熊はどうすれば表現できるだろうと考え、子熊が揺れるようなデザインになりました。動くたびにブローチに動きが出て、子熊の愛らしさが一層増します。

Luonto.
ただ、この子熊がとても小さく、糸鋸でのカットや彫刻刀での細かい作業に苦戦しました。カットがちょっとでもズレると子熊の「ずんぐりむっくり感」が損なわれてしまうので、試作の段階で何度かさよならした子熊もいます。試行錯誤した分、親熊と子熊を金具で繋げる瞬間は「やっと会えたね」と、親心のような気持ちが芽生えます。


最後に、記事を読んでくださったみなさんに向けてメッセージをいただきました。

Luonto.
ハンドメイド販売は、自分の「素敵だな」を形にしたものを、他の誰かが「わたしもそう思います」と受け取ってくれる、そんな幸せなやり取りの場所です。
ですので、Luonto.の作品や世界観を共感し購入していただいたお客様ひとりひとりに、そして、その場所を提供してくれるminneさんにはとても感謝しています。

Luonto.
もし今、一歩を踏み出す勇気を持てずにいる方がいましたら、「えいやっ」と飛び込んでみてもいいのではないでしょうか?わたしは40歳を過ぎてからのスタートですが、世界が大きく変わりました。人生は一度きりです。

Luonto.
わたしのブランド「ルオント.森のブローチ」は去年の10月にオープンしたばかりの、小さな小さなお店です。今は種を蒔いている時期なのでブローチだけを作成していますが、いつかは他のアクセサリーもつくり、少しずつ「ルオントの森」を広げていけたらと思っています。インスタグラムでも作品づくりを通して日々のことを発信しておりますので、ご興味があればぜひ遊びにきてください。
ここまで記事を読んでいただき、ありがとうございました。

熊の親子の木彫りブローチ

あなたもminneで作品を販売してみませんか?

minneは現在91万件以上を超える作家・ブランド(※1)による1741万点以上の作品が、販売・展示されている、国内最大級(※2)のハンドメイドマーケットです。
つくり手がものづくりに集中できるよう、作品は代理人の手を通して届けることもできます。
「ものづくり」の世界がますます広がるminneで作品を販売してみませんか?

(※1)2024年5月末時点
(※2)ハンドメイド作品の販売を主軸とする国内ハンドメイドマーケット運営会社2社の作家・ブランド数とアプリダウンロード数に関するIR資料公表数値及びサイト公表数値を比較。2024年4月11日時点、GMOペパボ調べ。

作品販売について見る


連載「新作おしえて」はSNS連動企画です。minne作家のみなさんは、X(旧Twitter)またはInstagramにて「#新作おしえて」「#minneとものづくりと」の2つのタグをつけ、新作画像と作品URLをつけてぜひご投稿ください。

募集の詳細を見る

編集部へ感想を送る

文 / 堀田恵里香

  • Xでポストする
  • Facebookでシェアする