インタビュー

布花アクセサリー作家ao.さん「永く愛される作品を目指して」

アンティーク風の色合いに染められた布を使い、アクセサリーを制作するao.(アオ)さん。布花のイメージをくつがえすような丈夫さと、繊細なデザインで人気を集めています。“やっと自分が納得のいく表現の仕方を見つけた”という布花との出会いから、ものづくりと向き合う中での大切にする想いをうかがいました。

アンティーク風の色合いに染められた布を使い、アクセサリーを制作するao.(アオ)さん。布花のイメージをくつがえすような丈夫さと、繊細なデザインで人気を集めています。“やっと自分が納得のいく表現の仕方を見つけた”という布花との出会いから、ものづくりと向き合う中での大切にする想いをうかがいました。

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「私だけにしかできないこと」を探し続けて

布花作家になるまでの経緯を教えてください。

ao.実は、専門学校を卒業して美容師をしていたんです。自分だけにしかつくれない“何か”を生み出す職業に就きたいという思いがあって、美容師の道を選んだんです。結婚を機に退社してからは、すぐ子どもを授かったのですが、その“何か”の矛先を探して始めたのがハンドメイドだったんです。

ao.
子どもが大きくなり少し手が離れたときに、さらに自分の作品への追求が始まりました。自分にしか出来ない、よりこだわった表現したいという意欲がわいてきたんです。レース素材やレザーなど、思いついたものを色々試してみたのですが、しっくりくるものはなかなか見つかりませんでした。

 

そんなときに、旅行先の京都で運命的な出会いがあったんです。ずっと行ってみたかった、布花アクセサリーを扱うお店に足を運んだのですが、実際にその作品に触れ、身につけてみたとき、すっかり布花の虜になってしまったんです。「私、これがつくれるようになりたい!」と、思いました。

お花はもともとお好きだったんですか?

ao.
もともと働いていた美容院には、常にお花が飾られていました。しかも、オーナーが買ってくるお花が、今まで自分が見たことがないようなお花ばっかりだったんです。それまで、お花を家に飾ったりすることはなかったんですが、お花の魅力に取りつかれてしまいました。すごくさりげなく飾られているのに、とても大事な存在で、見ているだけで心が癒されました。

 

美容院を辞めてからも自分の家には、お花を活けていました。子どもが生まれてからは、水が入った花瓶を倒されてしまってはいけないので、ドライフラワーを飾っていましたね。だからお花のアクセサリーをつくるというのは、私の中でとても自然な流れでした。

布花はどうやって勉強されたんですか?

ao.
誰かに教わることなく、本を読んだりしながら知識を増やしていきました。材料をそろえて、まずは本の通りにつくってみました。つくり方を覚えたら、そこからは“自分が本当につくりたい”ものを目指して日々研究でしたね。

 

コットン100%の生地を使うのですが、コットン100%といっても織り方や糸の太さなど、さまざま種類があります。理想の色に染まってくれるベストな生地を見つけるのに出会うまでに、何種類もの生地を買っては、ひたすら試していました。

ともに年を重ねられるアクセサリーでありたい


そうして、今のao.さんのスタイルが出来上がっていったんですね?

ao.
そうなんです。でも実は、もともとお花が好きということが大前提なので、実際と異なった色味で表現するということに抵抗があったんです。だから、最初は実物に近づけるように色鮮やかに染めてつくっていました。でも、パッと見て気に入って購入してもらえたとしても、年を重ねていくうちに洋服と合わなくなったりして、永く使っていただくのは難しいな、と思ったんです。

ao.
実際に自分が、以前すごく気に入って購入したアクセサリーが、だんだん似合わなくなって使わなくなる…ということがあったので、せっかくお金を出して買ってもらうんだから、永く使ってほしい、と思ったんです。

 

だから丈夫さにもすごくこだわっています。布花って、すごく繊細でもろいというイメージを持っている方が多いんです。だから私の作品を実際に手にとっていただくと、まず“硬い”ということにびっくりされる方がたくさんいます(笑)

作品のイメージはどこからわいてくるんですか?

ao.
よく活用しているのが図鑑です。季節を問わず、すべてのお花を見ることができますし、1番綺麗に咲き誇った瞬間がおさめられているので、そこから作品へのイメージを膨らますことが多いです。

 

つくりたい花が見つかったら、そこからどういう風に表現すればいいか?を考えていきます。花びらはどういう風にカットすればいいのか…どういう色味にすればいいのか…それ以外にも、人気の“ミモザモチーフ”のように刺繍糸をつかって表現することもあります。


布花作家としてのやりがいはどういうところですか?

ao.
まだまだ研究途中ではありますが、自分が大好きなものを、自分が納得いく形で表現できていることです。今までは委託販売していたのですが、よりたくさんの人に知っていただきたいという思いから約1年前からminneに出店し、お客さまの声を直接聞けることが増えたので、それもやりがいにつながっています。

ラッピングにも「ao.らしさ」を表現

お客様からどういうお声が多いですか?

ao.
「かわいい」「思ったよりも何倍も丈夫そうだった」などの声をよくいただくのですが、実は「ラッピングに驚いた」という声もたくさんいただきます。作品によってサイズがバラバラなので、箱もすべて手作りしています。そして、ドライフラワーを作品を囲うように敷き詰めます。部屋に吊るしてあるたくさんのドライフラワーの中から、彩りを考えてひとつひとつ丁寧に箱詰めしています。



今後の夢を教えてください。

ao.
ずばり本を出すことです。お花のアクセサリーは“かわいすぎる”と苦手意識を持っていた方や、冠婚葬祭などの特別な日につけるものだと思っている方、布花は繊細でもろいと思っている方…いろんな方に私の作品、布花の魅力を伝えていきたいです。


プロフィール

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ao.さん

布花アクセサリー作家。アンティーク風のカラーに染色した生地をつかい、お花をモチーフにしたアクセサリーを制作する。

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