レポート

「minneのハンドメイドマーケット2017」のステージレポート<1>

4月28日・29日の2日間、東京ビッグサイト東7ホールにて開催した「minneのハンドメイドマーケット2017」。今回は、minneで人気の作家さまの制作実演とトークショーの様子をご紹介します。

4月28日・29日の2日間、東京ビッグサイト東7ホールにて開催した「minneのハンドメイドマーケット2017」。今回は、minneで人気の作家さまの制作実演とトークショーの様子をご紹介します。

ステージイベントも充実の2日間

2回目の開催となる今年も、たくさんの方にご参加・ご来場いただき、大盛況のうちに幕を閉じることができた「minneのハンドメイドマーケット2017」。今回は、会場奥「つながり広場ステージ」で開催された人気作家さまの制作実演・トークショーの様子をお届けします。

<1>「動物ぽんぽん」を手がける、作家trikotriさん

毛糸のぽんぽんをベースにつくりあげる、愛くるしい表情の動物たち。minneでも大人気のtrikotriさんの作品「動物ぽんぽん」は、2015年にminneが開催した「ハンドメイド大賞」の受賞をきっかけに、その製作キットや書籍が販売されるほど、多くのひとに愛されています。

当日は、そんなtrikotriさんに「動物ぽんぽん」の制作を実演していただきながら、現在の反響や「ものづくり」への想いについて、minneの作家活動アドバイザー・和田がお話を伺わせていただきました。

「ぽんぽん」は、羊毛フェルトからヒントを得た「合わせ技」

当日は30分という短い時間の中で、「ポンポンメーカー」に糸がまかれた状態からハサミで全体をカットし、目と耳をつけるところまでを実演いただきました。今回のモデルは、minneスタッフの愛ペット、シマリスの「ぴぴちゃん」です。

和田
左目の方をカットをしているところですね。私も実際につくってみたのですが、いざカットするときに思い切ってできないんですよね。最初は、どこまで切っていいのか分からず難しかったです。tirikotriさんはザクザクと切られていますね。1つの制作にかかる時間は、30分ほどでしょうか。

trikotriさん
そうですね。本に載っている作品は30分〜1時間のものが多いですが、作品として力が入ると2時間〜4時間、それ以上かけてつくることもあります。

和田
舌が出ているわんちゃんなど、バリエーションが多いですもんね。そういったものは、かなり手がかかっているんですね。私は最初の1個をつくるのに、5〜6時間かかりました。いくつもつくって、5個目でやっと2時間ぐらいでできるようになりましたね。羊毛で耳をつくるのが難しいので、耳がないビションフリーゼばっかりつくったり、プードルだと耳は巻けばなんとかなるかなとか、という感じでした(笑)。実際に制作してみると、毎回trikotriさんの偉大さを体感します。

trikotriさん
次は、耳を羊毛フェルト用のニードル針で差し込んでいく工程です。

和田
差し込んでいくと、ぽんぽんの毛糸と絡まって耳がちゃんと固定するという原理ですよね。ボンド使うのは目を固定するときと、最初にタコ糸でぽんぽんの根っこを縛って結び目を固定する時です。それ以外は、羊毛も毛糸も針で刺していけば絡まってしっかり接着されていきます。この方法をあみ出されたのは、本当にすごいですよね。

trikotriさん
もともと羊毛フェルトで作品をつくったり、遊んだりするのがすごく好きで、その延長で生まれたものですね。

和田
合わせ技ですよね。それぞれの技法をうまく組み合わせられています。先日、trikotriさんの過去のInstagramを遡って拝見していたんですが、2015年の「ハンドメイド大賞」に応募される前の、シマリスの試作品段階の画像も残っていて。試作なので、今の完成度とはもちろん違うんですが、ものづくりと向き合って完成度を高めていく過程も垣間見えたりして、とても面白かったです。

360度どこから見ても、おなじ完成度

和田
360度どの角度から見ても、造形として美しく仕上げるられているところが本当にすごいなと思います。立体作品はどうしても、顎の下から見たらペチャンコだったり、頭の上から見ると目が飛び出していたり…ということが起きがちですが、trikotriさんはくるくる回していろんな角度から調整してつくっているんですね。もともと造形などのお勉強もされていたんですか?

trikotriさん
絵を描くのが大好きで、美術系の大学で絵を学んでいました。デッサンなどをしてたので、立体的な形の把握は慣れていたのかもしれませんね。

和田
これって、小学生や中学生の「平面の絵を描く」というところから、次のステップの「立体造形に挑戦する」という課題として、とてもいいですよね。360度いろんな角度から見て、見える毛糸の出方っていうのを計算して設計図を考えるということと、はさみの入れ方で表情や筋肉のつき方が変わるっていうのは、ちょっと論文が書けるくらい熱く語れるなと感じました(笑)。夏休みにお子さんの自由研究でやってみるのもおすすめです。

海外からも届くメッセージ

和田
trikotriさんの動物ぽんぽんが注目を集めるきっかけとなったのが、ありがたいことにminneが開催した「ハンドメイド大賞」ですね。2015年度のグランプリを獲得されて、それがきっかけでまずキットが販売され、そのあと『動物ぽんぽん』という本が出版されました。初版が10万部を突破する売上で、ハンドメイド業界が久々の大ヒットだと沸き立ちました。そして、先月発売されたのが第二弾の『犬ぽんぽん』。他にも『動物ぽんぽん』翻訳版もできたということで。

trikotriさん
そうですね。翻訳版は最初が台湾語、その次が韓国語、その次がフランス語版を出版することができました。

和田
海外からの反響もありますか?

trikotriさん
海外の方からも、直接メッセージが来たりするんです。

和田
そうなんですね!TwitterやInstagramでもコミュニケーションが生まれていそうですね。

trikotriさん
Instagramはすごく影響が大きくて。海外の人に作品を見ていただくきっかけになった気がしますね。

和田
そうですよね。InstagramもTwitterも英語圏の方がたくさんいらっしゃいますし、韓国語、中国語でコメントをいただいたりするのも、よく拝見します。「動物ぽんぽん」が本当に多くのひとに愛されているんですね。ぽんぽんが、「作品」としても「ものづくり」としても根づいていくことを、陰ながら願っています。

そしてついに完成ー

完成した作品がこちら。シマリスのぴぴちゃんの、ふくふくとした愛らしさが丁寧に再現されています。この完成度の高さには、ぴぴちゃんの飼い主であるminneスタッフも大喜びでした。

 

trikotriさん、素敵な作品とお話をありがとうございました!


<2>ガールズイラストを手がける、作家土屋みよさん

「一緒にいると毎日が映画のようになる女の子」をコンセプトにガールズイラストを描く、イラストレーター土屋みよさん。その作品は、ステーショナリーからファッションアイテムまで幅広く、minneでも多くのファンをもつ人気作家さんです。

このイベントでは、土屋さんとゆかりの深いminneのスタッフの青木が、作品制作に込める想いや、その楽しさを伺いました。

きっかけは、2年前のイベント

青木
今回みよさんとお話させていただくきっかけになったのは、実は、今日も同じビックサイト内で開催されている「日本ホビーショー」なんです。

土屋さん
そうですね。

青木
2年前は、「日本ホビーショー」の中に「minneのブース」というものを出展させてもらっていました。そのときminneがテレビの密着取材を受けていたんですが、そこで「日本ホビーショー」に出店されていたみよさんを「あの方もminne作家さんです」と紹介させていただいたのが、きっかけですね。あのときは本当にありがとうございました。

土屋さん
こちらこそ、貴重な機会をありがとうございます。

「誰かのため」の作品を

青木 
イラストレーターの活動をおこなううえで、大切にしていることはなんですか?

土屋さん
お客様との距離感ですね。今はSNSでも直接お客様と交流できますし、いろいろな活動のかたちがあると思うんです。でも、せっかくイラストレーターをやっている以上は、誰かに喜んでいただける絵が描きたいなという思いがあります。「自分の手から届く作品」というところを大切にしながら活動していきたいなと思っています。

青木
Twitterでも定期的に似顔絵の募集をしていますよね。

土屋さん
そうなんです。みなさんに楽しんでいただけるようなことができればいいなと思っています。

土屋さんは当日もブースにて似顔絵を書かれていました。

お客様とお話をしながら、迷いのないタッチで下絵を描きます。

約10分で、素敵な似顔絵が完成しました。

人生が変わるきっかけ

青木
イラストは、いつ頃から描かれているんですか?

土屋さん
絵は、物心つく前からずっと描いていたようです。自分では憶えていないのですが、母がずっと描いた絵をとっていてくれて「これが1歳の時の絵だよ~」って見せてくれますね。今みたいなイラストになったのが、二十歳ぐらいからです。

青木
素敵なお母さんですね。

土屋さん
実は、もともと母もイラストレーターを少しやっていたので、その影響もあるのかもしれません。

青木
そうなんですね!作品を販売されるようになったのは、いつごろからですか?

土屋さん
2014年の11月ごろなので、2年半前ですね。

青木
なにか、きっかけがあったんですか?

土屋さん
美術大学に通っていたので、大学の芸術祭でたまたまスマートフォンケースをつくってみたんです。芸術とかに詳しくない方にも思いの外、気軽に手に取っていただけたのがうれしくて。それが最初でしたね。もちろん、minneの方に声をかけていただいたのが、今のような販売になったきっかけですが。

青木
なるほど。minneも販売の後押しになっていたならうれしいです。

土屋さん
「minneで人生が変わった」と思っています。

青木
それはうれしい…感激です!ありがとうございます。

「届いたあと」を想像すること

青木
作品を販売する思いで販売されているかお聞きしたいです

土屋さん
お客さまが手に取ったときのことを想像して、どんなふうに喜んでもらえるかということを常に考えるようにしています。もともとは絵画系の絵を描いていたということもあって、限られた世界の中で自己満足で終わっちゃうことも、やっぱり多かったんです。でも、こうしてグッズにしたりイラストを描いて販売する以上は、「どうしたら、お客さまに喜んでもらえるかな」「お客さまにとって得があるかな」ということを、しっかり考えるようにしています。

青木
みよさんのグッズは、かわいいだけでなく実用的なものも多いですよね。どう使おうかな、とワクワクした気持ちにもなるのは、お客さんのことをしっかり考えておられるからこそですよね。作品を見ても実感します。

土屋さん
そう言っていただけると、うれしいです。これからも大事にしたいこだわりですね。


「minneのハンドメイドマーケット2017」のステージレポート<2>
片桐仁さん・篠原ともえさん、minneの人気作家さまのトークショーの様子をご紹介します。
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