今年も作品募集を開始した「minneハンドメイド大賞」。作家さまの発掘・支援を目的としたコンテストとして、2015年より多くの作家さまにご参加いただいております。今回は、昨年のハンドメイド大賞にて大賞を受賞された440(ヨシオ)さんをお招きして開催したトークイベントのレポートをお届けします。
プロフィール
440(ヨシオ)さん
ユニークな作風と高度な製法技術を持ち合わせるレザークリエイター。アパレルショップでのお取扱や企業とのコラボなど、幅広くご活躍されています。
お尻の形をしたお財布が、ハンドメイド大賞を受賞した話
昨年のハンドメイド大賞にて大賞を受賞された440(ヨシオ)さんをお招きして開催したトークイベント「お尻の形をしたお財布がハンドメイド大賞を受賞した話」。
トークイベントの会場となったのは、minneのアトリエ世田谷が入居している「世田谷ものづくり学校」です。登壇者として教壇に立ってくれたのは、レザークリエイターの440さん(以下、440)。聞き手として、minneの生みの親である阿部(以下、阿部)、作家活動アドバイザーの和田(以下、和田)がお話をさせていただきました。
「minneのハンドメイド大賞」の主役は作家さま
まずは「minneのハンドメイド大賞」に込める想いを、阿部から。
阿部 作品はもちろん、作家さんにもしっかりとスポットを当てる機会をminneとしてつくりたい、という想いから「ハンドメイド大賞」を主催するようになりました。授賞式も「minneの世界観」というよりは、受賞された作家さんが主役。メディアの方にたくさん興味を持っていただけるような、ハンドメイドがもっと世の中に広がっていくような、そんな価値を持った場にしていきたいと思っているんです。
和田 昨年も440さんという新たな「主役」が誕生したわけですが、440さんは、どのような経緯でハンドメイド大賞に応募してくださったんですか?
440さん 「minneのアトリエ」で作品撮影をさせてもらった帰りに、minneのスタッフさんにこの賞について教えていただいたのがきっかけですね。それで応募してみました!
「minneハンドメイド大賞2016」大賞作品 「Panty Minaj《L》feat…JAPANESE」
阿部 結果的に、大賞受賞ということですから、何が起こるかわからないですよね。
受賞後に改めて感じたクリエイターとしての責任感
和田 受賞されてから、環境の変化や心境の変化はありましたか?
440さん 「クオリティの面で妥協できないな」ということは、改めて感じましたね。ハンドメイド大賞をいただいてから、釘を刺されたような気分です。
阿部 それ以前は、完成度にムラがあったりしたんでしょうか?
440さん もともとクオリティに関してのこだわりは強かったのですが、これからは「いよいよ嘘がつけないぞ」と。自分自身の基準と、手にとってくださるお客さんたちの基準はちがうと思うんです。お客さんに満足していただけるラインは当然ですが、自分自身が満足して胸を張れるレベルのものをお客さんに提供したいという想いが、ハンドメイド大賞をいただいて、より強くなりましたね。
阿部 クリエイターとしての責任感が増したという感じでしょうか?
440さん そうですね。絶対に妥協はできないと気が引き締まりました。
「つくりたい」、だから「つくる」
和田 440さんの作品は、個性的なアイデアにあふれていると思うのですが、そのようなひらめきはどこから得ているんですか?
440さん ものをつくるとき、まず「売れるものをつくろう」と考えるひとが多いと思いますが、それが簡単にわかれば、みんなお金持ちになっていると思うんですよね。だから僕は、「売れるもの」なんてつくれない、つくれないしつくらない、ただ「つくりたい」からつくるだけなんです。シンプルな意見なんですけど。
和田 たしかに「なにをつくれば売れますか?」とたまに作家さんに聞かれることがありますが、みなさん葛藤されている部分だと思います。自分自身の想いの追求として、どこかで「もう一歩」踏み越すしかないのかもしれないですね。
Fish Born Chipsさんとの出会い
阿部 440さんが革作品の制作をはじめるきっかけになったのが、minneでも人気の夫婦作家「Fish Born Chips」さんだとお伺いしました。
440さん そうなんですよ。僕は、某グラフィックデザインの学校を卒業しているんですが、ドローイングの授業があって、その講師をFish Born Chipsのよしてるさんが務めてらしたんです。当時、よしてるさんが行った展覧会で革のキーホルダーに出会いました。特別に手の込んだものではなかったんですが、とても惹かれてしまって。
阿部 ぐっとくる、何かがあったんでしょうね。
440さん 自分の中でビビッと感じましたね。それで革製品に興味を持つようになったんです。
和田 そのあと、いっしょに作品も制作されていますよね。
阿部 以前、Fish Born Chipsさんに440さんのお話を伺ったことがありました。「440に勝る革を加工する技術を持っているやつはいない」っておっしゃってましたよ。
440さん 本当ですか!いっしょに作品を制作したときは、革を裁断する作業があまりに多くて、おかげさまで「カッターがあればなんでも切れる」技術が身につきましたね。今でも、そのときに得た技術がすごく活きていることを感じます。
自分の「納得感」をたいせつに
今回参加された方のほとんどが、実際に日々ものづくりに関わっている作家さま。440さんのお話に真剣に耳を傾けていらっしゃいます。
440さんには、ご質問にも回答いただきました。
<質問>:作品に使用するファスナーを品質のよいものに変更されたとき、値段にも反映されましたか?
440さん 値上げしましたね。お尻の財布は当初2万円で販売していましたが、今は4万円です。作品の料金というのは「永遠の課題」だと思うのですが、たとえば企業さんとのやりとりなどがなければ、いくらでも変動させていいと思うんです。欲しい人は、きっと買ってくれますから。ものづくりをしていると、まわりから「その値段は高くないか?」とか「そのデザインで売れるの?」とか、いろいろ言われることがあると思うんです。僕は、まったく気にしません(笑)気にしていると、自分が苦しくなっちゃうと思うので。自分が思うように、納得いくように、がたいせつだと思います。
お客様:ありがとうございます、がんばります!
近い将来、ものづくりはしていない?!
和田 今後の展開についておしえてください。
440さん 1年後になるか、3年後になるかわかりませんが、僕はものづくりをしていません。
阿部 おおお!ものすごい大胆な宣言ですね。
440さん ものづくりはしない予定です。自分だけですべてを制作するのは限界があると思うんです。自分はひとりしかいないので、つくる量は限られてきますから。僕は、「ある程度」「そこそこ」で満足したくはないんです。なので、「なんでもつくれちゃいます、僕。」みたいなすごく技術力の高い「作り手さん」を見つけて、「440さんは、デザインをお願いします!」なんて言ってもらえるのが理想ですね。ばばばばばっー!!生み出してもらえるような(笑)
阿部 なるほど!
440さん 僕の知恵やアイデアを形にしてくれる方を見つけて、僕自身はどんどん新しいものを考えていきたいですね。今は革に限定されていますけど、生活をデザインしたいんですよ。家具もやりたいし、洋服もやりたい、帽子もやりたい。いろいろやりたいことはある中で、今は革に着手しているという感じで活動しています。
阿部 ものづくりの幅を広げていきたいということですね、楽しみです!
2017年も開催される「minneのハンドメイド大賞」
440さん クリエイターのみなさんには、是非ハンドメイド大賞に応募してみてほしいですね。実質、「ものづくりの日本一決定戦」だと思うんですよ。
阿部 このトークイベントをきっかけに応募されて、大賞!ということも、あるかもしれない。なにがきっかけになるかわからないですからね。
和田 ご自身が努力されたことが結果に結びついているケースもきっとたくさんありますよね。是非その一歩を踏み出して応募していただけたらうれしいです。
最後は、登壇者の3人で記念撮影。ユニークな440さんらしい笑い声が耐えない1日となりました。
440さん、暑い中お越しいただいたみなさま、ありがとうございました!
『minneハンドメイド大賞2017』エントリー作品募集中!
作家さまの発掘・支援を目的とした「minneハンドメイド大賞2017」。3回目の開催となる今回は、ファッション・ライフデザイン・ベビーキッズ・ギフトの4部門にて、日本全国よりハンドメイド作品を募集します。みなさまからのたくさんのご応募お待ちしています。