このごろ、心に影を落とすようなニュースばかりが目に入る。
「どうすれば人の目を引けるか」に重きが置かれ、不安や対立をあおるような見出しが増えてきた。
中でもよく見かけるのは、「結婚」「子ども」「老後」といった、人生のテーマだ。
誰かは「家庭を持ったほうが幸せ」と言い、別の誰かは「持たないほうが自由」と言う。結婚も老後も、似たような話題であふれている。
白黒はっきりさせたがるのが人間の性なのかもしれない。そのデリカシーのなさに呆れながらも、完全に目を背けることはできず、つい覗いてしまう。そんな情報の海に揺さぶられているうちに、自分の心まで不安定になってくる。
そのうち、ぼんやりとした孤独や不安が、心の奥からじわっと浮かび上がってくる。
そんなとき、僕はいつもこう思うようにしている。
「僕たち、ただ海を漂ってるだけさ。確かなものなんて、何ひとつない。」
家族も、友達も、仕事も、お金も、健康も。どれも手の中にしっかり握っていられるものじゃない。ただ、自分のまわりをゆらゆらと漂っているだけだ。次の瞬間には、大きな波がやってきて、すべてをさらっていくかもしれない。でもまた別の波が、新しい出会いやできごとを運んできてくれることもある。
大切な人が突然去ることもあれば、新しい縁が思いがけず訪れることもある。喪失やめぐりあいは、いつだって予想もしないタイミングでやってくる。
人生には、そんな不確実性がつきものだ。
こうした流れは、僕たちにはどうすることもできない。必死に波をかき分けることはできても、その方向をコントロールするには限界がある。
そう思うと、少し気が楽になる。
人生なんて、もともと計画どおりにはいかない。
何かを得ては、何かを失っていく。その不確実性の中で、ただ「なるようにしかならない」のだ。
そんな理不尽な世界のなかで、ほんの小さな期待を胸に抱くことができれば、それだけで、十分に幸せなんじゃないかと思う。
今日、寂しくても、明日は誰かに出会うかもしれない。
明日、何かを失っても、来週には何かを手にするかもしれない。
そんなふうに、今日を生きていく。
それくらいが、ちょうどいいのかもしれない。
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「BLUE MEMO – Wednesday Column」
週の真ん中、水曜日。ちょっと肩の力を抜いて、リラックス。そんなコラムをお届けします。
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