クロスステッチは文字通り刺しゅう糸を「ぺけ」になるようクロスして面を埋めていく刺しゅうの技法です。専用の布を使って目数を数えて刺すもの(カウンテッドクロス)と、平織りの布に刺していくものとあります。
布の目数を数えて刺すほうが、同じ大きさの「ぺけ」にそろえることができ、図案の通り刺せばどなたが刺してもでき上がりはそんなに大きく変わりません。もちろん糸の引き加減や糸の渡し方の要領など、慣れた方の仕上がりはとてもきれいです。
■目を数えるししゅう布
専用の布は様々な大きさの目があり、「カウント」(ct)として表記されます。輸入生地などの場合は1インチに入る目数で表されるので、例えば16ctならば1インチ=約2.54センチの間に16目のクロスステッチが入ることになります。なかなか細かいですね。この数字が大きくなれば、布目はさらに細かくなります。また、国産の布地の場合はセンチで表すことがあるので、その場合は10センチに52目、などのように表される場合があります。この布目をカウント数に換算すると、この場合は13カウントといったところでしょうか。
■クロスステッチの向き
「ぺけ」は右と左の糸のどちらが上になっても構いません。ただ必ずすべて同じ向きにそろえるのが基本です。
当ショップのクロスステッチキットは「右上」を前提に説明しています。その場合布の左から始めて右に進み、さらに折り返して左へ戻ります。最初の目に戻ったら、次の目の布目の左上の穴に針を出します。
■きれいなステッチ
クロスステッチできれいに仕上げるために気をつけて頂くといいかなと思うことは、糸の引きそろえと、糸の引き加減です。
一般的には25番ししゅう糸を使用することが一番多いかと思います。25番ししゅう糸は6本の細い糸が合わさっています。その6本の中から文字通り1本ずつ糸を引き出して、その引き出した糸をそろえて使います。2本どり、とか3本どり、とある必要な本数を引き出します。6本の糸束から左右に取り分けようとすると絡んでしまうので、糸端をまとめて持って、そこから垂直に1本ずつきゅーっと引き出すのが絡みにくい方法です。抜き残した糸はくちゃっとかたまりますが、そのままひっぱって元に戻せばどうってことありません!そうして引き出した糸を揃えて使うことで、糸がふわっとなるのです。
また糸の引き加減ですが、糸をししゅう針に通して布目の穴から糸を出し、それを対角の穴に刺し入れて作る目は、穴から穴に渡る糸がちょうどいい引き加減で渡ると、ふっくらと糸の光沢もきれいに見えます。この引き加減を、あまりきゅーっとひいてしまうと穴が引っ張られ、でき上がった刺しゅう面に穴が目立ってしまうのです。布目が大きいとなおさら、糸をたるませず突っ張らせず渡す、なおかつそれを揃えるのは手慣れていないとちょっと大変です。大きな目でも糸面(いとづら)がそろった目は、糸の光沢がきちんと出てとてもきれいです。
糸はたるませてはいけませんが、あまり強く引きすぎないよう1目1目をゆったりと刺す感じが、きれいな仕上がりにつながるのでは、と思います。
■作品のお手入れ
刺し上がった作品のお手入れですが、刺す前に手を洗うなどして気をつけると、それほど手あか汚れなどもなく、仕上げのスチームアイロンできれいに整えられます(仕上げ方はキットの説明書にも載せています)。
けれど汚れてしまった場合は思い切って洗うこともできます。
まずたっぷりのぬるま湯(熱いものは✖です)に中性洗剤を溶かします。洗剤は漂白剤の入っていないもののほうが良いと思います。作品の端の目立たないところを洗剤液につけ、色落ちしないことを確かめたら、作品を平らに浸しやさしく押し洗いをします。ぬるま湯を取りかえて、水がきれいになるまでよくすすぎます。洗い終えた作品をできるだけ広げてタオルに挟み、押して吸水させます。
アイロン台の上に乾いたタオルを二つ折りにして敷きます。その上に作品をししゅう面がタオル側になるよう裏返して広げます。その上に当て布をかけ、低温のアイロンを、布の縮みを伸ばすよう軽く押さえるようにかけます。この時ステッチをつぶさないよう、アイロンを強く押し付けないよう気をつけましょう。作品が大きい場合はバスタオルを使用します。アイロン台に敷くタオルはステッチをつぶさないためです。
■お願い
ししゅうキットは図案があればどなたでも複製ができるものです。キットをお買い上げくださった方がご自分のためにコピーを取って使用されるのは構いませんが、販売目的などのためにコピーを取ることは固くお断りします。不許複製を表記しています。どうぞご勘案ください。