++ ある一族の生涯 ++

++ ある一族の生涯 ++

春がやってきました。 花や草が芽吹きだし華やかな季節です。 その花たちのような美しい模様の帽子を被って 行列を作り練り歩く民族がいます。 形は皆同じです。 折り返した鮮やかな色のシコロ てっぺんに房がついています。 行列は四人が横並びで長く作られます。 赤と青と黒のまとまりに分かれ 長い長い城砦の上を毎朝歩いています。 これは古くから伝わる儀式で いつから始まったのかは誰も知りません。 行列を構成するのは皆、学者です。 民族の帽子は知識の源と言われ 生きるための知恵、古の歴史や未来予想に至るまで 様々なことを秘めた大切なもので 長い間受け継がれ管理されています。 この國には本や字というものがなく お互いに話を聞くことで知識や見聞を深めます。 本がないのはまわりの国々に知識を奪われないため。 生きていくための、国を存続させるための 方法そのものだと言います。 行列は智神と言われる像の前に進むと止まり しばらく黙祷を捧げ、そして一日が始まるのです。 花散りばめられるこの季節の中 華やかに花のように行列する学者たち。 一度その帽子を被ってみたいものですね。 それでは、また。

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石と硝子を紐で編む店

弥光商店
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