春がやってきました。
花や草が芽吹きだし華やかな季節です。
その花たちのような美しい模様の帽子を被って
行列を作り練り歩く民族がいます。
形は皆同じです。
折り返した鮮やかな色のシコロ
てっぺんに房がついています。
行列は四人が横並びで長く作られます。
赤と青と黒のまとまりに分かれ
長い長い城砦の上を毎朝歩いています。
これは古くから伝わる儀式で
いつから始まったのかは誰も知りません。
行列を構成するのは皆、学者です。
民族の帽子は知識の源と言われ
生きるための知恵、古の歴史や未来予想に至るまで
様々なことを秘めた大切なもので
長い間受け継がれ管理されています。
この國には本や字というものがなく
お互いに話を聞くことで知識や見聞を深めます。
本がないのはまわりの国々に知識を奪われないため。
生きていくための、国を存続させるための
方法そのものだと言います。
行列は智神と言われる像の前に進むと止まり
しばらく黙祷を捧げ、そして一日が始まるのです。
花散りばめられるこの季節の中
華やかに花のように行列する学者たち。
一度その帽子を被ってみたいものですね。
それでは、また。