『死者の魂が現世をさまよう日』
今年も近づいて参りました。
カボチャやゴーストなど可愛らしいもので
街が溢れる季節、独特の味わいがあります。
「悪魔に魂を売った」という言葉は
何らかの目的で悪魔を呼び出し
願いを叶える代わりに
自分の魂を差し出す、という
行為から由来した例えです。
ある世界では、悪魔と約束を交わす際
書面をきちんと用意します。
悪魔は獰猛で暴力的なイメージですが
実際のところは上から下まで階級があり
位の高い悪魔であるほど
紳士的で丁寧な性格をしています。
契約時には人間が恐ろしがったり
周りが騒いだりしないよう
人の姿に形を変えて身なりを整え
喫茶店などで待っています。
見事に街に溶け込み
誰にも気にもされません。
契約書は悪魔自らが持ち歩き
人の手元には残りません。
自ら望んだ癖にその行為が恐ろしくなり
隠したり燃やしたりして
無かったことにしようとするから、
というのが悪魔側の言い分です。
契約書を書くときは
悪魔の持つペンで書きます。
インクの色が透けて見える
黒いガラスの万年筆です。
「闇墨」と呼ばれています。
悪魔は、着ているスーツのジャケットの
胸ポケットに手を入れて取り出しますが
それは騒がれないための見せかけで
実際は自らの心臓からそのペンを出し
契約者に渡しています。
つまり、闇墨はその悪魔の血の色。
黒だったり赤だったり紫や青など
様々な色がありますが
どれもこれも深く美しい色で
まさしく悪魔的と言えます。
天使と悪魔…どちらが優しいかというと
案外、悪魔の方なのです。
悪魔は約束を交わした人間には
ひたすら甘く何でもしてくれますが、
天使の方は良くないことに対し
口を出して厳しく叱ったり
悪い行いには制裁を加えたりします。
おや、考えようによっては
どちらが本当の優しさなのか。
悪魔は人間の欲求を叶える為
文字通り身を削って、
血がに滲むような思いをして働きます。
そして
契約違反の人間に怒り襲う時にこそ
イメージ通りの獰猛さを発揮する…
というわけです。
それでは、又。