インスタグラムで「ボールペン画」「ボールペンイラスト」等のキーワードで検索すると、かなりの数の作品がヒットします。
ペン画という場合、万年筆その他、様々なペンを使って描く作品が含まれますが、画材として最も身近で安くて(←ここ大事!)慣れるのが楽なペンと言えば、やはりボールペンでしょう。
私は、2020年7月現在、アニメーション制作のために、もっぱらボールペンで日々せっせと作画しています。
その中で、教材化できそうな作品がいくつかあったので、ボールペン画セットとしてminneで販売開始しました。
きっかけがなかっただけで、やってみれば実は絵が上手い方、かなりいらっしゃるのではと思っています。
或いは、何かの事情で自分は絵が苦手と思い込んでいる方も結構多いのではないかと。
ボールペン画なら、普段メモを取るのに使っているものでちゃちゃっと取り掛かることができますし、このセットは下絵が含まれているので、デッサン力が作画のネックになる心配もありません。
恐らく、「絵が苦手」というのは、正確には、「デッサン力がない」という意味なのではないかと思います。
猫作画の練習の一環で、YouTubeの動画をかなりチェックしましたが、コメントを見てびっくりしたことがあります。
猫の顔を描くにあたり、まず円を描くのですが、その点を指して、
「最初の円を描くだけで2時間かかった」
というコメントが。
猫の顔を描くときに必要な円は、別にそれほど完璧な円である必要はないですし、どうしても完璧な円を描きたければ、フリーハンドではなくコンパスを使えばいいですよね。
コンパスがなければ、お椀や小どんぶりを画用紙に伏せて置いて周辺をなぞれば、10秒程度で円は描けるでしょう。
どうも絵を描くというと、自分の手と筆記用具以外使わずに、本物そっくりに描けることが唯一の出発点と信じて疑わない人がいるようです。
しかし、絵描きは、デッサン力がなければ楽しめないものではないですし、デッサンしか習得の入り口がないわけでもありません。
また、対象の形を正確に写し取るだけで、絵として完成するわけでもありません。
この点、塗り絵について考えてみると、よく分かるのではないでしょうか。
彩色する前の塗り絵は単なるアウトラインにすぎず、この段階のものを絵画として鑑賞し、楽しめる方はまれでしょう。
そこに色が加わり、コントラストのメリハリという要素が機能して初めて、立体感、実在感、咲きこぼれる花のように色にあふれた世界の美しさと楽しさ、空気感を味わうことができます。
もう何年にもわたって、大人の塗り絵が大人気ですが、塗り絵を楽しむ方が多いのは、デッサン力の心配をすることなく安心して色の世界で遊べることも、その理由の一つでしょうでしょう。
ペン画でも同様の楽しみ方は出来ます。
輪郭は下絵通りにペンでなぞって、陰影をつけたり、線の細さ・太さを調節して、立体感と奥行を出していきます。
下絵の段階では、平坦で何ら存在感のなかったものが、ペン入れが進んでいくにつれて生き生きとした様子を帯びてくるのを見るのは、それはそれは楽しいものです。
特に、モノクロの洗練されたスタイリッシュなテイストが好みの方にとっては、自らの手でそれを生み出せる喜びは、他に代わるものがないほど大きなものになるでしょう。
デッサンストレスはちょっと脇に置いといて、コントラストのつけ方や物体のテクスチャの表現方法を先に学ぶ。
沢山描いているうちにモノの形を捉えることにも慣れてきて、デッサン力も無理なくアップできるのではないでしょうか。
ボールペン画セットが、自分の手でユニークな世界を編み出す楽しみを知る一つのきっかけになってくれれば嬉しいです。
慣れてきて、自分のオリジナル作品を描けるようになれば、個展開催も夢ではないでしょう^^
人生百年時代と言われる今、伸ばせる才能は伸ばした方が、生きる楽しみが多くなっていいですよ~🐈