今回は私、手づくり作家 Decopoko が「丁寧」と言われて不思議に思い考察したことについてレターしますね✉️
私が「作って造ってつくりまくるぞ~🔥!」と、布こものを制作することに没頭し始めたのが2012年の秋、手づくり作家 Decopoko の始動です。そして、市内のイベントに出店する期間を経て、販路を全国に広げるため手探り状態でスマホデビューしSNS発信を開始、ネット販売のステージとして2016年に minne をスタートさせました🐣。
当初やってみたいことが頭の中に山積み且つ雑然と散らばっていたし、きちんと裁縫を学んだ訳ではないというコンプレックスを抱えながらなので今でもいろいろと悩みはつきませんが、ひとつひとつ制作と共に整理してクリアしながら何とかここまでやって来ました。
Decopoko 初期のイベント出店していた頃の話。とある出店者もお客さまもほっとんど来ない寂し~いフリーマーケットに出店していた時、古布を販売して他県から来られるお店の常連の地元のお客様が私の売り場に足を運んで並んでいるものをひと通り見てくださり、
「あなた、これだけ作れるんだから "仕覆" を作ったら? ○○へ行けば作り方を教えてもらえるわよ。」
とおっしゃいました。
「シ・フ・ク?」
「これだけのものをこんなに丁寧に作ってるんだからあなたならできるわよ。需要は結構ある。大丈夫。」
と太鼓判を押してくださいました。熱意あるお言葉に、『何だかよくわからないけど褒められてるみたい。』と思いながらも "シフク" が何なのかわからず教えてもらいながらものらりくらりと逃げ腰で対応して済ませてしまいました。
帰宅後にパソコンを開きネットで調べて初めて画像を目にし「茶道の茶碗や茶入を包む袋『仕覆(しふく)』」の姿を知るのですが、恥ずかしながら当時の私はそんな雅なものは無知ゆえ知らず、結果的にはお断りした感じに。
検索画像がズラリと並ぶモニター画面を眺めて
「これを作れるって言ってもらえたってことは…褒めてもらえたんだなぁ…。」
とじわじわと嬉しくなり、仕覆作りを勧められたことはその後の私の自信にもつながりました。
( と同時に、こういった何か専門的なものをマスターして依頼を受ける仕事をしている人もいるのだなぁ、そんな道もあるのだなぁ…と漠然と知る機会にもなりました。)
また同じ頃、多くの方に見てもらいたくてもその機会がほぼない状況で、親戚や町内の方々、ほとんど身内のような知り合いや極少数のお客さまに手に取っていただいていた中、「丁寧に作ってあるね」との褒め言葉をちょくちょくもらいました。
自分的には取り立てて丁寧につくった覚えはないので意外に感じ、このことが不思議で仕方ありませんでした。考えてみるうちに『何かと比較して丁寧と思うのだな。』と思い、その何かとは日常でよく見たり使ったりするものだと気付き、大量生産された "産業品" への考察へとたどり着きました。
自分がつくったものの価格を決めるとき、この "産業品" との比較で既に私は『大敗』を経験済みでした。
ハンドメイド品は材料費も勿論なのですが、制作に掛かった手間暇、時間を原価に換算するとどう頑張ってみても非常に高額な売値になってしまいます。お客さまがこの商品にそれだけの出費をする価値があるのかと自問自答した時に、どうしても「高いなぁ」と感じてしまうのを拭いきれませんでした。
理由を考えてみると、膨大な数のものを流れ作業で次々と作り出している "産業品" に囲まれた生活に、私たちはすっかり慣れてしまっているということにたどり着きました。
原材料を大量に安価で仕入れ、効率よく機械化した生産工程に最低限の人員を配置し、大量且つ時短生産することでコストを大幅に下げることに成功、或いは人件費が安く抑えられる外国での生産、輸入。交通網も発展し運輸も効率化。生産、運輸、卸売りから小売業まで消費者のニーズに応えた薄利多売のこうした産業化は、私たち消費者にとって様々なものを安く使える便利な生活を提供してくれました。
しかしいつしかそれが当たり前の世の中になり、本来ならもっと高額であるはずのものが安価で入手できる現状にどっぷりと慣れきってしまったようです。安くなっていることにも気付かないくらい当たり前で、それが "産業化の賜物" であることを私もすっかりと忘れてしまっていました。
そうした中、ひとつひとつを自らの手で制作するハンドメイド品はどう頑張ってみても "安さ" の面で産業品には到底敵いません。
私なりに時短の工夫は常に挑戦していることのひとつではあります。省ける工程は省き、より短い時間でよりきれいに仕上げる工夫を考え続け、そのアイデアでクリアできたことも多々あります。ここは簡単に諦めることなく今後も挑戦し続けていく重大なポイントです。
それでもやはり産業品に囲まれた生活に慣れている消費者にとっては「ハンドメイド品は高い」と感じることでしょう。
個人で材料を仕入れ、商品開発から制作~完成、販売までを一貫してひとりで担っているという贅沢を購入するのがハンドメイド品の価値のひとつなのかもしれません。
こうした工程をひとつひとつ大切に、また正確に、まだ見ぬいずれ使ってくださる方に喜んでいただけるよう、心を込めて大事に作業を進めていくからこそ自分の作品に愛着も湧くし、自然と丁寧な仕事ぶりとなる結果へとつながっていくのだと思います。
私は人から「丁寧だ」と言われるまで殊更特別に丁寧に制作しているつもりはありませんでしたが、手に取った方に産業品との比較で「丁寧」と感じさせる何かがあるのだとしたら、それがハンドメイドの強み、ひいては私の強みなんだろうと考えるに至りました。
今では丁寧につくることにははっきりとこだわりがあります。そこに誇りを持って強みと言えるよう、心を込めて大切に丁寧に ( だけれども "なるはや(低コスト)" で ) 作業することに気を配ってベストを尽くすことにしています💪💨
ハンドメイド品の良さはこの他にもいろいろとあります。文明が進み産業化で物が溢れる今の世の中にこそ必要だというヒントが、ハンドメイド品には多く隠されていると感じるのは私だけではないはず。わかる人にはわかるこの辺りの価値感について、多くの方に広く発信していくことも志したい大切な課題のひとつとなりました。
今回は「丁寧」についてレターさせていただきました✉️
読んでくださり、ありがとうございました😊