今回は私、手づくり作家 Decopoko が着物リメイクを始めたきっかけについてレターしますね✉️
私の地元が特に着物文化が盛んという訳でもなかった割に、母の影響でちょこっとだけ着物に慣れ親しむ環境にあったというのは、以前のレターに書かせてもらいました。
そんな私が着物に魅せられ、ものづくりへとどっぷりとのめり込んだのは、やはり、あの、2年間限定の “京都暮らし” があったからです。
現在は地元住まいのシングルマザー(特支校中3男子の母)の私ですが、30代前半、当時の夫の仕事の関係で京都で2年程暮らすという経験をさせてもらいました。
専業主婦で日中ひとりで過ごす私。家事とボランティア(朗読奉仕員)をする他は自由な時間がしっかりあるものですから、せっかくの京都暮らし、期間の制限もあることだし、このチャンスに行ける所には行こう!観れるものは観よう!と意気込んで長期ひとり旅気分で、あちこちフラフラとよく出歩き観光しました。
会社が用意してくれたマンションはJR向日町駅と阪急洛西口駅が最寄り駅で、滞在中にJR桂川駅が新設されました。キリンの跡地はまっさらでしたがあそこに学校とか出来て街になるらしいよ~とか何とか職場で聞きつけた話を教えてもらった、そんな時代です。
会社の方針でマイカーを持って行くことが出来なかったので、自転車と電車・バスと徒歩とで行ける場所が私の行動範囲。観光案内所でパンフレットやリーフレットを集め、観光誌の情報や地図を頼りにお金は掛けず、自分の足と目で自由に楽しませてもらっていました。
例えばベタなコースでは京都駅から徒歩で清水寺〜八坂神社巡り河原町駅(当時)から帰宅とか、桂川沿いのサイクリングロードを上って嵐山散策帰りは阪急でとか。数日間の京都旅行では回りきれないような場所なども調べて探して歩いて。歩数計を付けてウォーキングを兼ねたひとり旅は目と心の保養たっぷりの贅沢で有意義な時間でした。
そんな中、月1で骨董市があるらしいと東寺の弘法市に足を運びます。境内にずらりと並ぶ多種多様なお店!そして通路には人!ひと!人!!田舎者の私には目の回るような光景でしたが、人垣に分け入って一軒ずつ違う品を見て巡るのは楽しくわくわくが止まりません。何だか古めかしい物を見るのも好きだし、手作りの物や出逢ったことのない物を発見するのも素晴らしいし、買うことは叶わないけれどもすぐに虜になりました。こうして、弘法さん、天神さん、と何度か足を運ぶうちに、着物のハギレに惹きつけられる自分に気付くのでした。
「綺麗だなぁ」→「欲しいなぁ」→「何か作れるかなぁ」となるまでに数ヶ月掛かりましたが、初めて手に取ったハギレは忘れません。あれこれと物色してみつけたそのハギレ、私にとってはその…かなり予算オーバー!“お高い!”のです。頭の中で財布と一生懸命相談していると、お店の大将さんに「何か作る人?こういう柄の着物、いっぱい作られた時期があったの、知らない?」といきなりかまされました!(かまされたと思ってしまいました!)
「ぃぇ。初めてなんですけど何か作ってみたいと思いまして・・・。」
と、『匕ヒヱェ〜!ズブズブ素人でごめんなさい!作ったことないし知らなし!』と心中悲鳴を上げながら『高いけどしゃあない!!よう値切らんし!』と『エイやあ!』でお買い上げ。
思えばあの時くじけず購入したお陰で今の私があるのです。
綺麗なブルーに銀糸が織り込まれていてキラキラして。そして淡く美しい色合いの花たち。さて、何を作ろうか?…すぐには作りたいものが決まらず、しばらくは寝かせることになるのでした。当時の私は裁縫なんてしないし、ミシンも持っていない。ボタン付けくらいは必要に迫られてやるけれども…という感じでした。
綺麗でお高くて大切なハギレを、何か特別に素敵な物に使いたいから、ココはじっくり考えましょうと猶予をいただきます。
ある歩数計の数値が2万歩を超えた日、祇園の雑貨屋さんで香木のセットと出逢います。山田松香木店さんの『香り遊び・匂ひ袋香原料揃え』です。9種の香原料の刻みが袋詰されており、好みの香りに混ぜ合わて自分だけの匂い袋が作れるという!なんて優雅な…!
他店のウィンドウショッピングで香木には既に魅了されていた私でしたが、非常に高額な手の届かないものと思い込んでいましたので、このセットには驚愕感激!「これをあのハギレと合わせたい♡」と、私の着物リメイク人生が開幕したのでした。
その後意気込み勇んで初めて作った匂い袋は🔰、本当に不格好で😱!!
「こんなの全然素敵じゃない😰!ハギレがもったいない💔!返してくれ〜〜〜😭!」
と泣きたいくらいに残念な仕上がり。四角く袋状にして香木を包んだ綿を詰め縫い止めたそのものは、何とかしようとビーズのネックレスを飾った後でも不っ細工😫!!
「オイオイオイ!こんなはずじゃなかったー!」
と、大後悔。…でも、これを戒めとすることにしたのが私の着物リメイク人生の始まりとなったのです。
「もっと素敵な匂い袋を作りたいんじゃ。」と試行錯誤の末、完成したのがこのレターに掲載している写真のものです。ちなみに『洛香(ラッコウ)さん』と名付けました。
その後は骨董市に通いハギレを買い溜め、ちくちくちくちくと手縫い作業。楽しくなって夢中で沢山作りました。200個以上は作ったと思います。2年間が過ぎ京都を離れて地元に帰り、親戚に見せると「欲しい!」と言ってもらえ「では、」と渡すと喜ばれたので、あちこちへどんどん配ってあっという間に無くなってしまいました。
もしも、「そう言えば気付いたら家にあったワ。」という方がいらっしゃったなら、巡り巡って思いがけないお宅へお邪魔しているかもしれませんので「ソレ、私が作りましたよ〜。」と、ココで言わせてもらっておきます。😁田舎ですからね、浜田市内ならあり得るお話でした😁
地元に帰り、京都の骨董市でハギレを入手することはできなくなったけれど、実家には祖母の遺した着物や反物があり、関西に住むおばは押絵をやっていて、使わない材料を分けてくれました。また、隣市の市民ショップに不要となった着物や帯が沢山出品されており、閉店するまでは格安で買わせてもらいました。
そんなこんなでここから着物リメイクにはまっていったのです。きっかけはあの綺麗で大切なハギレ1枚✨
それから事業として開業するのは (出産・離婚を経て) 約8年後。そして受注制作を始めたのは開業から約5年後。10年くらいは受注制作を念頭に作って造って創ってつくってという日々を過ごしました。
なるべくお気軽に、なるべくリーズナブルに、着物リメイク品を使うという癒しを幅広い世代の皆さまへお届けしたいと奮闘してきた訳なのです。
あのハギレから。 今回は、手づくり作家 Decopoko が着物リメイクを始めたきっかけについてレターさせてもらいました✉️
読んでくださり、ありがとうございました✨