大変御無沙汰しております。
店主の弥光で御座います。
長らくの休暇から戻って参りますと
春の花が沢山咲く季節となっていました。
天空に浮かぶ神殿にも春が訪れます。
https://minne.com/@nonamikorin/letters/51044
天空の国は寒冷地であり寒い日が殆どです。
宇宙の気温はマイナス200度にも下がる…
つまり、宇宙に近い高地である天空の国もまた
地上に比べると気温がかなり低いのです。
私たちが桜を楽しんだり野花を愛でる頃
天空の国ではやっと雪解けが始まり
その時期だけ見られる景色が現れます。
雪深い山の裾野にある湖は
氷が溶け出した透き通る美しいブルーで
その水源を拠り所として
多くの珍しい植物たちが出揃います。
額縁のような透けたクローバー
氷の実った蔓葡萄
植物を凍ったままに閉じ込めた押花
…
それらが月夜や黄昏に照らされて
優しい風や静かな雨に打たれながら
この場所のこの季節にしか
見られない景色を彩っています。
小さな命たちに可憐に乗っている水滴は
小さな氷の粒の結晶で流れ落ちず
空気中の雪や葉のかけらを含んだ宝石となり
花弁の裏に、葉の裏側に息を潜めています。
溶けゆく時は水になるのではなく
風に柔らかく砕かれます。
目に見えない氷の粒子となれば
きらめきを撒いて飛び散り
天空の国の空気に混ざって長く旅をして
また次のこの季節になると
別の結晶に内包されて
永遠に存在すると言われています。
この度はそういった不思議な植物たちを
モチーフとして作品を作り上げました。
長らくの冬があけ春が来ました。
芽吹は少しずつではありますが
また当店のショーウィンドウを
覗いていただければ幸いです。
其れでは、又。