【4月7日】
AM火葬。
きれいに晴れ渡った青空へ、ハルは昇っていきました。
・亡くなる前日、口が臭いのが気になっていました。もしかしたら、末期症状で、内臓のどこかから出る腐臭のような物だったのかも知れません。
それに加え、下血の影響もあるのか、死後もすぐから臭いが気になりました。
それもあり、最初は腐敗対策で気温の低い浴室に安置したのですが、お風呂嫌いなハルがかわいそうで、夜から火葬する翌朝まではずっと一緒の部屋で過ごしました。
・安価な集団火葬にすると、他の子達の骨と混ざり、返骨してもらえないので、個別火葬希望でした。
・父が、自分の別荘の庭に(ハルが大好きな場所だったから)お墓を作ろうと言ってくれたのもあり、また、数年は自宅で一緒に過ごしたかったので、ペット墓地が必要ありませんでした。
・骨は黴びやすいので、埋葬せずに保存するなら、粉骨にしてもらいたいと思っていました。
以上のようなこだわりポイントを踏まえ、自宅まで来て火葬してくれる移動火葬サービスにお願いすることにしました。
そこから更に何軒かに絞り、最後は、電話口で真っ先に『お疲れ様でした』と言って下さった、東京に本社のある業者にお願いすることにしました。
優しさが伝わる対応をしてくれただけでなく、料金も、粉骨まで込みで追加料金が一切なく、他の業者と同じくらいの相場だったのも理由のひとつです。
当日は、自宅前の駐車場に停めたバンに積まれた電気炉で、火葬から粉骨までしてくれました。
待機中は自宅で待つことができ、泣き腫らした酷い顔でも大丈夫。
いつもは4月中旬に咲く我が家の八重桜二種も、異例の早さで開花して、ハルを見送ってくれました。
焼き終えたお骨の説明をして下さった業者の方にお聞きしたところでは、しっかりと全部が残り、健康的な良いお骨だとのことです。
ハル、お骨になっても褒められたね。
血液検査は、いつも優等生だったから。
髄膜腫さえなければ、きっと健康に長生きできたのにね。
ガンとは、人間にもペットにも等しく、容赦のない病気です。
それからは、お仏壇や墓石などをネット注文しながら、天から見ているハルに恥ずかしくないように、片付けやメモリアルグッズ作りをしています。
生前は、『死んじゃってからは、お仏壇買えば良いだけだし』なんて言っていたけど、なんなんの(笑)
好きだったオモチャも入る大きい仏壇だとか、写真を刻んでくれる墓石だとか。
今はミンネとクリーマの作家さんに、ハルの羊毛フェルトぬいぐるみとイラスト入り小物トレーをお願いし、できあがりを楽しみに待っています。
とはいえ、一人きりで過ごす毎日はメンタル的に辛く、ハルには『2~3ヶ月後に、ハルが死んだ頃に生まれた新しい子を(ハルをもらった保護施設に)迎えに行くから、生まれ変わって待ってるんだよ』と、お線香を供えながら声をかけています。
けれど、先日、楽天のディアペットというお店で墓石を購入した際、同封されていたリーフレットに書いてあったんです。
『一足先に旅立った子達は、天国の手前にある虹の橋のたもとで、元気だった頃の姿で楽しく遊び回って待っています。あなたがいつか天国に行く時に、一緒に橋を渡り、今度は離れることなくずっと一緒に暮らせます』。
そうなのか!!
生まれ変わらないのか~(゚Д゚)
それもとても素敵ですが、ちょっと複雑な気持ち(笑)
私的には、映画『ボスドッグ』のイメージで、生まれ変わって欲しかったのですが。
いずれにせよ無宗教なので、ハルが幸せになってくれればそれで良いです。
生まれて4ヶ月で東日本大震災を経験し、私が働いてもいる間はいっぱいお留守番をし、退職を待って発病、記録的な被害をもたらした台風の日に手術、東京の専門Dr.も驚く、学会上聴いたことのない神経の炎症による再発、そして、コロナによる通院断念、非常事態宣言の日の死。
天性のビビりだった彼が、どれだけ辛かっただろう、怖かっただろう。
怒濤の時代に翻弄されたような一生だったように思いますが、その間も、せめて彼が幸せであってくれたことを祈ります。
発病(症状が出て)から10ヶ月。
うち、トータル1ヶ月近くは入院し、3ヶ月近く痛みに苦しんでいたことになります。
良性の腫瘍なので、取り切れば、短くても半年以上、延命できる。
本人の痛くて苦しい時間を減らすことができる。
一般的な目安にすがり、受けた手術でしたが、想定外の再発を繰り返し、手術2回に放射線治療、数え切れない全身麻酔をかけてのMRI検査。
これだけハルの身体に負担になる治療を繰り返し、新車一台買える金額を注ぎ込み、最初の手術から計算すると、延命できたのは半年でした。
こうやって手帳を見ながら思い返せば、私達のエゴで、無理やり引き伸ばした命だったと思います。
後悔しないように、できることは全てやりました。
やらなければ、やらなかったことに後悔したでしょう。
後悔しない結末はないのだと思います。
ただ、ここで得た教訓は、治療すればするほど、途中でやめられなくなるということです。
病名を特定すれば、治せると言われれば、治したくなる。
あれだけお金をかけて手術したのだから、それが無駄にならないように、放射線治療で再発までの時間を延ばしましょう。
再発しているが、取り残しかも知れないからもう一度取りましょう。
これで延命できるなら、ハルが苦しくないなら。やめられなくなります。
二度目の神経炎症が再発して、痛みが薬で抑えられなくなった時には、安楽死させてあげよう、と、常々夫やDr.とも話していました。
けれど結局、急変だったため、苦しんで亡くなる結果となってしまいました。
ハルの命日の丁度一年前に、大腸癌で亡くなったお友達がいました。
その子も、のたうち回って苦しんだ最期だった、もっと早く病名がわかっていれば、安楽死させてあげられたのにと、ママは涙を浮かべて話していました。
安楽死は賛否両論あると思います。
でも私は、痛みと苦しみで眠れずに死ぬのであれば、眠るように、静かに最期を迎えさせてあげたかったと思っています。
東京のE病院は、高度医療センターの名にふさわしく、救うための病院でした。
本当に丁寧に丁寧に、8時間もかけて難しいハルの腫瘍(神経でしたが)を切除して下さいました。
そんな、最先端の病院でも、見たことのない症例がある。
救えない病気もある。
C病院のDr.が、最後に言っていた言葉が、とても印象に残っています。
『私達でも一旦諦めかけた時に、(私達飼い主が)諦めなかったから、E病院のDr.と検討し、再手術に踏み切れた。ハルちゃんのために、(私達飼い主は)本当にがんばったと思います。けれどこれが、残念ながら動物医療の限界なんです』と。
私達ががんばったか云々は置いておいて、まだまだ発展途上で、わからないことが多いのが動物医療だということ。
それだけは痛いほど伝わってきました。
老後の貯蓄も使い果たしたので、次からお迎えする子には、申し訳ないけど高額な治療はできないと、思っています。
金銭の問題だけではありません。
難しい病気になればなるほど、それ一度では終わらない治療になる。
そのうえ、トップクラスのDr.さえも想像もできないような不測の事態も、多々ある。
そこまでにとことん付き合う覚悟が持てないなら、町医者の医療で治せる限界が訪れた時には、深追いせずに、その子が一番苦しくない道を選ぶべきだと、今は思います。
悲しいですが、それが、動物医療の限界なのだと。
この病気でお世話になった病院に対し、不満に思った点などもどうしても滲み出てしまうので、かかった順に病院名はアルファベット表記にしました。
千葉近隣在住者にはわかってしまう病院もあるかも知れませんが、私はどの病院にも、悪い感情は抱いていません。
みなさん、ハルを救うために一生懸命向き合って下さったと、感謝しています。
〔A病院〕所謂町医者さん
ホームドクターでした。
〔B病院〕整形外科専門病院
ヘルニア治療中の、セカンドオピニオンだったので。
〔C病院〕大きめの町医者さん
全般診てくれますが、腫瘍科の専門医がいらっしゃいます。
〔D大学病院〕大学構内にある動物病院
担当して下さった放射線科のDr.、C病院のDr.、E病院のDr.、全員この大学出身の友達同士らしいです。
〔E病院〕高度医療設備のある動物病院
担当して下さったのは神経科Dr.。緊急時の夜間電話相談もやっていて、急変の際にはとても助かりました。
みんな科が違う!
人間の科でもよく困りますが、ややこしくてちょっとおもしろいですね。