テレビなどで腸内環境について解説した番組を
見たことのある人であれば、善玉菌VS悪玉菌の
ような話を聞いた事があると思います。
善玉菌として語られるのはビフィズス菌を始め
とする乳酸菌で悪玉菌の代表格は大腸菌と説明
されます。
では人の腸内ではなくチーズの中ではどうでしょう。
もちろんチーズは食品なので、大腸菌が居ては
困ります。
ただし殺菌前の生乳には大腸菌群が居る場合も
あります。
大腸菌群はそれほど強い菌ではないので、65℃
30分の加熱で死滅します。
ここで「大腸菌群」とはを説明したいと思います。
食中毒を起こす代表的な大腸菌にO-157という
ものがあります。
ただ、大腸菌はO- 157だけでなく、様々な仲間
がいます。
その大腸菌の仲間だけど、毒素を出さないものも
多いです。
ただ大腸菌の仲間が居るということはO-157の
ような危険な大腸菌が居てもおかしくないよね。
という事で食品衛生の世界では大腸菌の仲間が
居ないかを調べる検査をします。
この大腸菌の仲間が「大腸菌群」です。
チーズを作る際も殺菌に失敗すると大腸菌群が
検出されます。
機械の不具合で温度が上がらなかったり、30分
経過しないうちに温度が下がってしまったり、
人間も機械も完璧ではないので、殺菌が上手く
いかず大腸菌群を検出してしまうことがあり得ます。
チーズ工房では殺菌温度を自動で記録してくれる
特殊な温度計を使用しています。
65℃まで温度が上がらなかったり、温度を30分
維持できていなかったりした場合はそのチーズは
出荷できません。
また道具がきちんと洗浄・殺菌・消毒できていなかった
場合も大腸菌群が検出されます。
私達の工房では大腸菌群を検査する簡易キットがあり、
チーズの検査をすることができます。
大腸菌群は検出されることは滅多にありません。
ただ人間も機械も完璧ではないので、製造工程でミス
をすることがあります。
万が一、大腸菌群が検出された場合、3か月以上熟成させて、
もう一度検査をしてみます。
すると大腸菌群が消えてしまいます。
自家用として消費する分には問題ありません。
これはもともと大腸菌群より乳酸菌の方が強いので、
3か月かけてチーズの中に乳酸菌が広がり、大腸菌の
居場所を奪ってしまうのです。
アメリカのチーズの衛生基準では殺菌温度と熟成期間
を組み合わせて設定されています。
つまり「長期熟成すれば、乳酸菌が勝つんだから、殺菌
温度は低くてもいいよ。」という訳です。
フランスにいたっては、無殺菌乳で作られたチーズが
合法です。
「チーズに菌がいるのは当たり前。
その代わり妊婦さんはチーズは食べないでね。」という
訳です。
安心・安全よりも美味しさを求めるフランス人。
すごいですね。
日本は日本のチーズ文化を作るべく、今日もチーズを
製造し、販売していきます。
https://minne.com/items/22359976